2021年5月29日に横浜新都市ホールにて、『モンスターストライク(モンスト)』日本一を決める大会「モンストグランプリ 2021 ジャパンチャンピオンシップ」の関東予選と、「全国都道府県対抗eスポーツ選手権2021 MIE モンスターストライク部門 少年の部」の関東ブロック代表決定戦が行われました。

2年ぶりに開催された「モンストグランプリ」

2020年の「モンストグランプリ」はコロナ禍のため中止になっており、今大会は2年ぶりの開催です。すでに、地方予選のうち、中部予選、九州・沖縄予選、中国・四国予選、北海道・東北予選が終了。今回の関東予選と最後の関西予選を残すのみとなっています。予選大会は無観客のオフライン。新型コロナウイルスの感染症対策を徹底しての開催となりました。

予選ではまず、タイムアタックラウンドが行われました。その上位8チームが予選決勝トーナメントに進出。AとBの2ブロックでトーナメントを行い、関東予選からはそれぞれの優勝チームがグランプリ決勝大会へコマを進めます。

関東大会では、『モンスト』の強豪プロチーム「今池壁ドンズα」のリーダーであるなんとかキララEL選手が、リーダーの座を移譲し、別チーム「PTA」で参加していました。しかし、結果はタイムアタックラウンド9位。決勝には進めませんでした。

ちなみに「今池壁ドンズα」自体は、今回のグランプリに参加していません。「今池壁ドンズα」に所属しているソファ選手は中部地区「LMBulldozer」のメンバーとして予選を突破しています。

今回、「モンストグランプリ 2021」で準優勝以上の成績を残すと、プロライセンスを獲得できます。なので、「LMBulldozer」が準優勝以上の成績でプロチームとなった場合、ソファ選手が2つのチームでプロとして活動するのか、プロツアーではどっちのチームで参加するのかにも注目です。

関東予選のタイムアタックラウンドで1位となったのは、プロチームの「Cats」でした。プロの実力を遺憾なく発揮し、Aブロックのトーナメントで優勝。グランプリ決勝大会出場を決めました。

これまでの予選大会で、グランプリ決勝大会にコマを進めたプロチームは、中部地区の「GV」だけだったので、ようやく2チーム目のプロチームの決勝進出。前回大会のグランプリ決勝ではプロチームは「アラブルズ」のみだったので、それを上回ることが確定しました。

Bブロックは、タイムアタックラウンドで1位の「Cats」にわずか0.54秒及ばず2位で通過した「砲撃timely’s」が、タイムアタックラウンド3位の「admin」を下し、グランプリ決勝大会の切符を手にします。

  • 約2バトル分の差をつけ、リードしていたadminでしたが、ボスを倒しきれず、反撃を喰らい痛恨のダウン

Aブロック優勝の「Cats」は、勝利者インタビューで、「優勝して安心しました。グランプリの予選では我々Cats以外にGVがプロチームとして参加していますが、プロチーム同士の決勝戦を行い、今年は新たにプロチームを誕生させないつもりで行きます!」と語っていました。

  • プロチームのプレッシャーをはねのけ、関東ブロックの代表となった「Cats」

Bブロック優勝の「砲撃timely’s」は、「モンストグランプリ2019関東ブロック予選で敗退してしまったので、リベンジができました。そのときとはメンバーが2人入れ替わっているんですが、抜けた2人の分までグランプリ決勝でがんばります。練習の段階ではかなり自信があったんですが、いざ大会となると思う通りに手が動かず、ミスの連発でした。試合の端末はいつも使っているものと違っていたり、大会の雰囲気に飲まれたり。グランプリ決勝までには慣れるようにしていきます」と意気込みを語りました。

  • 2年前のリベンジを果たし、グランプリ決勝にコマを進めた「砲撃timely’s」

同時に「全国都道府県対抗eスポーツ選手権2021 MIE モンスターストライク部門 少年の部」が開催されました。全国都道府県対抗eスポーツ選手権は、3回目となる国体の文化プログラムです。2021年の三重大会からモンスターストライク部門が設立されました。

優勝チームが初代王者となる重要な大会。参加できるのは、6歳以上から18歳未満、および18歳の高校生で、チームメンバーが、居住都道府県または学校の所在都道府県が同一の4名であることが条件です。関東ブロック予選では、「休日が終わるんじゃあぁ!」「梅梅高等学校」の2チームが、三重の本大会出場を決めました。

  • 優勝した「休日が終わるんじゃあぁ!」(写真左)と「梅梅高等学校」(写真右)

コロナ禍のイベント開催について運営にインタビュー

2年ぶりのオフライン大会で、しかも地方予選を敢行したモンストグランプリ。未だコロナ禍の終息が見えないなか、今後のeスポーツイベントの在り方の1つを示しているでしょう。そこで、大会を運営する比奈本真氏に、モンストグランプリの開催や今後のeスポーツイベントについて話を聞いてきました。

  • イベント運営を統括する比奈本真氏

――2年ぶりのモンストグランプリですが、開催に至った経緯について教えてください。

比奈本真氏(以下、比奈本):オンラインのイベント運営のノウハウが溜まってきたことで、それをうまく活かせるようになりました。モンストグランプリだと、これまでタイムアタックラウンドは複数チームが同時に行っていたんですが、完全個別にしたことで、密にすることなく行うことができました。ほかにもそういった工夫ができるようになっています。

モンストグランプリ、特に予選は日本全国を回り、『モンスト』仲間が集える機会。その面も含め、地方予選の意味を見つめ直しました。地方予選そのものをオンラインで開催することもできましたが、それではグランプリの意味がないのではないかと考えたわけです。

また、2020年秋に開催した「XFLAG PARK」ではモンストグランプリを入れられませんでした。「XFLAG PARK」にとってモンストグランプリの存在は大きく、抜けたツラさがまざまざと感じられたので、今回は「XFLAG PARK」にモンストグランプリを入れるんだと決意しました。

  • タイムアタックラウンドは個別に行い、さらに3つの時間帯にわけることで人が密にならないようにしていました

――それでもコロナ禍での開催はいろいろな制限もあり、大変だったのではないでしょうか。

比奈本:そうですね。東京に住み、東京で働いている者としては、地方の状態がちゃんと分かっていませんでした。実際に地方に行ってみると、東京で見聞きしていたよりも厳しい状態だったのです。

そのため、とにかくコロナ対策を徹底し、参加者にも協力をしていただきました。そんな状況での予選開催は大変ではありましたが、誰もが経験したことがない状況に挑戦するのやり甲斐はありましたね。

  • 地方予選ではマスク着用、大声禁止、各選手にパーテーションの設置など、あらゆるコロナ対策をもって開催されています

――2021年7月10日、11日に行われる「XFLAG PARK」もオンライン形式になりました。

比奈本:「XFLAG PARK」を開催するにあたり、無観客でやるのか、制限しつつも観客を入れてやるのか悩みました。結果、オンラインとなりましたが、オンラインならではの見せかたができると考えています。

今後コロナがどうなっていくかはわかりませんが、以前通りオフラインで開催できたとしても、オンライン開催で得た知見を残し、活かしていきたいと思います。オフラインになったとしても、遠くに住んでいたり、予定が合わなかったりして、来場できない人もいるわけなので、そういった人たちに来場した人たちと同じように楽しんでいただければいいですね。

――では、最後に「XFLAG PARK」への意気込みをお願いします。

比奈本:「モンストグランプリ」は2年ぶりの開催。まだまだ予断を許さない状況のなか、出場した選手が素晴らしい結果を残しています。「XFLAG PARK 2021」で行われるグランプリ決勝では、さらにワクワクさせてくれると思いますので、ぜひ、ご期待ください。我々は選手や視聴者にできる限りの後押しをしていきます。

――ありがとうございました。

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この2年で蓄積してきた知見を活かし、eスポーツの火を絶やさぬように、コロナ禍におけるeスポーツイベントの形を模索しているモンストグランプリ。あらゆる手を尽くして開催にこぎ着けたものの、それでも関西予選は一度延期せざるを得ませんでした。それでもグランプリが開催されることで、ほかのeスポーツイベントにも1つの指針を示せるのではないでしょうか。「モンストグランプリ」の決勝トーナメントは7月10日、11日を予定。どんな大会を見せてくれるか、今から楽しみです。