以前、この連載の第5回においてペットボトルホルダーや財布などの手ぬぐいアイデア利用術をお伝えした。今回はさらに手ぬぐいの日常使いの可能性を広げるべく、バッグとしての活用の"七変化"を披露する。いったん結んだらほどけにくい手ぬぐいの特性が活かされており、普段荷物を持ち運ぶ時に抱えていた数々の悩みを解消することだろう。紹介する利用術については、京都の手ぬぐい専門店「京のてんてん」麩屋町三条店を訪れ、京のてんてんデザイナーの増田千賀子さんに教えてもらった。
京のてんてん
店名の「てんてん」は京ことばで言う手ぬぐいのことで、今でも舞妓さんたちに使われているという。10年程前から「京のてんてん通販サイト」でオリジナルデザインの手ぬぐいを販売。2000年に初めて店舗を構え、現在は京都市内に西陣本店、嵐山店、麩屋町三条店のほか、大阪府内の伊丹空港店の4店舗を営業している。「京のてんてん」デザイナーの増田さんが誕生したきっかけは、「昔から手ぬぐいが生活の中にあり手触りが好きだったが、デザインが好きではなかった」ことから。手ぬぐいを女性らしくアレンジし、さらに京都で生まれ育った増田さんは「京都らしいものを求めているお客様のために、より京都らしいものを」をモットーに商品を生み出している。
今回は同店で6月から発売している増田さん考案のエコバッグなどに使える多目的な手ぬぐい「tenten japon」を活用する。ここで普段のスーパーの帰り道を思い出してほしい。買い物袋で両手はふさがり、米袋などの重い物でビニールの持ち手が伸びてしまい、仕舞いには千切れてしまったという経験はないだろうか。同商品は増田さんが5年前から手ぬぐいを使った「安くて多目的なバッグ」を求めて、「時代劇などで忍者や旅人が斜め掛けしているのはどうやって作っているのだろう」などと考えながら約35cm幅の手ぬぐいと"格闘"した末に誕生。ある日突然、手ぬぐいを回転させながら縫い合わせることを思いつき、完成したのは筒状の中に持ち運びたい物を入れて、両端を結んでバッグとする簡単なものだった。
縦横に伸び縮みする手ぬぐいを使用することで、物の形状に合わせて包むと安定感があり、持ち運びには肩に掛けたり、"たすき掛け"で背負うことができるので重さの負担も軽減される。元は反物のように約22mある手ぬぐいを用途に合わせて長さ95cmから200cmまでの5サイズを用意した。増田さんは「『tenten japon』はスカーフ代わりに首に巻いて店に行ってレジ後にはエコバッグに使うなど、バッグがバッグ以外にも使える」と同商品の魅力を話す。
「tenten japon」のバッグとしての基本的使い方
※横長の物を入れた場合は両端を結ぶだけで良い。
七変化・その一……長~い物は背中に斜め掛けがスマート
傘はたすき掛けすると両手が自由になるし、自転車のハンドルに引っ掛けておくより危険も少ない。竹刀やバッドなどのスポーツ用品を入れるのにも最適だろう。「ポスターも丸めて背負えば、きれいなまま運べてお勧め」(増田さん)だ。
またフランスなどへ行くと、フランスパンを無造作に片手で持って歩く人たちを街で見かける。彼らを見習ってパン屋でフランスパンを購入したら紙袋をもらうより、手ぬぐいで包んで"たすき掛け"するのも粋なのでは!? スーパーで買ったネギやダイコンなどを入れて持ち帰ると生活感も抑えられて良いだろう。
七変化・そのニ……割れやすいビン類も安定感バッチリ!
ホームパーティーのお土産に焼酎やワインなどを持参する時でも、手ぬぐいで全体を包むと安定感もあり、見た目もスマートに持って行くことができるだろう。「スーツ姿のビジネスマンにもお似合い」(増田さん)とのこと。
七変化・その三……女性には重いアレも軽々!
スーパーで米袋や2lのペットボトル飲料を買うと、それだけで片手がふさがってしまう。ビニール袋の持ち手が手の平に食い込んで痛いこともある。しかし、手ぬぐいのバッグならば、生地の伸縮性によって肩に掛けても安定し、軽くなった気さえするから不思議だ。
七変化・その四……毎日!? のコンビニ弁当にもこれ1枚で
コンビニで弁当を購入すると専用のビニール袋に入れてくれるが、結局安定感が悪く袋の中で動いて傾いてしまったりした経験はないだろうか。手ぬぐいのバッグならば、弁当箱をしっかり包み込むので安定感が生まれ、この悩みは解消される。コンビニ帰りとは思えない見た目のお洒落さもお勧めだ。
七変化・その五……書類や雑誌など急に増えた荷物にも即対応
外出先でパンフレットや書類などをもらった時や雑誌などの書籍を購入した時など、荷物が増えてバッグに入らない時は手ぬぐいを取り出そう。そして、元々のバッグの持ち手に結びつければ1つにまとまり荷物が増えた感じもしないのでは!?
七変化・その六……ひったくり防止にも大活躍!
海外などへの旅行の際は、様々な貴重品入れを活用していると思うが、手ぬぐいのバッグならばパスポートや最低限の現金を入れて腰に巻くだけで、結び目はほどけにくく、木綿素材のため体にもフィットする。生地が薄いので衣類の下でも目立たないだろう。増田さんは「銀行などでお年寄りを見かけると大事なお金の扱いが心配。腰に巻いておけばひったくり予防になる」とアドバイスする。冬の寒い時にはカイロを入れて腰に巻いても温かく、「夏に甲子園球場で応援するような暑さの時には、保冷剤を入れて首に巻くのもお勧め」とのこと。冷房が肌寒い時には手ぬぐいを首に巻くだけでも温かいので、暑い時も寒い時も万能な一枚だ。
七変化・その七……かわいい子には旅をさせよ!
子供はすぐ自分でも大人の持っている物を持ちたがるが、手ぬぐいのバッグをならば、小さい子供でも自分の紙おむつやおもちゃを忍ばせて持つことができるだろう。体に斜め掛けすれば落とさず安心で、汗も吸い取ってくれる。
「tenten japon」の使い方
サイズ | 用途 |
×3(長さ95cm~100cm、通常の手ぬぐい1.2枚分) | パスポートベルト(女性用)のほか、弁当包み、ヘアバンド、アイマスク、赤ちゃんおむつ入れなど |
×4(長さ120cm~125cm、通常の手ぬぐい1.6枚分) | パスポートベルト(男性用)のほか子供用浴衣帯など |
×5(長さ145cm~150cm、通常の手ぬぐい2.0枚分) | たすき掛けショルダーバッグのほか、長物バッグ(傘、ネギなど)、エコバッグ(2lペットボトル2本、ワイン2本など)、ストールなど |
×6(長さ170cm~175cm、通常お手ぬぐい2.4枚分) | たすき掛けショルダーバッグ(ロング)のほか、ふんどし(男性Mサイズ)、和装ブラジャーなど |
×7(長さ195cm~200cm、通常お手ぬぐい2.8枚分) | ロングストール、ふんどし(男性L~LLサイズ)など |
京のてんてん 麩屋町三条店
京都市中京区麩屋町三条上ル弁慶石町38番地1