JR郡山駅は東北新幹線が停車し、在来線は東北本線・水郡線・磐越西線・磐越東線が乗り入れてくる。郡山市は福島県の中央部に位置し、鉄道や高速道路が東西南北に交差する交通の要衝で、東北地方では仙台市、いわき市に次いで第3位の人口を誇る。

  • 東北新幹線が停車するJR郡山駅

ビジネスマンが慌ただしく行き交う郡山駅の新幹線改札内にある店舗が「郡山幹線そば処」。駅ビルの通路側にも面しており、改札外からでも利用できるようになっている。店舗は新しいが、すべて立席で店員が1人で切盛りするスタイルは、昔ながらの駅そば店をほうふつとさせる。

注文は食券を券売機で購入し、手渡す方式。メニューはそば・うどんが中心で、きつねにかき揚げ、鳥唐揚げに海老天など、具材も豊富だ。

  • 新幹線改札内にある「郡山幹線そば処」

  • 改札外からでも利用できる

  • 券売機で食券を購入し、注文する

  • そばん・うどんを中心とした品ぞろえ

今回は「めかぶそば」(480円)を注文。めかぶはわかめの根元の部分で、三陸がおもな産地だという。食物繊維が豊富で、多くのミネラルを含んだ健康食品として知られており、あのねばねばの食感が癖になる。

「めかぶそば」は、東北各地にある駅の立ち食いそば店において、わりとポピュラーでよく見かけるメニューのひとつ。ただし、この「郡山幹線そば処」は他の店とちょっと違う。「めかぶそば」にある物を入れて味わうのだ。

  • 東北ではポピュラーな「めかぶそば」

食券を渡し、しばらくして「めかぶそば」が運ばれてくると、「お客さん、これ入れてみてね! 美味しいから」と言われ、一緒に出てきたのは、なんとこしょうだ。この店のメニューにラーメンはないので、この「めかぶそば」用に置いてあるらしい。さらに七味も入れるとおいしいのだという。

まず、こしょうをかけて食べてみる。薄めの出汁(だし)とスパイシーな風味がねばねばのめかぶと絡み合い、これが意外に合うのだ。しょうゆと出汁の甘辛さに、ぴりっとしたこしょうが良いアクセントになっており、そばに絡むと多彩な味わいが口の中を通り過ぎていく。そして、七味を入れると辛さが増し、引き締まった味になる。

いや、これほど「めかぶにこしょう」が合うとは驚きだ。これは以前食べた静岡駅の「チーズそば」以来の衝撃だった。

  • こしょうが調味料として出てくる

  • こしょうと七味を入れ、「めかぶそば」を味わう

ところで、このこしょうを入れる食べ方はポピュラーなのか、東北各地の駅そば店で聞いてみたが、「聞いたことがない」と口をそろえて言う。「めかぶにこしょう」がこの店だけの味わい方なのか、郡山ローカルのものなのかはわからないが、意外と合うのは間違いない。郡山へ来る機会があった際はぜひ、この味を試してもらいたい。