オンラインストラテジーゲーム『クラッシュ・ロワイヤル(クラロワ)』のプロリーグ「クラロワリーグ アジア」のシーズン2が8月22日に開幕しました。シーズン1は、複数のゲームタイトルにおいて競技を行う国際的なeスポーツ大会「World Cyber Games(WCG)」出場への切符をかけた戦いでしたが、シーズン2では、「クラロワリーグ世界一決定戦」への出場がかかっています。クラロワリーグの世界一を決める大会なので、シーズン2がある意味本番ともいえるでしょう。そのシーズン2が開催される韓国へ取材に行ってきました!
シーズン2もシーズン1と同様に韓国での開催。そのため、日本チームは約2カ月間、韓国に滞在し、リーグを戦い抜くわけです。シーズン1では、日本チームのなかでは「FAV Gaming」のみ、日本から試合ごとに韓国へ渡航するスタイルをとっていましたが、シーズン2では「FAV Gaming」も韓国に滞在。すべての日本チームが約2カ月間、韓国でクラロワリーグ アジアを戦うことになりました。
ちなみに、今回も韓国を拠点として大会を開催する理由は、韓国のテレビ局「OGN」がスタジオを所有しており、2カ月の長期間でも試合を続けられるため。日本国内だと専用施設がないので、試合ごとにスタジオを借りて、セットを組まなければならず、手間とコストがかかってしまうわけです。そういう点では、まだまだ日本はeスポーツのインフラが整っていない問題が存在しているといえるでしょう。
国内でeスポーツリーグを定着させるには、試合を定期的に行えるスタジオやアリーナの建設が急務かもしれません。ただし、OGNのスタジオは、配信や放送をする設備はあるものの、試合を観戦するという意味ではまだまだ。日本で観客が入るアリーナを作れれば、OGNスタジオのようにリーグ戦を行うことは十分可能です。
Supercell殿村氏が語るルール変更の裏側
さて、クラロワリーグ アジアではシーズン2から、北米・ヨーロッパ・ラテンアメリカなどから構成される「WEST」や、中国地区「China」といったほかのエリアのクラロワリーグと、ルールの統一を図るべく、新たなレギュレーションで戦うことになりました。
新たなレギュレーションは、「1v1やKoH(キングオブヒル、3対3の勝ち抜き戦)でのBANシステム(相手に使わせないカード、キャラクターを指定する制度)の廃止」「クラロワリーグ アジアのA・Bグループの交流戦の廃止」「プレーオフのダブルエリミネーションの採用」などが挙げられます。
シーズン2まで「クラロワリーグ WEST」では、BANシステムが採用されていませんでした。運営元であるSupercellのeスポーツアジア担当 殿村博氏によると、BANシステムがないことで、似たようなデッキになったり、偶然の勝利が発生したりしないか検証したところ、1v1では差がほとんど見られず、2v2ではデッキの種類が限定されがちになるという結果が出たそうです。そこで、1対1で対戦する1v1やKoHはBANシステムを採用せず、2v2だけにするという結論に至ったとのことでした。
また、A・Bグループ分けはシーズン1も行われていましたが、すべてのチームと1回ずつ対戦するシステムであったため、あまりグループの重要性がありませんでした。さらに、シーズン前半に同一グループ戦、後半に交流戦を行っていたため、後半に直接対決がなく、逆転するには、違うグループのチームの勝敗に左右されてしまうという問題もあったのです。そこで今回、同一グループのみ2回ずつ対戦するシステムに変えて、順位が入れ替わりやすい直接対決を増やしたことで、1戦目で負けたチームのリベンジの機会もできました。
出鼻をくじかれた日本勢チーム
グループ分けは、日本チームの「PONOS」をはじめ、東南アジアチーム「CHAOS THEORY」や「KIX」「TALON」がいるグループAが激戦区のように思われていましたが、いざ、開幕してみると、A・Bともにバランスのいいチーム構成となっており、どちらも熱い戦いを繰り広げてくれそうな気配です。
開幕戦では、シーズン1で優勝したPONOSと準優勝したGameWithがいずれも敗退し、ほかの日本チームのFAV GamingとDetonatioN Gamingもあまりいいスタートダッシュを切ることができませんでした。先ほど言ったように、同じチームとはもう一度対戦する機会があるので、次の試合では雪辱を果たしてほしいところです。
WCGを経験したGameWithは何を思う
また、今回、シーズン1で準優勝したGameWithに、中国で行われたWCGについて話を聞くことができました。2018年のクラロワリーグでは、残念ながら世界一決定戦には出場できなかったGameWith。WCGが初めての国際試合でした。
WCGは、クラロワリーグ アジアで適用されていたルールと異なるルールで試合をする必要があるうえに、トラブルで試合開始が大幅に遅れるなど、GameWithの選手たちが初の国際大会で手痛い洗礼を浴びている様子が伝わりました。そんな過酷な状況のなかでも、アジア代表として、PONOSやCHAOS THEORYとアジア代表として同じチームで戦ったり、練習したりしたことが大きな糧になっているといえるでしょう。
「クラロワリーグ アジアでは敵同士となるので、戦術などの話はできませんでしたが、WCGでは同じアジア代表としていろいろな話ができました。CHAOS THEORYはやはり言葉の壁がありましたが、それでも行く前とあとでは雲泥の差があるくらいの仲の深まりがありましたね」(ゼロス監督)
日本ではどのチームも一目を置く1v1のスペシャリストであるKK選手も、世界のレベルを知り、より上を目指せると確信した様子です。
「TEAM LIQUIDとの試合で、マック選手と対戦をしたんですが、今の自分の実力では、まだまだ力が及ばないと感じました。すべてのプレイがきれいで完璧だったのです。ただ、マック選手との対戦により、自分の腕もまだまだ伸ばせると確信することができました」(KK選手)
KK選手が、その実力の高さを認めたマック選手が所属するTEAM LIQUIDは、選手層も厚く、2v2の実力の高さが特に目立っていたそうです。
2018年の世界一決定戦では、クラロワリーグ Chinaのチーム「Nova Esports」が圧倒的な強さで優勝しましたが、2019年はクラロワリーグ WESTが頭ひとつ抜き出てる様子。短期間でこれだけ、強さのトレンドが変わるクラロワだけに、今後アジアのチームがほかのエリアを圧倒する機会もあるかもしれません。クラロワリーグ アジア 2019 シーズン2での活躍にも期待しましょう。