8月30日から9月1日にAICHI Sky Expoにて、eスポーツとK-POPの複合イベント「AICHI IMPACT!2019」が開催されました。AICHI Sky Expoは、中部国際空港島内に建設された国際展示場で、国際空港に直結する日本初の展示場。2019年8月30日にオープンしました。

AICHI IMPACTは、AICHI Sky Expoのオープニングイベントとして開催されたeスポーツとライブエンターテインメントの複合イベントです。8月30日、31日の夜にはK-POPライブが行われ、31日、9月1日の昼間にはeスポーツイベントが開催されました。

  • 「AICHI IMPACT!2019」

    8月30日にオープンしたばかりのAICHI Sky Expo。中部国際空港(セントレア)から徒歩5分というアクセスのよさが魅力

展示場内では、アイドルとグルメの複合イベント「アイチ エンタメフェス」も同時開催しており、AICHI Sky Expoのオープニングを飾るにふさわしいにぎやかさです。さまざまな見どころがある当イベントですが、今回取材するのはもちろんeスポーツ。31日に行われたイベントの様子をレポートします。

ゲーム好きタレントとプロ選手による本格バトルで大盛況

eスポーツイベントで最初に行われたのは、10月5日と6日に開催された「いきいき茨城ゆめ国体」文化プログラム「全国都道府県対抗eスポーツ選手権 2019 IBARAKI」の『グランツーリスモSPORT』部門の愛知県代表者が登壇する壮行会です。少年の部の水野航希選手と下村勇貴選手、一般の部の川上奏選手と長和樹選手の4名に加え、プロレーサーの大嶋和也選手と牧野任祐選手、タレントのレイザーラモンRG、大村秀章愛知県知事の8人によるエキシビションマッチが行われました。

愛知県は『グランツーリスモ』の激戦区で、一般の部の川上選手は、国際自動車連盟が主催する「FIA グランツーリスモ チャンピオンシップ2018」マニュファクチャーシリーズで優勝したレクサスチームの一員。また、川上選手と長選手は地元「トヨタ自動車」の社員でもあり、愛知県を代表する選手としてふさわしい経歴の持ち主といえるでしょう。

  • 「AICHI IMPACT!2019」

    激戦区の愛知県を勝ち抜いた選手の腕前を見せつけました

次のイベントは、芸能人とストリーマーによる最強決定戦。格闘対戦ゲーム『ストリートファイターVアーケードエディション(ストV)』と、対戦型オンライントレーディングカードゲーム『シャドウバース』の2タイトルで、芸能界やストリーマーのなかでもプロ級の腕前を持つ2名が対戦しました。

『ストV』で登場したのは、「ゴールデンボンバー」の歌広場淳さん。すでにその強さが多くの人に知られているほどのガチゲーマーです。そして対戦するのは、お笑いコンビ「マヂカルラブリー」の野田クリスタルさん。ダルシムという大会ではあまり目にしないなキャラクターを駆使し、歌広場さんに挑みます。

結果は歌広場さんが5連勝。そのあと泣きの1戦で野田クリスタルさんが1勝をもぎ取るも、続く対戦で歌広場さんが勝利し、決着しました。

2戦目は『シャドウバース』。お笑いコンビ「霜降り明星」粗品さんと、ストリーマーのもこうさんによるバトルです。圧倒的な強さでもこうさんが勝利するかと思われましたが、粗品さんはゲーム内ランキングに名を連ねたことがあるほどの実力者で、2勝1敗という接戦を繰り広げました。

そして最後のイベントは『ストV』を使ったスペシャルトーナメント。参加するのは招待された有名プレイヤー4名と当日予選を勝ち抜いた4名の計8名です。当日予選を勝ち抜いたのはプロゲーマーのパウエル選手をはじめとする強豪でしたが、優勝したのは招待プレイヤーのガチくん選手。昨年カプコンカップで世界一位に輝いた実力を見せつけました。

  • 愛知を代表するプロゲーマーのパウエル選手

  • 優勝は2018年のカプコンカップのチャンピオン、ガチくん選手でした

運営の予想を超えたeスポーツの集客力

AICHI Sky Expoのこけら落としとして開催された「AICHI IMPACT!2019」。なぜ、eスポーツを取り入れたのでしょうか。イベントを主催した東海テレビの深谷弘氏に話を聞いてきました。

「愛知県はものづくりの街ですが、それでも少子化の影響で、若い人が地場のものづくり産業へ入ってこなくなっています。eスポーツは10代、20代の男性に、K-POPは10代、20代の女性に人気があり、その2つを融合することで、若い世代に愛知をアピールできるのではないかと考えました。また、イベント内容としては子供からお年寄りまで満足できるものとなっており、ターゲット層だけに限らず、eスポーツとAICHI Sky Expoを訴求していきたいと思っています」(深谷氏)

AICHI Sky Expoのこけら落としとして、イベントを開催することが決まったときに、真っ先に考えたのが、eスポーツのイベントだったと深谷氏は言います。たしかに、eスポーツは若い世代や海外からの注目も高く、新しい国際展示場をアピールするには、いい機会だったといえるでしょう。

当初、eスポーツだけのイベントでは集客が難しいと考えていたそうですが、eスポーツオンリーで開催された2日目の『フォートナイト』イベントは、前日以上の集客を見せたそうです。すでに日本のeスポーツは、運営が考える以上の集客力を持つまでに認知されてきているのかもしれません。実際に来場した人の多くはeスポーツを知らなかったようですが、現場ではお客さんが満足している様子が伝わってきました。なお、より広くアピールするために、東海テレビでは10月にスピンオフの番組を放送予定とのことです。

  • 東海テレビ 事業局 事業開発部 局次長職 深谷弘氏

eスポーツイベントというと、現状はまだ首都圏での開催がほとんど。中部をはじめ、地方での大型イベントはあまり多くありません。それだけに、eスポーツを実際に触れられる機会になった今回の大会は、中部地区にとって大きな一歩となったのではないでしょうか。

AICHI Sky Expoでは、今後、「レインボーシックスシージ プロリーグ シーズン10 ファイナル in Japan」や、フランス発の『ストV』大会である「Red Bull Kumite」を開催する予定。どちらも世界的な大会であり、日本での開催地としてAICHI Sky Expoが選ばれたのは、はやくも、この会場がeスポーツの聖地として認められつつある証拠かもしれません。これらのイベント以外にも、eスポーツイベントを頻繁に開催できるようにと、動いているそうです。

中部地方は、上記に挙げた『グランツーリスモSPORT』の世界チャンピオンをはじめ、『ストV』のトップ選手もいます。さらに『モンスターストライク』の大会では、ここ2年間中部地区のチームだけが優勝しているなど、実はeスポーツの名プレイヤーが多いのです。AICHI Sky Expoともどもeスポーツ界隈の話題の中心となっていくかもしれません。