2月11日から13日に「TOPANGA LEAGUE x TEKKEN7 Season5」の「T1リーグ」が開催されました。
「TOPANGA LEAGUE x TEKKEN7」は、オープントーナメントの「オンライン予選」と、招待制の本戦下位リーグ「T2リーグ」、本戦上位リーグ「T1リーグ」で構成される『鉄拳7』のeスポーツ大会です。
「T1リーグ」では、前回のSeason4における「T1リーグ」残留組、「T2リーグ」からの入れ替え戦勝ち抜き組、「T2リーグ」からの勝ち上がり組の、計8名によって総当たりのリーグ戦を行います。試合は7試合先取方式。6勝6敗でデュースとなり、2勝差付くまで勝敗が決まりません。ただし、上限があり、デュースが続いても先に10勝に到達したほうが勝利となります。つまり最小で7試合、最大で19試合行われます。
リーグ戦の順位は、勝敗数、直接対決、ポイント数の優先順位で決まります。同じ勝敗数の場合は、直接対決で勝利したほう、三つ巴となった場合はポイントが高い選手が上位となります。
今回の「T1リーグ」に出場したのは、前回王者のチクリン選手をはじめ、弦選手、ダブル選手、Rangchu選手の「T1リーグ」残留組、ノロマ選手、みきお選手の「T1/T2入れ替え戦」の勝者、破壊王選手、B君選手の「T2リーグ」AB各ブロックの1位組の8人です。
これまで入れ替え戦は、「T1リーグ」からの降格組が勝利することが多く、「T2リーグ」でも「T1リーグ」経験者が返り咲くことが多かったのですが、今回、残留組以外の4人はすべて「T1リーグ」初挑戦。ちなみに前回「T1リーグ」から「T1/T2入れ替え戦」に出場し、「T2リーグ」への予定だったノビ選手がスケジュールの都合で欠場したため、はずれメタル選手が繰り上がりで「T2リーグ」に参加しています。
「T2リーグ」は下部リーグながら、Season2で優勝したAO選手や「T1リーグ」経験者のじょうたろう。選手、用心BΩY選手、ゼウガル選手、PINYA選手などが出場。「T1リーグ」以上に過酷なうえ、「T1リーグ」並のハイレベルな戦いを繰り広げていました。
さて、「T1リーグ」ですが、初日は弦選手と破壊王選手が2勝負けなしで一歩リードしていましたが、2日目はチクリン選手、弦選手、破壊王選手が3勝1敗で並び、ノロマ選手、Rangchu選手が3勝2敗で追いかける混戦模様を見せます。最終日は、上位陣の星の潰し合いが行われるなか、5勝1敗同士で弦選手と破壊王選手の2人が最終決戦へとコマを進めました。
そして、最後は、弦選手が破壊王選手を破り、3回目の「TOPANGA LEAGUE x TEKKEN7」の覇者となりました。弦選手は連覇がないものの、奇数回のシーズンでは優勝しており、まさにTOPANGA LEAGUEの申し子と言ったところです。
今回は、注目すべき点が多々あった大会でした。その1つが、破壊王選手の活躍です。
破壊王選手は、プロゲーマーとして活動しながら、定職を持っている兼業プロゲーマー。最近、2人目の子どもが生まれ、家庭人としての顔も持ち合わせています。
当然、普段の練習時間はほかのプロプレイヤーよりも短く、平日に大会に出るには会社に休みを申請しなくてはならなりません。実際、「TOPANGA LEAGUE x TEKKEN7」では、Season5にして2回目の挑戦。その数少ないチャンスを活かし、「T2リーグ」ではグループ抜けを果たし、「T1リーグ」では準優勝の快挙を成し遂げました。
また、使用するキャラクターは、プロレスラーのキングとアーマーキング。トップクラスの選手では投げ技を抜けて無効化することが当たり前の状態でありながら、投げが主体のキングを使っているところにキャラクター愛を存分に感じます。プロライセンス保持者では唯一と言えるキング使いです。
「TOPANGA LEAGUE x TEKKEN7 Season5」では、強キャラが分散したことにより、ダブル選手がロウ、弦選手がシャヒーン、チクリン選手がギースを使い、魂の持ちキャラを復活させていましたが、リディアやファーカムラムが登場する場面も多く、それだけにキングとアーマーキングは異彩を放っていました。
キングというキャラクターの人気、決して有利とは言えない相性、さらに選手自身の人柄からか、破壊王選手への応援コメントはかなり多く、心なしか実況解説もキング寄りだったと感じるほどでした。
次に注目すべき点は、Season5にして初めて『鉄拳』の神童と呼ばれた3人がTOPANGAリーグにそろい踏みしたことです。そのプレイヤーは、元祖神童であるダブル選手、本家神童であるノロマ選手、新星神童である弦選手の3人。いずれも小学生のころから頭角を現し、現在まで活躍を続けているプレイヤーです。まだeスポーツが世に知れ渡っていないころから活動している選手ばかりで、3選手とも人生の半分、もしかしたら2/3を『鉄拳』に捧げていると言えます。
昔から『鉄拳』の大会シーンを観ている人にとっては、大人になった天才子役がそろった作品を観ているように思えたのではないでしょうか。一方で、弦選手以降の『鉄拳』神童プレイヤーが出現していないことが気がかりでもあります。
最後に、選手層の厚さを見せた『鉄拳7』プレイヤーです。今大会は前述した通り、入れ替え戦を含め4人の選手が「T2リーグ」から上がってきています。Season4までは「T1リーグ」に新顔がたまに参加する程度で、選手が固定化してきた印象がありました。『鉄拳7』のeスポーツシーンをTOPANGAリーグでしか観ていない人にとっては、まだ見ぬ強豪がいることを知ったのではないでしょうか。
なお、「T1リーグ」で全敗と残念な結果となったB君選手ですが、猛者ぞろいの「TOPANGA LEAGUE」において、プロライセンス非所持者ながら「T1リーグ」へ勝ち上がっています。弦選手と同じ21歳とのことなので、これからの活躍に期待が持てます。
同じくライセンス持ちではないのが、みきお選手。格闘ゲーム大会の「EVO Japan 2020」では準優勝を果たしたプレイヤーです。当時はリロイが無類の強さを発揮しており、ファイナリスト8名中6名がリロイを使うなか、ジュリアを使って活躍しました。
2月23日、27日には、久々にプロライセンスの取得チャンスとなる「MASTERCUP TRY ONLINE 2022」の予選トーナメントが開催されます、みきお選手やB君選手、そして韓国勢ながら日本で活躍しているRangchu選手が出場すると思われますので、待望のプロライセンスを誰が獲得するかチェックしておきたいところです。
「T2リーグ」から昇格組の最後の1人であるノロマ選手は、T1リーグでは勝ちが先行しなかったので、優勝戦線には入り込めませんでしたが、結果は堂々の4位。「T1リーグ」残留を決めています。どの選手と対戦しても大きな勝敗の差が付かず、安定した戦いっぷりを見せていました。
「TOPANGA LEAGUE x TEKKEN7」では、常連プレイヤーが安定の強さをみせており、しばらくはその趨勢は変わらないかと思われてきました。しかし、『鉄拳7』プレイヤーの層は思ったよりも厚く、「T1リーグ」へ未出場の強力なプロプレイヤーや、実力がありながらプロライセンスを保持していないプレイヤーがまだまだいるのです。
バンダイナムコエンターテインメントの安田イースポーツ氏は、暑くなったころに次回の大会を開催したいと話していたので、2022年の夏はどんな顔ぶれの大会になるのか、今から楽しみです。