フリーライターは忙しくしないと食べていけない。色々な人からそう教えられたが、2007年における僕の1日の平均労働時間は10.121時間だった。1日の半分も仕事をしていないことになるが、昨年の僕にはこれがギリギリだったらしい。そう断言できるのは、集中して仕事に従事している時間のみを毎日記録して、統計化しているからだ。
自分の記録は、見やすくないと価値がない
僕は一時期、EXCELを使って日報を付けていた。日付と文章のみを記載するシンプルな構成で、初めの頃は、その日に気づいた仕事のテクニックや反省点を詳細に書き記していた。しかし、数ヶ月経った頃には「今日は疲れた~」や「29歳まであと●日。頑張るぞ!」など、何の役にも立たない情報が大半となってしまい、スタートから半年後に更新が終了している。
このマイ日報プロジェクトが頓挫したのは、過去を振り返ったときの見やすさを考えに入れていなかったのが原因だ。いくら有用な情報を綴ったとしても、数ヶ月の日報をすべて見返すのはとても手間がかかる。途中からそれに気づいたために、どんどんやる気がなくなって、盛り返すことなくフェードアウトしてしまった。自分自身の記録に関して言えば、視認性や検索性に優れていなくては、価値ある情報にはならないのだ。
その反省を活かし、現在はTODO表に「仕事統計」シートを作って、過去をひと目で振り返られるようにしている。毎日記録する要素を「その日の労働時間」と「予定作業を完遂したか否か」、「特記すべき反省事項」に絞り、一画面で数ヶ月の状況が俯瞰できる構成にした。
仕事統計シートのトップ画面を見るだけで、今年の平均労働時間と比較した現在の作業状態や、1年を通した意識の高さ、累計の失態が一覧できる。また、実際は月収や年収も表示される仕組みにしており、単に「頑張った」記録だけでなく、仕事の成果の累計も把握できるような作りにしている。
仕事統計シートは、ほとんど全自動で更新される
自分の状態を記録するうえで、もうひとつ重要なのが手軽さだ。いくら見やすいグラフを作っても、毎日手間暇かけて更新しなければならないのなら、ものぐさな僕はすぐに投げ出してしまう。このため、失態エリアを除いた仕事統計シートは、ほぼ自動で更新される仕組みにしている。
たとえば、上部のグラフはその月までの完遂日の累積を示している。直接の参照元は、隠している(全画面で表示されない右側に置いた)表だが、その値は右上にある「完遂Day」の月別数値を足したものを使っている。その「完遂Day」の数値は、第3回で紹介した週間シートの「●完遂●00」アイコンとリンクしているのだ。
「完遂Day」の列には「=週間!$A$3-SUM($G$2:G●)」という式を入力している。「週間!$A$3」は週間シートにある「●完遂●00」アイコンのセルを表している。"$G$2:G●"は、1月から先月までの完遂日の合計値。つまり5月のセルは、現在の完遂日累計から1月~4月分を抜いた値=5月の完遂日を表示するようになっているのだ。
ちなみに、「=週間!A3-SUM(G2:G●)」という式でも同様の値が得られる。しかし、この式を下段にコピーすると、「=週間!A4-SUM(G3:G●+1)」「=週間!A5-SUM(G4:G●+2)」…と、参照するセルの住所が変動してしまう。EXCELではこれを「相対参照」と呼ぶ。「$」を付けることでセルの住所が「絶対参照」となり、コピーしても数値が固定されるのだ。
この式により、月の間は週間シートのアイコンを更新するだけで、自動で仕事統計シートのグラフや表の数値が正しく置き換わる。あとは月が変わるタイミングで、その月の数値を固定化すれば、翌月以降も自動で値が更新されていく。