クリスマスが近づいてきました。5歳の娘はぐるぐる回すとカチューシャができるミラクルなおもちゃをサンタさんに"発注"したようです。なにかの間違いで、私のところにトナカイさんあたりがオーダーを取りに来てくれるなら、私は耳がほしいです。ウサギちゃんの耳とか、パンの耳とかじゃなくて「英語耳」。
「聞いて分かる」実感がうれしい
5歳の娘はいまも英語教室に通っています。「Where do you live?」と聞くと「I can play the piano.」と答える“あてずっぽう英語”で私をがっかりさせていますが、発音だけはイケてます。最近感動したのは「carrot(にんじん)」の発音。そのアメリカンな発音を耳にするたびに、娘の将来に過剰な夢を抱いてしまうのです。
一方、私ですが、おかげさまで「1000時間ヒアリングマラソン」も順調。
クリスマスの話題も多い「1000時間ヒアリングマラソン12月号」 |
ここ最近は「多聴」よりも、100%の理解を目指してしっかり聴く「精聴」に力を入れるようにしています。ウォーキングしたり、家事をしたりしながらの英語学習はもちろん続いていますが、テキストを開いて細部まで聞き取る学習時間を1日に1時間は確保するようにしたのです。
毎月送られてくるテキストはそれほど厚いものでもないのですが、その中身は実に"濃厚"。たとえば「Warm-Up Track」というコーナー。12月号では、雪についてのふたつのスキットを勉強。雪が好きだとか、嫌いだとか、週末旅行はどこに行くかとか、その程度のカジュアルな会話なのですが、それがなかなか聞きとれない! それでも話されている内容についての質問に答えたり、ディクテーションで空欄を埋めたりしながら何度も何度も聞いているうちに、ふと英語がクリアに聞こえてくる瞬間があるのです。
その「聞いて分かる」実感がもうたまらなくうれしくて、私の英語学習にはかなりの粘りが出てきました。主婦41歳。ここにきてねっちり系の仲間入りです。
ラジオドラマがお気に入り
一番の好きなコーナーといえばラジオドラマ劇場「HM Playhouse」。カナダで作られているラジオドラマで、私レベルの英語学習者にはかなり手強い内容です。容赦ないスピード感、しかも口語表現がわんさか出てくるわけですから、「えっ、あなたたち一体なんの話で盛り上がっているわけ?」と肩をすくめたくなることも少なくありません。
それでも私がこのコーナーを愛してやまない理由?それは普通のおうちが舞台だから。登場人物は3人家族と、その家に下宿している老婦人。生意気な女子高生の「言い草」とか、老婦人の「取扱注意」な頑固さとか。もうなんていうか、ご近所さんのリアルなファミリートークを聞いているような、そんな「おかしみ」があるのです。
このコーナーの最後では、ドラマに登場したセリフのディクテーションに挑戦できるのですが、これがかなりのハイレベル。私の場合は、それはもう何度も何度も聞いて埋めていっても、虫食い状態…しかも、正答率も高くはありません。でも意識をグーッと集中させて、英語を聞いていると「私の耳はいま間違いなく鍛えられている。英語耳に近づいている」。そんな満足感があるのでした。
カジュアルな会話を楽しめる「英語耳」がほしい
というわけで、カジュアルな会話って意外と聞きとりにくいものです。その昔アメリカの語学学校に2カ月ほど通ったことがありますが、何が大変だったかって、スーパーのレジのおばさんが話しかけてくる英語がまったく分からなかったり、ホストファミリーの会話についていけなかったり。みんながふつ~に話していることがチンプンカンプン!そのショックに打ちのめされました。
ニュースなんかだと、話の構成がしっかりしているし、もともと知っている話が入っていたりすることもあるから、なんとなく内容が推測できたりするんですよね。もちろんキャスターの英語がクリアだっていうのもあるでしょうけど。ところが、そこらへんで普通に話されている英語ってそうじゃない。家族同士の会話とか、ご近所さん同士の会話とか、そういうときってテーマも内容もコロコロ変わるし、展開も読めません。一つひとつのセンテンスの意味をしっかり追えてなければ、話の流れからすぐに振り落とされてしまうんです。
でも、もしそんなカジュアルな話が聞けるようになったなら、「英語耳」がつくれたら、絶対それって楽しいはず。外国人と気さくな関係が築けるのはもちろん、映画やドラマだって、字幕なしでイケそうじゃないですか。こうなったらヒアリングマラソンで粘っこく耳を鍛えていこうと思います。
さて、ヒアリングマラソンの副教材でもある「ENGLISH JOURNAL 12月号」の特集は「イギリス英語の耳と口のつくり方」。紅茶とスコーンをいただきながらブリティッシュ気分でその秘けつを勉強させていただこうかしら。次回はそのあたりの話にもふれながら、「英語耳」になるために私がやっていること、やりたいことを紹介しましょう。
(イラスト : のなかあき子)
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