こんにちは。電車で若い男女が隣に座ると、つい聞き耳を立てて、付き合ってるか付き合ってないか判定してしまうイチイです。
このあいだ隣に座った2人は、男の方はツンツンした茶髪にジャラジャラしたアクセサリー多め、女の方はデザインの専門学生風でしえた。話の内容からしてシロ(付き合ってない)のは明白であり、「ちっ、つまらねー」とがっかりしましたが、それでも会話が耳に入ってきてしまうので何となく聞き流しているところでした。
「今月金ねーんだよね。給料日まであと2,000円で過ごさなきゃいけねーの」とツンツン男。あらら、あと1週間もあるのに大変だね……と思っていると、女の子の方が「あ、ケータイ変えたんだー」と一言。すると男、それまでのテンションの低さが嘘のように、「そう! 機種変したの! 最新に」。その後は男のワンセグ自慢となりました。金ないならキャリアDの3万円もするような最新機種なんて買うなよ! ていうかワンセグそんなに珍しくもないし! と心の中で大きくツッコミを入れたのは言うまでもありません。
まったく近頃の若者の金銭感覚ときたら。とあきれたのですが、思い返せば、お金関連に疎い自分も人のことを言えたもんじゃないなと思いました。
というのも、この間引っ越しによりADSLの移転手続きをしたのですが、衝撃の事実が発覚しました。何とプロバイダで二重に契約していたことわかったのです。つまり、ユーザーIDを2つ持って、無駄に倍の値段を払っていたのです! まったく意味をなさない無駄づかいです。これじゃツンツン男の機種変ビンボー以下だよ、トホホ……。とかなり落ち込みましたね。
これを機に、自分が気づかずにお金の無駄づかいをしていないか見直してみたところ、さらにボロボロ出てきました。ケータイで使いもしない着メロサイトに登録していたり、合っていない通話プランにしていたり。そういえば飲みに行くのにお金をおろし忘れて、コンビニのATMで手数料が210円でもまあ仕方ないと思って使っていたことも何回もあったし……といった細かいことまで数え上げると切りがありません。お金に無頓着なせいで、どれだけ損したかと思うと急にくやしくなってきました。
そこで今回は「お金の貯まる人」という本です。著者は邱永漢さんという、マネー関連の本を多数執筆していて出版界の「金儲けの神様」(Wikipediaより)と言われている人です。
タイトルにある「お金の貯まる人」という言葉に心ひかれたのは、株式投資や外貨トレードと言った積極的なマネーゲームでお金を「貯める」ではなくて、その人柄だけで「貯まる」という自然発生的な響きがいいと思ったからです。
実際に読んでみると、まさにお金を稼ぐ方法ではなく、自然と貯まる方法が書いてありました。お金が自然と貯まる方法とは、意識の改革です。それは、倹約の意識です。お金を貯めるには、お金を使わないことが最上の方法だということが本の中で書かれています。お金をいくら稼いでいても、倹約の意識がなければそれなりに出ていってしまい、手元はすっからかんになってしまう。お金を稼いでも気をゆるめずに、出費をおさえていく意識が、お金が貯まることにつながるというのです。倹約の意識について、著者は以下のように語っています。
むかしから日本では、爪に火をともしてお金を貯めるという表現をします。食うものも食わず、着るものも着ないで、ロウソク代わりに爪に火をともあす。たいへんケチな話です。そのくらいケチケチしないとお金は貯まらないんだと、むかしの人は考えていたんです。
(「お金の貯まる人はここが違う」(邱永漢))
倹約の意識の原点は、この「爪に火をともす」にあります。でもこれでは必要なものにも事欠く状態になってしまいます。欲しいものがすぐ手に入る現代では、真に必要なものを見極めてお金を使いたいものです。そうするための具体的なヒントが、この本にはさまざまに書かれています。
たとえば、衝動買いをおさえるためには、見てすぐ買わずに、もう1度考えてから買いに行く。新製品には速攻で飛びつかない。給料は天引きにする――こういった給料日にすぐに実行できそうな方法で、倹約の意識を高めることができます。
中でも耳に痛かったのは、「約束にルーズな人は、お金にもだらしない」というお言葉。時間を守らないとか、公共料金の支払いを忘れるような人は、信用を失い、お金も逃げていくというロジックのようです。そういえばプロバイダと二重契約をしてしまったのは、電話料金の支払いを忘れて解除されてしまったことに端を発していました。これからは締め切りと名のつくものは守ろう。そしてお金に対する考えというよりも、生き方トータルを引き締めようという気持ちにさせてくれた書籍なのでした。
「お金の貯まる人はここが違う」
著者:邱永漢
出版社:光文社
価格:420円
ファイル形式:XMDF PC
購入サイト:ビットウェイブックス