2022年1月22日に、「eBASEBALLプロスピAリーグ」2021シーズンのe日本シリーズが開催されました。eBASEBALLプロスピAリーグは、スマホアプリ『プロ野球スピリッツA』を使用したeスポーツリーグ戦。セ・パ両リーグが各チームと1節3試合、計15試合を行うeペナントレースを行い、その上位3チームがeクライマックスシリーズに進出します。
セ・リーグは、圧倒的な勝率を誇る広島東洋カープがeペナントレースを優勝し、中日ドラゴンズと東京ヤクルトスワローズがeクライマックスシリーズに進出。eクライマックスシリーズでも広島東洋カープが全勝し、e日本シリーズへコマを進めました。
パ・リーグは、混戦の中、一歩飛び出した東北楽天ゴールデンイーグルスがeペナントレースで優勝。千葉ロッテマリーンズと福岡ソフトバンクホークスがeクライマックスシリーズに進出します。eクライマックスシリーズでは、千葉ロッテマリーンズに2連勝、東北楽天ゴールデンイーグルスに3連勝と無傷の5連勝を決めた福岡ソフトバンクホークスが、e日本シリーズへの出場権を獲得しました。
広島東洋カープは、第3節最終戦からeクライマックスシリーズファイナルステージまで、9連勝中と手が付けられない強さ。特に渡邊太智選手は無敗の6連勝を記録しており、抜群の安定感を誇っています。
福岡ソフトバンクホークスは、eペナントレースでは1度も首位に立つことなく、逆転でeクライマックスシリーズの出場権を獲得。eクライマックスシリーズでは自慢の打線が爆発し、千葉ロッテマリーンズの第2ゲームでは強制終了、東北楽天ゴールデンイーグルスの第1・3ゲームで強制終了、第2ゲームでコールド勝ちを収めています。
ちなみに、どんな状況でも8点差が付いた時点で強制終了となり、イニング終了時に5点差が付くとコールドゲームとなります。
e日本シリーズは、3イニングマッチのBO5(先に3勝した方の勝利)で行われます。第1ゲームは無敗の渡邊太智選手が勝利し、全シーズンを通しての無敗を継続。第2ゲームは4-4の同点での試合終了となりましたが、ヒット数、ホームラン数、奪三振などから計算されるゲーム独自の「試合ポイント」により、広島東洋カープの桃坂選手がからくも勝ち抜け。広島東洋カープが日本一にリーチをかけます。そして、続く第3戦は広島東洋カープの永久選手の打撃が爆発し、初回コールド勝ち。広島東洋カープが3連勝でeBASEBALLプロスピAリーグ2021の日本一に輝きました。
試合終了後には表彰式が行われ、各個人賞は下記の通りになりました。
【セ・リーグ】
最多奪三振:桃坂剛司選手(広島東洋カープ)、吉原一石選手(東京ヤクルトスワローズ)、永井稜一選手(阪神タイガース)
最優秀防御率:渡邊太智選手(広島東洋カープ)
打点王:岡田和畝選手(横浜DeNAベイスターズ)、井上佑樹選手(阪神タイガース)
本塁打王:岡田和畝選手(横浜DeNAベイスターズ)
首位打者:永久尚弥選手(広島東洋カープ)、上杉勇人選手(横浜DeNAベイスターズ)
【パ・リーグ】
最多奪三振:西山隆輝選手(福岡ソフトバンクホークス)、小倉康一選手(千葉ロッテマリーンズ)
最優秀防御率:皆川友汰選手(北海道日本ハムファイターズ)
打点王:森田悠介選手(オリックス・バファローズ)
本塁打王:波多野蒼(埼玉西武ライオンズ)
首位打者:森田悠介選手(オリックス・バファローズ)
ファイト イッパーツ!賞:オリックス・バファローズ
ナイススピリッツ賞:井上佑樹選手(阪神タイガース)、小倉康一選手(千葉ロッテマリーンズ)
ファン投票第3位:井上佑樹選手(阪神タイガース)、吉田悦大選手(福岡ソフトバンクホークス)
ファン投票第2位:渡邊太智選手(広島東洋カープ)、森田悠介選手(オリックス・バファローズ)
ファン投票第1位:金田啓吾選手(横浜DeNAベイスターズ)、藤木斗頼選手(福岡ソフトバンクホークス)
ファン投票最多投票:金田啓吾選手(横浜DeNAベイスターズ)
MVP:渡邊太智選手(広島東洋カープ)
ナイススピリッツ賞は、成績のみにかかわらず、情報発信や社会貢献などを行い、スピリーグに大きく貢献した選手に与えられる賞。井上佑樹選手は手話を使い、聴覚障がいの視聴者に対してスピリーグの楽しさを伝えていました。
小倉康一選手は口唇口蓋裂という障がいをTwitterで公表し、障がいの有無にかかわらずeスポーツで活躍できることを体現。多くの同じ障がいを持つ人たちの希望になったでしょう。
eスポーツは老若男女、障がいの有無にかかわらず同じ土俵で対戦できることが魅力のひとつとして言われてきましたが、ナイススピリッツ賞を受賞した2人は、まさにそれを実現したといえます。
ファン投票最多投票となった選手は、2月26日から予選が開始される「プロスピAチャンピオンシップ」決勝大会への進出権が与えられますが、獲得した金田啓吾選手は、1勝4敗というスピリーグの結果が思わしくなかったため、相応しくないと、辞退を表明。金田啓吾選手は「プロスピAチャンピオンシップ」に、予選大会から参加し、自分自身の力で勝ち取ることを決断しました。
最後に、優勝チームの表彰が行われました。優勝した広島東洋カープには、球団ファン応援感謝企画として500万円が球団に進呈されます。広島東洋カープは、チームを応援してくれたファンに対して、MAZDA Zoom-Zoomスタジアム広島のひろぎんパーティーフロア(団体席)やその他指定席への招待、カープキャラクターグッズの提供、試合前練習や施設見学ツアーの実施などに充てることを発表しています。eスポーツ大会の結果が、実際のプロ野球ファンへの還元となり、eスポーツとフィジカルスポーツが一体化して応援できる良いシステムです。
優勝チームを含め、各賞を獲得した選手たちのコメントで気になったのは、次回の開催についてです。多くの選手が「次回もプロスピリーグが開催されるのであればがんばります」とコメントを残しており、2022-2023シーズンの開催が確定的でないことを案じているように感じました。
というのも、プロスピAリーグは、「eBASEBALL」として開催しており、2021年までは『パワフルプロ野球』を使用した大会でした。2021-2022シーズンから『プロ野球スピリッツA』に変わりましたが、次回はまた『パワフルプロ野球』に戻るかもしれないですし、Nintedo Switch版の『プロ野球スピリッツ2021 グランドスラム』になるかもしれないわけです。そもそも「eBASEBALL」自体が開催される保証もありません。そのあたりについては、選手に信用されていないように思えます。
プレイヤーとして遊んでいる先に大会があるのであれば、大会の有無は多くの目標のうちの1つとして考えられますが、eスポーツとして、プロプレイヤーとして今後続けていくのであれば、大会が継続されるかは重要。選手は強くなるために多くのリソースを割いていますが、大会がなくなると活躍のフィールドが失われてしまいます。
できるなら、来季は『パワフルプロ野球』と『プロ野球スピリッツA』の2大タイトルでの開催をすることを願いたいところです。