キム・カーダシアンというセレブ・タレントのことについては、以前の話のなかで少し触れた。具体的にどんな才能(タレント)の持ち主かがいまだによくわからないが、自分たちの名前を冠したテレビ番組「Keeping Up With the Kardashians」が大人気( 平均視聴者数約300万人 )というのだから、たぶんそういう方面の才能を持ち合わせているのだろう。

そのカーダシアン、昨年はプロバスケットボール選手のクリス・ハンフリーズ(ブルックリン・ネッツ所属のパワーフォワード)と結婚からわずか72日で離婚し、全米のお茶の間の話題をさらっていた。

Kim Kardashian’s Doomed Marriage Hits Reality TV Center Stage - ABCNews

これはABCのニュース情報番組「Good Morning America」からの一場面。もともとクリントン元大統領の側近として活躍した政治ジャーナリストのジョージ・ステファノポロス(同番組の司会)がもっともらしい顔でコメントしてるのがちょっとおかしい。

ところで、いまこの電撃離婚の余波がちょっと思いがけない人物にも及んでいる、という話が今月に入って一部で話題になっていた。

このカップルは昨年8月20日に、ロサンゼルスからほど近いところにある豪勢な邸宅を借りて盛大な結婚パーティを挙行。招待客はおよそ440名ーーそのなかには、カーダシアンのテレビ番組を企画・制作する会社の経営者であるライアン・シークレスト(!)や、「デスパレートな妻たち」のギャビー役で知られるエヴァ・ロンゴリア、それにリンジー・ローハンなどのハリウッド関係者、さらにコービー・ブライアントやカーメロ・アンソニー(いずれもロンドン五輪代表チームに選ばれたプロバスケットボールのスタープレーヤー)などのNBA関係者も含まれていたという。総額600万ドル、生花代だけで200万ドルをかけたといわれるこの挙式の放映権を、カーダシアンはふだん自分の番組を配給するケーブルテレビチャンネルの「E!」に推定1790万ドルで売却し、一説には1000万ドル以上ものお金を懐に入れたというから、実にちゃっかりしたものである。

Kim Kardashian & Kris Humphries's Wedding: The Details and Video! - People
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さて。この豪勢なパーティの会場となった邸宅が、実はGoogleのエリック・シュミット会長の持ち物。同氏が2007年にエレン・デジェネレス(!)から推定2000万ドルで購入(場所から推測するとたぶん利殖のためだろう)、その後は小遣い稼ぎ(?)でお金持ちの結婚式などに使わせていたが、あまりにも有名になってしまった「電撃離婚」のおかげで、その後はぱったりと借り手がいなくなり、いまでは閑古鳥が鳴いている状態だという。

'Kim's Fairytale Wedding' a nightmare for former Google CEO as brides-to-be 'shun $20million mansion that hosted her wedding to Kris Humphries' - DailyMail (UK)

このリンク先(DailyMailのページ)にある写真からもわかるように、いかにも映画に出てきそうな瀟洒なつくりこの邸宅も、いまでは「あんな縁起の悪いところでわざわざ結婚式なんか……」「せっかく知る人ぞ知る的な洒落た場所だったのに、すっかり庶民にまで知れ渡ってしまって……」といったことで、困ったシュミット会長は売りに出すことも検討しているらしい。

シュミット会長といえば、理系出身の経営者として大成功した典型のような存在。サンマイクロシステムズ、ノベル、グーグルと名の知れたIT企業の幹部を歴任、最近ではオバマ大統領のテクノロジー分野の顧問も務めるなど、シリコンバレーの実力者のひとりであることは間違いない。

一見「大学の先生風」な、その風貌などから、ハリウッドのような派手な世界とは縁遠い人物と思っていたがどうやらそれは間違いだったようだ。多くの音楽業界関係者などと親交があったスティーブ・ジョブズや、ラッパーのスヌープ・ドッグがメインゲストの豪勢なプライベートコンサート/パーティを開いて話題を呼んだショーン・パーカーなどとは、同じ業界に属しながらも、違う世界に住む人物、と勝手にそう思っていた……。

Meanwhile, at Sean Parker's Secret Snoop Dogg Concert... - sfist (スヌープ・ドッグとショーン・パーカー、それにマーク・ザッカーバーグの3人が写ったスナップショットがある)

そんなシュミット会長が「Stamped」というSNSサービス/スマホ・アプリ開発元に出資した、というニュースが7月下旬に流れた。この「Stamped」という会社、これまではサービス自体よりも「あのジャスティン・ビーバーが投資しているベンチャー企業」というほうでむしろ有名だった会社。今回の増資ではシュミット会長のほか、ライアン・シークレスト(!)、エレン・デジェネレス(!)、バロン・デイヴィス(現在はNBAニューヨーク・ニックス所属のベテラン・ポイントガード)といった著名人、それにソニー傘下のコロンビア・レコードやニューヨーク・タイムズといったメディア企業からも資金を調達したという。

How Crucial Is the Celebrity Effect for Start-Ups? - New York Times

いっぽう、キム・カーダシアンの離婚話のほうは実はまだ成立しておらず、調停に向けた弁護士同士の話し合いもこじれる一方で、15日にはキムが交際中の大物ラッパー、カニエ・ウェストのところに、クリスの弁護士から高級デパート「Nordstrom」の箱に入れて偽装した裁判への証人召喚状が届いた、という話も伝えられている。リアリティ番組よりはるかに面白い展開になっているようだ。

Kim Kardashian: Short Marriage Turning Into Long Divorce - People
Kardashian divorce unlikely to be final this year - AP (WSJ)

クリス・ハンフリーズの所属するネッツのゼネラルマネジャー(GM)、ビリー・キングはNew York Timesとのインタビューで、「クリスと彼の代理人には、『おれたちはTMZ(エンタメ系ニュースサイト)に名前が出る必要はない。もっとバスケットボールに集中しろ』と諭した」と述べていたが、こうなってくると、それどころではないかもしれない。

The New Net Worth - New York Times

10月末から始まるNBAの新シーズンで、ネッツのマイノリティオーナーで「球団(経営陣側)の顔」ともなりつつあるジェイ・Zが仕事仲間のカニエ・ウエストに、「いっぺんくらい試合を観に来い」といい、カニエがジェイ・Zとコートサイドの席に陣取る……というような展開になったら、クリス・ハンフリーズはゲームになぞ集中できなくなるのではないか、とNBA好きとしては勝手に心配していたりもするが、ただしジェイ・Zはネッツの本拠地バークレイズ・センターに設けられたスウィートルーム「Vault」(年間契約で、料金は1室なんと55万ドル!)を使い放題というから、カニエとクリスの鉢合わせということにはならないのかもしれない。

With Arena, Rapper Rewrites Celebrity Investors’ Playbook - New York Times

追記:今週のジェイ・Z&ビヨンセ情報

我らがジェイ・Zは、あいかわらず金儲けに余念がない。ロンドン五輪中にNBCで流されていたというバドワイザーのCMに出演(ナレーションも担当)。


また、前に紹介した非接触充電装置デュラセル・パワーマットのCMにも自らカメオ出演。


さらに、人気テレビゲームシリーズの最新版「NBA 2K13」では、エグゼクティブ・プロデューサー役を買って出ることにしたという。

Jay-Z, Jordan, NBA 2K13 Try to Settle Dream Team Debate - WSJ

あとの2つには自分の曲(リアーナをフィーチャーした「Run This Town」など)も提供しているか、しっかり印税を稼いでいるかもしれない。いずれにせよ、"Run This Town"=「この街を仕切っているのはオレ様だぜ」と宣言しているかのようでもある。

いっぽうビヨンセの方はといえば、国連の一般総会に使われるあの大会議場で撮影した独唱ビデオを公開。8月19日の「世界人道の日」(World Humanitarian Day)に協賛しての取り組みとのこと。



夫婦ともどもいよいよ忙しいことである。