7月9日~10日の2日間、幕張メッセ1~8ホールにて、ミクシィによるライブエンターテインメントショー「XFLAG PARK 2022(フラパ20220)」が開催されました。幕張メッセによるオフライン有観客イベントとしては2019年以来、3年ぶりです。
ステージや飲食エリアで賑わう「XFLAG PARK 2022」
会場では、各種ステージイベントをはじめ、体験型のアトラクション「轟絶なる挑戦 ~分断者からフラパを守れ!~」や「モンソニ!」楽曲で遊べるリズムゲーム「モンソニ!BEAT」、声の大きさでモンスターのラブ度を計る「フラパの中心で愛を叫ぶ!」、『モンスターストライク』のガチャを大画面で体験できる「ハイパーガチャリドラ大明神」など、オフラインならではのイベントが各種展開されていました。
ステージでは、「ぱなえ」や「さしみ」など、XFLAGの中の人をはじめ、「タイガー桜井」、「けーどら」といった『モンスト』の解説者、プロ選手がさまざまな演目に出演。「ザ・たっち」や「マックスむらい」、「あべみかこ」、「ゴー☆ジャス」など、フラパでお馴染みの有名人、芸能人も会場を賑わせていました。
また、会場の大きなスペースを占めていたのは「飲食エリア」です。さまざまな種類のキッチンカーが並んだ「フラパ屋台村」と、イベント特別メニューが食べられる「フラパ食堂」の2つを用意。どちらも入場制限が行われており、コロナ対策はバッチリです。入場予約をスマホで行えたので、長蛇の列ができることもなく、うまく人を分散できていました。
地方予選を勝ち抜いた8チームによる「モンストグランプリ2022」決勝
フラパといえば、メインコンテンツの1つが、『モンスターストライク』のeスポーツ大会「モンストグランプリ」です。フラパは3年ぶりですが、モンストグランプリは昨年無観客で開催していたので、こちらは2年連続での開催となりました。
フラパで行われたのは、各地方予選を勝ち抜いた8チームによる「モンストグランプリ」の決勝トーナメント。優勝賞金は3000万円とかなり高額です。
参加資格は18歳以上(高校生不可)のみで、プロ、アマ問わず参加できます。アマチュアチームがグランプリ決勝で上位2チーム以内に入賞すると、賞金のほかに、プロライセンスの取得の権利が得られます。昨年は準優勝した「ミラノ風カルボナーラ」がプロライセンスを取得しました。
「モンストグランプリ2022」の出場チームは、関西予選を突破した、「Possible【α】」「どんどんススムンガ」、中部予選を突破した「GV」「MTT」、九州予選を突破した「ミラノ風カルボナーラ」、北海道・東北予選を突破した「Make Sense」、関東予選を突破した「いんふぃにてぃふらいず」「きまぐれクリティカル」の8チームです。
プロチームもしくはプロライセンスを保持した選手で構成されたチームが4つ、アマチュアチームが4つと、例年以上にプロライセンスの取得が難しい顔ぶれになりました。
ちなみに、プロライセンス保持者で構成されたチームは「MTT」。メンバーは、「キャッツ」のるんるん選手、あやたか選手、「今池壁ドンズα」のなんとかキララEL、「今池壁ドンズα」のメンバーとして参加したポールモール選手です。
9日に行われたタイムアタックラウンドでは、上位から「GV」「ミラノ風カルボナーラ」「きまぐれクリティカル」「どんどんススムンガ」「Make Sense」「MTT」「Possible【α】」「いんふぃにてぃふらいず」の順位になりました。
順位が上位のチームには、対戦時にキャラクターピックの先攻後攻選択権と決勝のバトルラウンドのトーナメントを先に選択できる権利が与えられます。ピックの選択権は、チームを組み立てやすくなるので、この時点で「GV」と「ミラノ風カルボナーラ」はかなり優位に立てたと言えます。
決勝トーナメントの組み合わせは見事にプロチーム対アマチュアチームの構造になり、最低でも1回、基本的には2回プロチームに勝利しないと、アマチュアチームはプロライセンスの取得が難しい形になりました。
初戦は、「ミラノ風カルボナーラ」「きまぐれクリティカル」「どんどんススムンガ」「GV」が勝利。この時点ですでにアマチュアチームは「きまぐれクリティカル」のみとなりました。
「きまぐれクリティカル」にプロライセンスを保持している選手はいませんが、Spring選手とHHP選手は、モンストプロツアーやモンストプロリーグでサブメンバーとして参加し、試合に出た経験があります。実力の高さは裏付けされていますし、大舞台にも慣れているでしょう。さらに、「きまぐれクリティカル」はアマチュア最強チームとの呼び声が高く、初戦を終了した時点では、もっとも優勝に近いチームと目されていました。
準決勝第1試合は、「きまぐれクリティカル」対「ミラノ風カルボナーラ」。昨年、「ミラノ風カルボナーラ」は、準決勝でプロチーム「Cats」に勝利してプロチームになりました。しかし、今年は昨年の「Cats」と同じ立場。プロチームとして、プロライセンス取得の大きな壁として「きまぐれクリティカル」の前に立ちはだかります。
ここでプロの意地を見せた「ミラノ風カルボナーラ」が「きまぐれクリティカル」に勝利。「モンストグランプリ2022」での新プロチーム誕生はなくなりました。
準決勝第2試合は、「GV」対「どんどんススムンガ」のプロチーム対決。昨年のグランプリ覇者である「GV」は初の連覇を目指し、「どんどんススムンガ」は幕張開催でのグランプリ連覇を目指します。
「GV」と「どんどんススムンガ」の組み合わせでは、「GV」が圧倒的な結果を残しており、グランプリ、プロツアー、プロリーグと6戦全勝と相性の良さを見せています。「どんどんススムンガ」としては、苦手チームを作っておくわけにはいかないでしょう。ここで初勝利を狙います。
しかし、結果は「GV」の勝利。7敗目を喫してしまいましたが、「どんどんススムンガ」にミスはなく、やりきったうえでの敗北だったので、これまで以上に手応えを感じた試合だったのではないでしょうか。
決勝のカードは「GV」と「ミラノ風カルボナーラ」。奇しくも昨年のグランプリの決勝と同じ組み合わせです。昨年は「ミラノ風カルボナーラ」が「GV」よりもタイムアタックラウンドの順位が上で、ピックの選択権があり、優位な状態でした。その利を活かして「ミラノ風カルボナーラ」が先勝するも、そのあと連敗し、敗北。今年は「GV」にピック選択権があり、昨年以上に不利な状態です。
そんな状況で、今年も先勝したのは「ミラノ風カルボナーラ」でした。昨年の記憶がよみがえるなか、2戦目へ。ちなみに、今大会の「GV」は初戦も準決勝も1戦目を落とし、逆転で勝ち上がってきています。その点からも、1戦目の敗退が「GV」勝利へのフラグであるかに感じさせました。
しかし、後攻ピックとなった「ミラノ風カルボナーラ」が、「GV」の邪魔をするピックをし、相手のオーダーを崩しにかかります。もちろん、相手の邪魔をすることは、自分たちのオーダーも崩れるのですが、あえての決行。その戦略が功を奏し、連勝で「GV」を破って初のグランプリ優勝を果たしました。
ピックを崩す戦術確立により『モンスト』の対戦は次のステージへ
試合後には、「ミラノ風カルボナーラ」リーダーのleft選手が「邪魔をすることで自分達のピックも崩れますが、それを想定したうえで、練習してきました」と決勝のピック崩しについて言及していました。
これまでのピックは、基本的に自分達がやりたい理想手に近いオーダーを狙っていくのが常套手段でした。そのため、ピック選択権保持チームが優位だったのです。
しかし、今回の「ミラノ風カルボナーラ」の選択により、『モンスタースタジアム』の対戦シーンが次のステージに突入しました。これからは、相手のオーダーを予想し、それを邪魔する手立てを考え、邪魔したピックで獲得したモンスターを自分達の攻略で有効活用することが、戦術の1つとして使われるようになるでしょう。
当然、相手に同じことをされた場合の対策、つまり対策の対策も必要となり、攻略の幅はこれまでと比べものにならないほど広がりました。難度も格段に上がったと言えます。
「ミラノ風カルボナーラ」は、昨年のグランプリやプロリーグなどで活躍していますが、実は観客の前でプレイするのは初めて。しかも、最初の有観客が幕張の大舞台です。にもかかわらず、練習してきた「ピック崩し」を成功させ、結果を残せたことに、チームの強さを感じました。
なお、「ミラノ風カルボナーラ」のメンバーは、「きまぐれクリティカル」のメンバーと交流があり、チーム同士の仲が良いとのこと。「ミラノ風カルボナーラ」のロゼ選手は、「きまぐれクリティカル」がプロチームになることを心底望んでいました。
それと同時に自分達が優勝することも目標としており、「試合が終わったあとは泣いてしまいました。やっぱり強いプロを倒してライセンスを取ってほしかった気持ちはありましたが、それを僕たちが壁となって塞いでしまったっていうのは複雑でした」と振り返ります。
今年のグランプリでは残念ながら、新たなプロチームは誕生しませんでしたが、昨年のプロリーグでプロ競技大会への出場権を失った「どんどんススムンガ」が、今回のグランプリ決勝に進出したことで権利を復活させています。「はなっぷ」と「らぶましーん」、「アラブルズ」の処遇がまだみえてきませんが、今年も開催されるであろう、プロツアーやプロリーグまでに、復帰のチャンスがあることを期待しています。
久々のオフライン開催となったフラパは、多くの来場者が訪れていました。公式から来場者数の発表はありませんでしたが、見た感じ、数万単位の来場者があったと予測できます。
多くのファンがオフラインイベントを楽しんでいる様子は、取材している側としてもうれしくなりました。新型コロナウィルスの感染者数がまた増えてきているなか、これまでの知見を生かした対策でオフラインイベントを開催できたことを踏まえ、プロリーグの観戦もオフライン有観客で行ってほしいところです。