以前、1枚の布をショッピングバッグやウェストポーチなどとして活用する達人の"風呂敷技"をお伝えした。続編となる今回は、風呂敷使いのシーンを職場も含めた生活全般に拡げ、結び方のテクニックをお届けしよう。好みの1枚を便利に使いつつ、さりげなく個性をアピールしてはいかが?
風呂敷は法廷の影武者!?
風呂敷が控え室に備え付けられ、働く人々の手で日常的に使われている職場があるという。その職場とは、裁判所。使っているのは検察官たちだ。そんな噂を耳にし、10年以上検察官として裁判所に登庁したキャリアを持つ弁護士落合洋司氏にお話を伺った。
落合氏によれば、風呂敷が使われ始めたのは少なくとも60年以上前。戦前のことだという。長きにわたり愛用されてきた理由は、「『実用的』の一言に尽きるでしょう。検察官は裁判所に大量の資料を持ち込みますが、提出してしまえば帰りは身軽に。極端な荷物量のギャップを吸収してくれるのは、伸縮自在の風呂敷だけではないでしょうか。積み上げると1mにもなる書類でも、ふたつにわけて風呂敷で包めば一人で運ぶことができます」とのこと。さらに、キャスター付きのキャリーバッグなどと比べて安価で手に入る。
ところで、検察官と同様に裁判所で働いていても、弁護士は風呂敷を使わないという。事務所と裁判所が遠いというのがその理由。検察官は、ベースキャンプである検察庁が裁判所に隣接しているからこそ、風呂敷を使っているのだ。会社勤めのサラリーマンに当てはめてみても、昨今のオフィス事情では、会議室に行くのにエレベーターに乗ったり、広大なワンフロアの端から端を歩くことも少なくない。通勤に使うことはできないが、社内でのちょっとした移動の際に、会議後には手元からなくなる配布資料などを風呂敷で運ぶとラクそうだ。
書類を運ぶ
書類をスマートに運びたいという時におすすめなのが、この結び方だ。たったの2アクションで完成する。
新書ブックカバー
続いては、風呂敷でつくるブックカバーを紹介する。ビジネス指南書や自己啓発書など、仕事にまつわる書籍が数多く書店に並ぶ昨今、読書を通勤の友にしている方も多いことだろう。ここで気になるのが他人の視線…。誰もが知っているベストセラーなら人目をはばかる必要はないが、新書の中には、読んでいるのを知られると気恥ずかしいタイトルも少なからず存在する。当然、書店のレジでブックカバーをつけてもらえるが、読み終わって本棚に並べていくと、今度はどれがどれだかわからなくなってしまうし、いちいち紙のカバーを捨てるのも心苦しい。というわけで、読んでいる間は風呂敷でカバーし、読み終わったら外して本棚にストックすれば、タイトルを隠したい時に隠し、見せたいときは見せられる。
2.新書ブックカバーのつくり方 |
フラワーカバー
次に、カバーつながり(?)でもう一技。日々の暮らしやビジネスの場で「花を贈る」というシーンは意外に多い。また、そういうときこそ、ありきたりではないひと手間、ひと工夫が喜ばれるものだ。そんなシーンが巡ってきたら、ぜひとも、贈る花束を風呂敷で包んで手渡すこちらのテクニックを試してみて欲しい。花束と一緒に風呂敷もプレゼントできるし、贈られた人が持ち帰る際も花を傷めず持ち運びしやすいというスグレモノだ。
買い物バッグをショルダーバッグに
最後は、前回紹介した買い物バッグの進化形となるショルダーバッグのつくり方。イラストのように、買い物袋の持ち手を継ぎ足して伸ばし、ななめがけするとショルダーバッグになる。また、買い物袋は、中身が増えると持ち手が短くなってしまう構造になっているが、そうなったときにもこの方法で無理なく使うことができる。
4.ショルダーバッグのつくり方 |