2021年12月19日、さいたまスーパーアリーナにて、『Shadowverse』の世界大会である「Shadowverse World Grand Prix 2021(SVWGP2021) GRAND FINALS」が開催されました。2020年は新型コロナウイルスの影響により開催が中止されたので、2年ぶりの大会です。しかも、2年分の予選通過者や招待選手48名を招き、優勝賞金も過去最大の1億5000万円、賞金総額2億8000万円の大規模大会となりました。11月13日、14日にDAY1&DAY2を実施。そこを勝ち抜いた8名が12月19日のGRAND FINALSで戦います。
GRAND FINALSのレギュレーションは、シングルエリミネーショントーナメントです。すべて最新のカードパック5セットからデッキを作る「ローテーション」で行われ、プレイヤーは異なるクラスのデッキを3つ用意します。試合はBO5(3勝勝ち抜け)で行いますが、勝利したクラスのデッキは使用できなくなるので、すべてのデッキで勝利するという“Shadowverse力”を問われるレギュレーションといえるでしょう。
GRAND FINALSに進出したのは、negima選手、Shitaue/iDeal選手、Hanada選手、KSW選手、Meow944選手、kakip選手、ZeNX選手、MingiGod選手の8名。コロナ禍により来訪できなかった選手もいますが、韓国をはじめとする海外選手も参加しており、World Grand Prixに相応しい大会です。
決勝のカードはnegima選手とkakip選手。実は日本人同士の決勝戦はSVWGP史上初です。唯一残っていた海外勢のMingiGod選手は、準決勝でkakip選手に敗れました。
negima選手は「RAGE Shadowverse 2020 Spring」で優勝しており、SVWGP2021の最初の出場枠獲得選手です。一方、kakip選手は、最後の出場枠をかけて戦う「RAGE Shadowverse 2021 Winter」で優勝して出場を確定しました。ほぼ2年離れた出場枠獲得者による決勝戦は、まさに今大会を象徴すると言えるのではないでしょうか。
初戦はnegima選手のウィッチとkakip選手のエルフの対戦。終盤kakip選手の悪手によって大きく不利な状況になります。しかし、negima選手はその有利状況があろうがなかろうが、相手を倒しきるカードをドロー。一気に倒しきり、勝利を収めました。
次の試合も引きずりそうな大きなミスをしたkakip選手ですが、結果的にミスがなくても負けていたことで切り替えられたのか、次戦のネクロマンサーミラー、3戦目のエルフミラーで連勝し、優勝に王手をかけます。
4戦目は、kakip選手のデッキのうち、最後に残ったウィッチ。対するnegima選手は3戦目に続きエルフで勝負をかけます。しかし、勢いに乗ったkakip選手がそのまま勝ちきり、賞金1億5000万円を手にしました。
優勝したkakip選手は「Shadowverseは宝です!」とコメント。優勝した実感はまだなく、賞金の使い道もパソコンの購入と答えるのみでした。1億5000万円どころか、SVWGP出場権を獲得した「RAGE Shadowverse 2021 Winter」の賞金400万円ですら、実感がないと答えていたことからも、SVWGP2021が夢の大会であることを示していました。
今大会は、SVWGP2年ぶりというだけでなく、観客を入れた大型会場で久々にeスポーツイベントが開催された点でも注目でした。
新型コロナウイルス接触確認アプリ「COCOA」のインストールが義務付けられ、大声での声援も禁止されるなど、感染対策をしっかりしたうえで実施。すでに屋外スポーツイベントのサッカー天皇杯や、室内スポーツイベントのフィギュアスケートNHK杯など、観客を入れたイベントが開催されているなか、待望のオフラインeスポーツイベントとなりました。
入場無料だったこともあるでしょうが、会場は席がすべて埋まる盛況ぶり。ファンもオフラインイベントの開催を切に望んでいたことがわかります。
オフラインイベントらしく、本大会以外にサイドイベントの2pic大会や4人フライト式トーナメントの開催、公式グッズ販売や来場者特典の配布なども行っていました。
後援に埼玉県がついたこともあり、埼玉県観光PRブースも用意。前大会の大宮ソニックシティでも同様のブースを出しており、SVWGPと言えば「埼玉」と印象付けています。SVWGPパッケージの十万石まんじゅうは限定販売数の100個が早々に売り切れるなど、地域コラボとしても成功を収めました。
とはいえ、新型コロナウイルスは、オミクロン株の登場など、まだまだ安心できる状況ではありません。そのため、2022年のSVWGPの開催については、見送りとなるとの発表がありました。
SVWGPの出場権をかけた戦いでもあった各国の公式大会については開催する予定で、SVWGPが開催されない分の賞金額が、それらに分配されます。これまでは各大会の優勝賞金は400万円でしたが、2022年は1000万円に増額。2位以下も2~4倍の賞金額となっています。
そして、2022年末にはSVWGPに代わるイベントとして「Shadowverse Invitational(仮称)」の開催を発表。2022年に活躍した選手を招聘する大会で、オールスター感のある大会となる予定です。
新たな発表として会場を賑わしたのは、リアルカードゲーム「Shadowverse EVOLVE」の発売です。2022年1月6日にオンラインにて発表会をする予定で、詳しいことはそこで判明するとのことでした。
トレーディングカードとしてもプレイアブルカードとしても、リアルカードの登場を望んでいたファンは多いと思われるので、ファンにとっては最重要な情報だったのではないでしょうか。
ともかく、2022年は残念ながらSVWGPの開催が見送られましたが、年間通じて開催される大会の規模と賞金額が大きくなったことで、より楽しみが増えたと捉えたいところです。