今年も猛暑の夏が始まった。原油高で物価が上がる中、懐具合を考えると、家でもエアコンをガンガンかけるのは気が引けるという方、どうぞご安心を。日本には、古来から伝わる夏を涼しく過ごす知恵がちゃ~んとあるのです。ご先祖さまに感謝しつつ、涼風グッズ&テクを駆使してさわやかに楽しみましょう。
お話を伺った方
着付師 遠藤蚕乙(てつ)氏
1946年(昭和21年)青森県八戸市生まれ。伝統的な生活文化の残る集落で幼少期を過ごす。20代で上京後、着付師に。春夏秋冬を着物で過ごし、故郷で受け継いだ暮らしを営みつつ、都内各所の着付け教室で講師を務める。
扇子を持ち歩く
手始めに、男性のみなさまは内ポケット、女性のみなさまはバッグの片隅に、扇子をしのばせよう。夏用に漉かれた透ける和紙を扇面に用いたものを選べば涼しげで◎。また、少々値は張るが、夏の着物に使われる綿や麻を荒く薄手に織った布地や、絹を夏用に織った絽や紗を扇面に用いた扇子もあるという。
革靴を脱いでわらぞうり
外出先から戻ったら、革靴と靴下を脱いで藁草履に履き替えよう。藁はそれ自体が呼吸する通気性・吸放湿性に優れた素材で、足の汗を吸い取ってくれる。表面に木綿布を編み込んだ粋なデザインなら選ぶのも楽しく、自然にできる編み目のデコボコは疲れた足裏に心地よい。
目と耳に涼しい金魚鉢や風鈴
暑さや寒さは五感でとらえるもの。風や水を目と耳で感じることで、気分で涼しくなれる。かめや金魚鉢に水を張って玄関先や室内においてみよう。水草を入れて金魚を放せば彩りを添えてくれるし、自然と水の存在に意識が向く。また、風のありかを静かに知らせてくれるのが、風鈴だ。揺らいで涼しげな音を立てれば、暑さで茹だった頭に一陣の風が流れ込むようだ。
ガラスの"鐘"部分に使用し、短冊が鐘の内部の"舌(ぜつ)"を揺らして音を立てるオーソドックスな風鈴 撮影協力:浅草 はねだ |
南部鉄器を使用した南部風鈴。"鐘"と"舌"の形をとらないユニークな一品だ 撮影協力:菅波 |
金魚といえば花火大会やお祭りの縁日の華、"金魚すくい"を思い浮かべるかたも多いのでは? 次回は夏真っ盛りを記念した特別企画。みるみる獲れる金魚すくいのコツを伝授する。
撮影にご協力いただいたお店
菅波 〒111-0035 東京都台東区西浅草2-5-2
浅草 はねだ 〒111-0032 東京都台東区浅草1-32-11
布もと 〒111-0035 東京都台東区西浅草2-13-7