2020年2月8日、ヨシモト∞ホールにて、オンラインストラテジーゲーム『リーグ・オブ・レジェンド(LoL)』の国内リーグ戦「LJL2020 Spring Sprit」が開幕しました。

今シーズンの対戦形式は、Bo1(1勝勝ち抜け)のダブルラウンドロビン(全チーム総当たり戦2回対戦)です。スケジュールは例年より過密な約1カ月。また、シーズン終了後に行われるプレイオフは、リーグの上位6チームが出場するので、最後まで目が離せません。

ただし、6チームが同列でプレイオフに進出するわけではなく、リーグ戦1位と2位のチームはプレイオフトーナメントで「1度勝てば決勝、負けても準決勝へ移行」という有利な位置からスタート。ほかの4チームは4戦勝ち抜かないといけない条件ですが、それでもレギュラーシーズン6位のチームまで優勝のチャンスが残ります。

そういう意味では、レギュラーシーズンの価値を問われそうなレギュレーションでもあるでしょう。リーグ終盤戦が消化試合ばかりになることを避けられる反面、順位の価値が希薄になるわけで、このあたりは「痛し痒し」と言ったところでしょうか。そして、プレイオフで優勝したチームは世界大会「MSI 2020」の日本代表として出場します。

  • 開幕戦は満員御礼で立ち見まで出ました。LJL人気の高さが伺えます

LJL参加に必要な条件変更で脱退チームも

今シーズンは、試合のレギュレーションが変わっただけでなく、参加チームの様相も一変。2019年まで参加していた「UnSold Stuff Gaming」が外れ、新たに「Fukuoka SoftBank HAWKS Gaming(SHG)」が参加しています。また、ほとんどのチームが選手を大幅に入れ替えていました。

  • 唯一主要メンバーの入れ替えがなかった「DetonatioN FocusMe」

  • LJL 2019 Summer Sprit2位の「V3 Esports」。「Sengoku Gaming」からRaina選手が加入

  • 2019年の新加入チームだった「AXIZ」も2年目に突入。飛躍の年にすべく韓国人選手でチーム力を強化

  • サポートにProud選手、サブMIDにEugeo選手を迎えた「Burning Core」。新加入の選手は少なめ

  • 新加入の「Fukuoka Softbank HAWKS Gaming」。Tussle選手やRamune選手などお馴染みの選手が顔をそろえています

  • 優勝候補の一角である「Crest Gaming Act」。スカウティングクラウドから入団したYoshi選手やNemoh選手など若手の活躍に注目が集まります

  • 2019年は世界一経験者のBlank選手加入で話題になった「Sengoku Gaming」。さらにYutorimoyashi選手やapaMEN選手など有力選手が加入しました

  • 3人が新加入選手となった「RascalJester」。5人中3人が韓国人選手です

「UnSold Stuff Gaming」のLJL脱退に関しては、運営のライアットゲームズが既存チームにお願いしていた2020年度の出場基準に達しなかったためとされています。

「SHG」は、すでに『Shadowverse』のプロリーグ「RAGE Shadowverse Pro League」にも参戦しており、母体がソフトバンクホークス、ひいてはソフトバンクであることから、新たに設定された新規参入に必要な条件「資本金5,000万円、年間売上25億円以上(ライアットゲームズからの売上げは除く)」には十分応えられるチーム。「UnSold Stuff Gaming」からSasher選手、Tussle選手、Pooh選手、「DetonatioN FocusMe」からRamune選手が入団しており、新規チームながら戦力は整っています。

少人数チームの選手移籍によるファンの困惑を懸念

開幕戦は唯一2勝をあげた「DetonatioN FocusMe」が2020年も安定感を発揮。AXIZが2敗となってしまいましたが、ほかの6チームは1勝1敗のダンゴ状態。大幅な選手の入れ替えによってチーム力の差が少なくなったのかもしれません。

  • 白熱した戦いを繰り広げたLJL 2020 Spring Sprit開幕戦

LJLだけでなく、eスポーツチーム全般に共通することですが、チームを強化するための選手の入れ替えは仕方ありません。しかし、チームと選手がリンクしない状況だと、チームのファンになることも難しいのではないでしょうか。リアルスポーツでは選手の移籍には規制や条件がありますし、そもそも人数が多いので、多少の入れ替わりはそこまで大きな問題にはならないでしょう。

ですが、もし5人中3~4人も入れ替わってしまうと、何を理由にそのチームを応援し続けるか、ファンにとっては難しくなるのではないでしょうか。まだ地域性やチームカラーを打ち出せていないチームが多く、選手以外で応援する要素は少ないので、ファンの定着も考慮に入れてほしいところです。

プロリーグの魅力は、勝敗以外の楽しさを感じられる点だと思います。リアルスポーツで、たとえ万年最下位だったり、Bクラスだったりしても、「人気はリーグトップクラス」というチームも珍しくありません。

成績や強さだけが魅力になるとしたら、リーグの半数以上のチームは魅力を打ち出せないことになってしまいます。eスポーツでも、強さ以外の部分でファンを惹きつける魅力を出してほしいですね。その1つに、チームの看板選手の存在があるのではないでしょうか。長期契約することで、安定したファンの獲得につながると思います。

リポDに出前館、イベント会場の観戦環境は大きく向上

試合以外の見どころは、今シーズンからスポンサーにリポビタンDと出前館が入ったことです。リポビタンDは、公式ドリンクとして来場者にも配られました。また、毎回6試合目を「Match of The Day」と定めており、その試合の勝敗予想をTwitterで実施。予想的中者のなかから抽選でリポビタンDをプレゼントするキャンペーンを行っていました。なお、Match of The Dayの開始前には「ファイト一発!」でお馴染みのケイン・コスギ氏とリポビタンマンが登場しました。

  • 会場で「ファイト一発!」を行ったケイン・コスギ氏とリポビタンマン

出前館は、ヨシモト∞ホールまで出前を運んでくれるサービスを展開。会場内で飲食できるのは、長丁場のLJLにとってうれしいサービスです。せっかくなので、出前を試してみましたが、かなり快適でした。

また、会場の椅子にはヨシモトゲーミングのスポンサーである東京西川のAirのクッションが敷いてあり、こちらも長丁場の観戦でもラクに座っていられました。

  • 出前館アプリで注文すると、ロビー入り口まで運んでくれます。決済は現金のみでした

  • 配達されたKFCのチキンとサンドウィッチ

さらに、これまでほとんどなかった公式グッズも登場。チケットホルダーと今シーズンのチーム紹介が書かれたカードが売られていました。

ロビーにはボードとカラーペンが用意されており、その場で選手やチームの応援ボードを作成できるようになりました。LJLといえば、試合後のファンミーティングですが、これは残念ながら開幕戦では中止。現在、世界規模で問題になっている新型コロナウィルスの感染を懸念しての対策とのことです。不特定多数の人が行き交うeスポーツ会場は、インフルエンザや風邪がうつりやすい環境なので、仕方ない措置といえるでしょう。一応、選手やチームへのプレゼントを受け付けるコーナーは用意されていました。

  • ロビーで販売されたチームカード。8チーム分入って500円でした

  • 用意されたボードにファンが応援メッセージを添えていました

  • 家で手作りしていたファンもいました

さまざまな改善策がみられた新生LJL。とくに観戦環境は格段によくなっているので、ぜひ、ヨシモト∞ホールに足を運んでほしいところです。Spring Spritはあっという間に終わってしまうので、お見逃しなく! プレイオフは大阪の「COOL JAPAN PARK OSAKA」WWホールで4月25・26日に開催。こちらもぜひ、チェックしてください。