マラソンを始めたとき、足の筋肉が疲れるより先につらくなるのが「心」と「肺」です。楽な呼吸方法を覚えると、走ることが楽しくなりますのでぜひやってみてください。
マラソンとジョギングは、呼吸方法が違っていて当たり前
一般的にマラソンの呼吸は「スースーハーハー」と言われています。2回吸って、2回吐く方法です。しかし、「走るスピードが遅くても同じ呼吸で良いのか?」という疑問を私は持ちました。1km当たりを3分で走る人と、5分で走る人、7分で走る人、それぞれ同じで良いのか? という疑問です。
第4回には、「マラソン」と「ランニング」と「ジョギング」はそれぞれ「別なスポーツ」だと書きましたが、そう解釈すると呼吸方法が違っていても当たり前です。
なめらかな6拍子呼吸法で楽に走る
そこで私が考えた呼吸方法は、「6拍子呼吸法」です。すなわち、「スースースーハーハーハー」と、3回吸って3回吐く方法です。
この呼吸と足を出すタイミングを合わせると、身体全体で同じリズムを感じることができます。上の写真をご覧ください。口元を見ていただければ、吸ったときと吐いたときの違いが分かると思います。撮影のためにちょっと大げさにしていますが、「鼻」で吸って「口」から吐いています。
このとき、呼吸を小刻みにしてはいけません。要するに「スッ・スッ・スッ・ハッ・ハッ・ハッ」ではないということです。常に「なめらかにゆっくり」と呼吸してください(写真での足の順序はあくまでも参考説明です)。
呼吸数と心拍数は深い関係にある
1kmを7分で走る人が一般的な4拍子呼吸法で走ると、速度が遅いにもかかわらず、呼吸が速すぎることになります。試しに日常において、呼吸を意識的に速くしてみてください。心拍数がきっと高くなることでしょう。「身体の使い方に応じた呼吸数」というバランスがあるということに気付くはずです。
日常に近い心拍数で走るとバテにくい
個人差はあるでしょうが、私の感覚では1kmを5分30秒より遅い速度で走る場合は、6拍子呼吸法の方が身体にマッチしています。それを4拍子呼吸法で走ると、必要以上に自らが心拍数を高めることとなり、早くバテることにつながります。
できるだけ心拍数を上げずに走ることが、フルマラソンを走りきる秘訣(ひけつ)であることはよく知られていますよね。だから最近では、心拍計付きランニングウオッチも多く発売されています。
心拍数は走り始めは低く、運動強度が増すとだんだん高くなっていきます。「もうしんどい」と心が折れるのも、心肺機能と深い関係があります。しんどくなったら、ほんの少しでよいので速度を落としてみましょう。しばらくすると少し楽になってきます。それは心拍数が下がることで、肺への負担が軽くなるからです。
日常の呼吸に近い感じで走ることができれば、とても楽になりますよ。ぜひお試しくださいね。
著者プロフィール
鮎川 良
奈良県の学園前にて「RYO整体院」を営む整体師ランナー。整体師だからこそ分かる身体のメカニズムを基に、ストレッチの重要性を説き、クリニックも開催する。ストイックにタイムを追求するよりも、健康で楽しいマラソンライフを提案。筋肉痛になりにくい身体作りや疲労回復のケア方法、自身が提唱する疲れにくいランニングフォーム「エンジョイラン走法」で、フルマラソン走破を目指す人のサポートをしている。著書に『がんばらないで楽に長く走る』(学研パブリッシング)がある。また、累計200万アクセス超の人気ブログ「整体師に学ぶ~マラソンによる筋肉痛改善方法と、フル完走ノウハウ」も執筆している。