2022年8月12日から15日まで、オンラインにて高校eスポーツの祭典「STAGE:0 2022」が開催されました。参加校数・参加者数は、2,060校2,559チーム6,728名と過去最大。ちなみに、昨年は2,145校2,478チーム5,919名で、参加校数は微減しましたが、参加チーム、参加者数は年を重ねるごとに増えています。
メイントーナメントタイトルは、『League of Legends(リーグ・オブ・レジェンド)』『Fortnite(フォートナイト)』『クラッシュ・ロワイヤル』の3タイトルで、サイドトーナメントの「ゲームパーティ」には『Fall Guys』『VALORANT』の2タイトルが採用されました。
まず、12日と13日には『League of Legends』のトーナメントを実施。12日はベスト8と逆シードの5試合、13日は準決勝と決勝の3試合が行われました。トーナメントはBO1(1勝勝ち抜け)のシングルエリミネーション方式で、決勝戦のみBO3(2勝勝ち抜け)が採用されます。
『League of Legends』部門は第1回大会からN高校が優勝しており、今年の4連覇が達成されるかに注目が集まります。さらに、N高校3年生のrre選手は1年生からレギュラーとして出場しており、自身の3連覇もかかっています。
優勝候補筆頭はN高校「N1」ですが、昨年の全国高校eスポーツ選手権でN高校を破り、優勝したクラーク記念国際や、決勝大会に2チームが進出しているルネサンス大阪高校、N高のライバル校として君臨した岡山共生高校など強豪ぞろいです。
そんな中、王者N校は、ルネサンス大阪高校と岡山共生高校を下し決勝戦へ進出。ルネサンス大阪高校戦では序盤危うい展開になりかけましたが、勝利を収め、岡山共生高校戦は圧巻のパーフェクトゲームを披露します。逆シードであるもう1チームのルネサンス大阪高校は、東海大札幌高校、岐阜商業高校、仙台城南高校を打ち破り決勝戦に進出しました。残念ながら、クラーク記念国際は選手が体調不良となり、参加を見合わせます。
決勝戦は、N高校が第1ゲームを勝利すると、第2ゲームではギャンブル性が強く、高い操作スキルを要するドレイブンをピック。すると、序盤から活躍し、終盤は手が付けれらない状態になります。集団戦でも引き際、攻め際を見極め、ルネサンス大阪高校を圧倒し、優勝を決めました。これによりN高校の4連覇、rre選手の3連覇が達成されました。
13日にはタクティカルFPS『VALORANT』を採用したゲームパーティも行われました。予選を勝ち抜いたS高校と福島高専の一戦です。
試合では、S高校が2ラウンド先取されるも、その後7ラウンドを一気に取り返し、流れを掴みます。そのまま危なげなく13-4のスコアで優勝を決めました。
優勝後はエキシビションマッチとしてプロチーム「IGZIST」と対戦。プロチームと言えど、高校生選手も在籍しており、同年代の選手との対戦です。しかし、プロの壁は厚く「気がついたらやられていた」という圧倒的な実力差で、勝敗が決しました。
14日は『Fortnite』と『Fall Guys』が行われました。『Fortnite』では、昨年の大会で優勝目前の最後の試合で大逆転され、わずか1ポイント差で準優勝となったRuiサナ選手のチームがリベンジを果たせるかに耳目を集めます。
『Fortnite』は、比較的年齢層が低いeスポーツタイトル。小学生からゲームをプレイしはじめる人も多く、高校生では国際大会で活躍する選手もいるほどです。今大会にも「Fortnite Champion Series(FNCS)」のアジア大会で活躍している選手が多く登場しており、高校生大会ながらハイレベルな試合展開が予想されます。
試合は、2人1組チームのデュオ。予選を勝ち抜いた44チームによって争われます。全6ラウンド行われ、各ラウンドの順位ポイントとエリミネート(撃破)ポイントの合計がもっとも高いチームが優勝です。各ラウンドで優勝(ビクトリーロイヤル)しなくても、コンスタントにポイントを稼いでいれば優勝できる方式です。
試合は、ROUND1とROUND4でビクトリーロイヤルを獲得した水島工業が、ほかのラウンドでも大きく沈むことなく、ポイントを重ね、圧倒的大差で優勝しました。
大きく差が出たのは撃破ポイント。2位と32ポイント差を付けており、終盤まで生き残ることと、相手を倒しにいく相反することを両立させた結果が優勝につながりました。
なお、水島工業は、ROUND1でまいぽり選手が、ROUND2であるぱか選手が開始直後に倒されており、どちらも蘇生してから最後まで生き残っています。
蘇生中に倒されてしまう可能性もあったので、どちらかのROUNDで早々にリタイアしていれば、これだけ余裕のポイント差で勝つことはできなかったかもしれません。改めて蘇生の重要さが示されました。
『Fall Guys』は、予選を突破した高校生に加え、スタジオにいるアンバサダーのアンガールズ・田中卓志さんやスペシャルサポーターのアルコアンドピース、土佐兄弟、それにゲストのインフルエンサーのsawaさん、オンラインゲストのインフルエンサーを交えて、ゲームパーティに相応しいお祭り感満載の対戦です。全部で3ラウンド行い、1位になった人が決勝戦に進出。決勝戦では3人対戦で先に2勝した選手が優勝です。
初戦は昨年の優勝者であるN高校のfuna_3935選手が圧倒的な強さで優勝します。2戦目は電波学園あいち情報専門学校のTomo_Suzu42選手が勝利。3戦目はオンライン参加のゲストプレイヤーであるインフルエンサーのFate Gamesが勝利しました。
決勝戦の1ゲーム目は時間切れで決着が付かず、3人とも勝利。従って2戦目で勝利した人が優勝です。その2戦目では、funa_3935選手の絶妙な掴みで相手の行動を封じ、ミスを誘って勝利しました。これでfuna_3935選手の連覇です。funa_3935選手はまだ2年生なので、『League of Legends』のrre選手と同様に来年3連覇に挑むこととなりました。
最終日の15日には、『クラッシュ・ロワイヤル』の決勝トーナメントが開催されました。『クラッシュ・ロワイヤル』部門の昨年の優勝はN高校。今年もN高校が決勝トーナメントに進出しています。しかし、昨年優勝したN高校のチームは、今回決勝トーナメントに進出したチームに予選の決勝戦で敗北しており、同じN高校ながら違うチームの参加です。
今大会では、前大会で優勝候補と目されていながら準決勝で敗退した同志社高校や、プロ選手並のトロフィー数を誇るおどろねすの会選手率いる開成高校が、打倒N高校に挑みます。
N高校は、逆シードのため、ほかのチームよりも1戦多く戦わなくてはなりません。そのため、試合数の分だけデッキや戦い方を公開するというデメリットがありました。実際、N高校は初戦の玉野商工に2-0で勝利するも、ベスト8の沖縄商学戦では2-1、準決勝の開成高校戦でも2-1とギリギリで勝ち上がっています。もう1校の決勝進出校は同志社高校。ベスト8、準決勝ともに2-0で勝利しています。
決勝戦では、1戦目で愛亜酢選手が勝利し、同志社高校が優勝に王手をかけるも、N高校が2戦目、3戦目をとり、連覇を果たしました。
eスポーツはタイトルによって、活躍する年齢層が違うため、高校生でも十分に活躍できます。「STAGE:0」で採用されている『Fortnite』や『クラッシュ・ロワイヤル』は最たるもので、プロシーンやそれに準ずる国際大会で活躍している選手が「STAGE:0」でも躍動していました。
そのため、ゲームのスキルはもはや高校生枠、アマチュア枠を超えていると言えます。ただ、一般的な大会とは違い、同一高校でしかチームを結成し参加できないため、単純に強い選手が勝てるわけではないところが「STAGE:0」のおもしろさでもあるでしょう。
今回も、『Fortnite』のまいぽり選手やRuiサナ選手、zazi選手など、競技シーンで活躍している選手が高校生大会でどんな活躍を見せてくれるのか、パートナーとどんな連携を見せるのかが見どころの1つと言えました。
同一高校による参加は、ある種足かせになる部分もありますが、同一高校から1チームのみの参加となっていない点は、大会参加のチャンスを増やしているとも言えます。監督やコーチによるレギュラー選抜で大会出場が決まることもなく、3年間補欠として大会出場の機会を得られずに終わってしまうことなく、参加できることは選手にとっては喜ばしいことなのではないでしょうか。
実際に今大会で、『League of Legends』部門ではルネサンス大阪高校が2チーム出場し、『クラッシュ・ロワイヤル』で優勝したN高校は同校の昨年優勝チームを予選で倒しています。もし、同一高校で1チームしか出場できないのであれば、『League of Legends』のルネサンス大阪高校の準優勝や『クラッシュ・ロワイヤル』のN校の優勝はなかったかもしれません。
セカンド、サードチームが大会に参加した場合、その多くが予選敗退となるかと思われますが、それでも大会に出場できたことは大きな財産となり得るはずです。今回の「STAGE:0」はそんなことを思わせる大会でした。
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