突然ですが、ギアチェンジ付きの自転車に乗ったことがありますか? 小さいギアは、力強くスピードを出す時に適しています。一方、大きなギアは負荷が軽くなるので、上り坂に適しています。要するに、道路の状況などに合わせてギアをコントロールするわけです。
「こんなギアが自分の身体に備わっていれば、上り坂が楽になるのに」……と思っていたら、そんな方法がありました!
上半身を倒す角度がギアチェンジになる
その方法とは、実は上半身を折り曲げるだけです。言いかえれば、腰を曲げればいいんです。普段上り坂を歩く時やハイキングで山を登って行く時、急坂になれば腰を少し曲げると上りやすくなるでしょう。それと同じことをすればいいのです。
そこで役に立つのが「ギア」なんです。私は3段ギアを身体の中に持っているようなイメージをしています。写真をご覧ください。坂の強度に応じて、1段→2段→3段とギアチェンジしていくわけですが、上半身を倒す角度で調整するわけです。
「邪道! 」と思われる人も多いことと思います。坂が急になればなるほど、倒す角度を大きくしていきますし、3段目なんて下向いていますしね(笑) 不細工でもいいんです! 時々顔を上げて障害物のチェックはしますから。
ギアというのはあくまでも物の例えですが、私の頭の中ではひとつギアチェンジするたびにギアを入れ替える音がします(笑)
上り坂が近づいてきたときはどの程度の坂なのかを見て、平地走行している状態から、いつギアをひとつ入れ替えるか(腰を曲げるか)、坂の角度を身体で感じながら操作していきます。これ、急坂にはものすごく効果あるんですよ。
見た目は悪くても、きちんと膝を守った走りになっている
平地を走る時、一般的にやや前傾姿勢が良いとされています。また上り坂でも前傾姿勢を保ち、きれいな姿勢で走るように言われるのが普通の教えです。私が提唱する「3段ギア走法」は邪道かもしれませんが、それで楽に走れるようになるのだから、見た目なんて気にしません。
この姿勢により、関節などに悪影響が出るならいけないと思いますが、全然そんなことありません。むしろ、バランスよくしっかり身体の重心をとらえることができますので、膝を守ることになり、楽に上って行けます。ぜひ一度お試しください。
今回でこのコラムは終了いたしますが、楽に走るためのノウハウはまだまだいっぱいあります。しかし一連のシリーズで紹介した代表的な10項目をマスターすれば、楽に長く走ることができるようになります。
少し走れるようになるとタイムを気にするようになりますが、あくまでも健康のために身体を鍛えているという気持ちを忘れず、無理なく頑張りすぎないようにしてくださいね。健康を損なっては、走ることできませんからね。
著者プロフィール
鮎川 良
奈良県の学園前にて「RYO整体院」を営む整体師ランナー。整体師だからこそ分かる身体のメカニズムを基に、ストレッチの重要性を説き、クリニックも開催する。ストイックにタイムを追求するよりも、健康で楽しいマラソンライフを提案。筋肉痛になりにくい身体作りや疲労回復のケア方法、自身が提唱する疲れにくいランニングフォーム「エンジョイラン走法」で、フルマラソン走破を目指す人のサポートをしている。著書に『がんばらないで楽に長く走る』(学研パブリッシング)がある。また、累計200万アクセス超の人気ブログ「整体師に学ぶ~マラソンによる筋肉痛改善方法と、フル完走ノウハウ」も執筆している。