9月30日、10月1日の2日間、グランドプリンスホテル新高輪 飛天にて、『モンスターストライク(モンスト)』の10周年を祝うイベント「MONSTER STRIKE 10th Aniversary Party」が行われました。
イベントは抽選の有料チケット制。チケット代は6,000円でしたが、かなりの倍率だったらしく、改めて『モンスト』の人気の高さが伺えます。
企画は、「XFLAG PARK」「DREAMDAZE」でお馴染みの「モンストオーケストラ」や、「M4ファイトクラブ」、「モンストグランプリ」など多岐にわたります。
これまでは、「DREAMDAZE」などでモンストグランプリの全国決勝大会が行われていましたが、今年は地方予選の皮切りとなる関東予選を実施。グランプリ決勝を別枠で開催するのかと思われていましたが、10周年記念イベントのコンテンツとして用意されていました。
まずは、超豪華な会場の様子からレポートしていきたいと思います。会場は先ほども言いましたがグランドプリンスホテル新高輪の飛天。収容人数1,000人を超える大宴会場で、歌謡祭などでも使われているホールです。飛天の前にあるレセプションホールさくらでは、キャラバンカーやルシファーの椅子などの展示、グッズ販売やガチャコーナーなどがありました。
ドリンクサービスやお弁当の配布もあり、このあたりもいままでの『モンスト』イベントと違う感じです。なんというか“ディナーショー”的な装いです。
ちなみに参加者にはドレスコードがあり、男性はスマートカジュアル(ジャケットにパンツ)、女性は露出の多すぎないワンピースなどの指定がありました。我々取材陣も同様のドレスコードがあったので、ジャケットを羽織り参加してきました。
また、ありがたいことにメディア席も用意していただきましたが、この席が出演者やゲストなどと同じ並び。これにはさすがに恐縮の至りです。
2日目には、『モンスト』の10年を振り返る「モンスト10周年の軌跡」というコンテンツがあり、これまで『モンスト』に関わってきた人たちが参列しています。HIKAKIN(ヒカキン)氏やマックスむらい氏、タイガー桜井氏、S嶋氏、宮坊氏、ターザン馬場園氏の面々と10年を数字で振り返っていきます。そのほかにも、「XFLAG PARK」などのイベントでお馴染みのザ・たっちの2人やゴー☆ジャス氏なども参列していました。
まさに10周年を彩る素晴らしい参加者やコンテンツの数々ですが、やはり個人的にもっとも注目すべきは「モンストグランプリ2023」にほかなりません。今年も「DREAMDAZE」の関東予選を皮切りに、関西予選、中部予選、北海道・東北予選、九州予選で地方予選を開催。下記のチームがそれぞれの予選を勝ち抜き、全国決勝へとコマを進めました。
きまぐれクリティカル(関東予選Aブロック)
AMiiiiDA(関東予選Bブロック)
大京ひっぱりゃんせ(関西予選Aブロック)
クルセイダーズ(関西予選Bブロック)
砲撃timely’s(中部予選Aブロック)
LaViXia・改(中部地区Bブロック)
MTT(北海道・東北予選)
ミラノ風カルボナーラ(九州予選)
ミラノ風カルボナーラは、昨年のグランプリのチャンピオンであり、どのチームも達成したことがない連覇を狙います。AMiiiiDAは、KEVIN選手を筆頭にアラブルズがベースとなったチーム。MTTは、今池壁ドンズαとCatsの混成チーム、クルセイダーズは2016年からある古参チームで、GVのとし選手と4SleepersのKuM4選手のプロ選手2人を擁するユニットです。
プロチームの決勝進出が少なめに見えた今大会ですが、中身はプロ選手だらけ。今回はベスト4以上でプロライセンスを取得できるので、プロの壁を越えてプロライセンスを取得する選手がどれだけいるのかも注目です。
1日目のグランプリは、1回戦4試合を行いました。つまり、この試合で勝てばプロライセンス取得です。試合形式はBO3(2本先取)で行われました。
初戦はAMiiiiDAとナポリ風カルボナーラの一戦。タイムアタックで8位と出遅れたAMiiiiDAはピック選択権が相手に委ねられ、苦しい展開です。現在はヤクモが強いとされており、ヤクモを取れたほうが大きく優位に傾きます。
当然、ミラノ風カルボナーラはヤクモを獲得。AMiiiiDAはヤクモがない分、打ちだしの早さを求められ、難易度の高い攻略を迫られます。そのため、ミスが発生し、2セット連取で敗北となりました。
KEVIN選手らプロライセンス保持者は、虹花/ななか選手がアラブルズのサポートとして数々のプロシーンで活躍しながらもライセンスを持っていないことから、今回ぜひ、取得させてあげたい気持ちがありましたが、残念ながら叶いませんでした。
2戦目は、砲撃timely’s対クルセイダーズ、3戦目は、大京ひっぱりゃんせ対MTT。こちらもタイムアタック上位陣がピックの優位性を活かし、クルセイダーズとMTTが危なげなく勝ち抜きます。
4戦目は、LaViXia改対きまぐれクリティカル。どちらもプロライセンスを持っていないチームなので、ここで勝てば、チームとして全員がプロライセンスを取得する機会となります。ちなみに3戦目までで、ミラノ風カルボナーラのふうや選手、クルセイダーズのじゅんき選手、まー坊選手がプロライセンスを取得しています。
きまぐれクリティカルはまだプロライセンスを保持していませんが、昨年3位になったチームです。昨年は2位以上がプロライセンス取得と厳しいレギュレーションだったため、ライセンスは持っていませんが、実力的にはライセンス持ちとも言えるでしょう。実際、今大会もタイムアタック1位を獲得しており、もっとも優位に立っている状態です。4試合目もピックの優位を活かし、ミラノ風カルボナーラが勝利しました。
2日目は、準決勝と決勝の3試合。準決勝、決勝は1日目と同様にBO3で行います。準決勝第1試合がミラノ風カルボナーラ対クルセイダーズ、第2試合がMTT対きまぐれクリティカルです。
タイムアタックの順位ではミラノ風カルボナーラときまぐれクリティカルが上位なので、この2チームが優勢とみられましたが、蓋を開けてみれば勝ったのはクルセイダーズとMTT。ピックが後攻でも勝負できる攻略や戦術を用意しており、早い打ちだしで相手のミスを誘うあたりは、どちらもベテランの味が出たと言えるでしょう。
決勝戦は、MTT対クルセイダーズ。GV・4Sleepers連合対今池壁ドンズα・Cats連合という図式を考えると『モンスト』10周年イベントで行われるグランプリに相応しい、歴史のある対決になったと言えます。
1試合目は、決勝大会で初登場となるマップ「豪炎の威誠局長」です。クルセイダーズがピック選択権を持っていますが、選択したのは後攻。ヤクモほど飛び抜けたモンスターがいないのか、2体対になるモンスターを選びたいのか、とにかく思惑があっての後攻選択です。
序盤でミスをしたMTTに対して、淡々とステージをクリアしていくクルセイダーズ。MTTも追いすがるものの、差は縮まらず、1本目はクルセイダーズがとりました。
2試合目も決勝大会初登場となるマップ「秘樹の依代少女」に決まりました。先攻ピックのクルセイダーズはヤクモを取らず8手を狙います。しかし、6手目にザコを処理しきれなかったクルセイダーズは大幅にタイムロス。一方、余裕を持ったMTTですが、こちらもラスボスを倒しきれず足踏みします。しかし、なんとか2手遅れで倒しきることができ、MTTの勝利となりました。
3試合目は「禁光の機械生命体」。ヤクモ無双の今大会ですが、ヤクモがそこまで活躍しないステージです。ここでもクルセイダーズはヤクモを選ばず、決勝では1回もヤクモをピックしませんでした。MTTも準決勝では同じマップでヤクモを選んでいましたが、最後はヤクモを選ばず、ヤクモ不在の最終戦となりました。
お互いにミスした2試合目とは違い、どちらも最善手で進めます。そして、序盤のわずかなリードを守り切ったクルセイダーズがチャンピオンに輝きました。
大会終了後、優勝したクルセイダーズに話を聞いてきたので、ここで紹介します。
――優勝おめでとうございます。率直な感想をお聞かせください。
じゅんき選手:優勝できてうれしいですね。ずっと勝つ気でやってきたんで、今はほっとしています。
KuM4選手:前々回はベスト8で負けて号泣し、去年は準優勝でまったく泣かなかったんですが、今回は、優勝した瞬間に今までの思いみたいなものが爆発して、号泣しました。
とし選手:今回の大会は長くてすごい疲れたこともあり、本当にうれしいですね。今日はなんか勝てる気がしていて、準決勝も普段ミスしないleft選手がミスするような気がしていたら、やっぱりミスして。決勝でも全然緊張しなくて、ピックで眠くなったくらい安定していました。
まー坊選手:私は一番古いと言えるくらいのプレイヤーなんです。まあ、知名度はないんですけど。今池壁ドンズαが優勝する前の年から大会に出ていて全国大会にも出ていて、そのときに負けて、勝つまでやるって決めたんです。その結果が今日なので、やり続けてよかったと思います。
――今回はピック権を持っているほうがかなり有利な状態でしたが、準決勝はピック権が相手にありました。その対策はどうしていたんでしょうか。
とし選手:後攻ピックのときは、早撃ちをするって決めていたんです。早撃ちをすることで、ピックの優位性はなくなり、タイム差も出ないと思っていました。早撃ちすることで、相手にプレッシャーを当てることもできますし、ミスも誘発できます。あと、後攻でも戦える編成は用意してきました。
9手の殴り合いだと後攻が勝てないってマップがあったんですけど、まー坊さんが8手行けるって話をしてきて、それを詰めました。8手を用意できたのは、たぶん我々とLaViXia改だけだったかと。まあ、そういう意味では事前の段階で勝てる準備はしてきました。
――1月に開催された東京eスポーツフェスタでお会いしたときに、とし選手はプロ選手を辞めるような話をしていましたが、その状態からグランプリへの参加してもらうまでに、どんなことがあったんでしょうか。
KuM4選手:本当に口説きまくりました(笑)。としさんはコミュ力が高いので彼がいないと成立しないと思っていました。
とし選手:KuM4さんとは一緒にYouTubeの配信をほぼ毎日やっているんですけど、配信の中で「出るよね?」って聞いてくるんですよ。「出ないよ」って言っても「いやいや出るよね?」って言ってきて、その都度リスナーさんが盛り上がるので、仕方なく。グランプリに出るならGVで出たかったんですけど、☆星☆さんとケイゴが出ないって言っていたから俺も出ないって考えていました。ただ、半年ぐらい、毎日誘われたらさすがに心折れたというか。で、どうせ出るなら中途半端なヤツとは組みたくないので、考察のできるまー坊さんに頼みこみました。
――大会では「なんとかなる」という言葉を多用していましたが、これは何か意味があったのでしょうか。
まー坊選手:我々は関西予選に出場したのですが、そのときは勝てるかどうかわからないなぁと思っていて、勝てた瞬間に自然に出た言葉でした。それから「なんとかなる」と言い続けていたら関西予選を勝ち抜けたので、使い続けないと勝てなくなるんじゃないかと思い、決勝大会では無理やり使っていましたね。
――大会に向けてどのくらい練習をしてきたのでしょうか。
KuM4選手:チーム練習はずっとやっているわけではなくて、基本的には個人練習です。関西予選の2週間前くらいからチーム練習を毎日やろうと決めて、そのときは3時間くらいですね。
とし選手:決勝大会はステージが5種類に増えるので、9月頭から3~4時間ほど練習していました。KuM4さん次第で5時間とかもありましたね。練習が開始される時間がだいたい夜の10時半くらいからなんですよ。そのころにKuM4さんから電話がかかってくる。10時半ってもう寝る時間ですよ。
KuM4選手:仕事が終わってからゲームできるようになるのが10時半くらいだから仕方ないよね。
――賞金は何に使う予定ですか。
まー坊選手:私は島に住んでいるんですけど、冬は寒いのでサウナとか置きたいと思っています。
とし選手:良い銛も買うって言っていましたよね。まー坊さんのYouTubeをみていただければわかるんですけど、海に潜って魚つついているんですよ。めちゃくちゃおもしろいチャンネルなんですけど、大会中は『モンスト』ばかりやっているから更新されてないんですよね。これからはYouTubeの配信待っています。
KuM4選手:まあ、『モンスト』に還元しますよ。いつものことです。
――ありがとうございました。
2023年上半期の日本のモバイルゲーム収益(Sensor Tower調べ)によると、『モンスターストライク』は『ウマ娘 プリティーダービー』を抜いて1位に返り咲いています。もちろん、トップ10の常連タイトル。10周年を迎えるタイトルがいまだに収益ランキングの1位を獲得するのは本当に異常事態と言えるでしょう。
しかし、飽きさせないようにアップデートをし続け、ファンに還元するイベントを開き、常にプレイヤーを楽しませていることを考えると、それは当然の結果とも思えます。今後もプレイヤーを楽しませ、プレイヤーから愛されるコンテンツとして、『モンスト』が君臨し続けるよう期待したいところです。15周年、20周年では、今回以上の規模と豪華さのイベントが開催されることでしょう。