3月4日、鹿児島県鹿児島市・センテラス天文館にて、「ぷよぷよファイナルズ SEASON5 鹿児島(以下、ファイナルズ)」が開催されました。
ファイナルズは、年間4回開催される「ぷよぷよチャンピオンシップ SEASON5」の優勝者と準優勝者の8名、コミュニティ大会など各種大会で付与されたポイントのランキング上位3名、「全国都道府県対抗eスポーツ選手権 2022 TOCHIGI」の優勝者1名のみが参加できる2022年度集大成の大会です。
誰が勝つかわからない、実力伯仲の出場者
大会では、抽選によってAとB2つのグループに選手が6名ずつ振り分けられ、10本先取のリーグ戦を行います。各グループの優勝者が決勝戦で対戦し、10本先取を2セット勝利した選手が優勝です。
出場選手はいずれも劣らぬ実力者ぞろい。Aグループは、直近のぷよぷよチャンピオンシップで優勝したばかりの絶好調くまちょむ選手をはじめ、大会で絶大な安定感を誇るlive選手、全選手の心を見透かすような的確な解説をするTom選手、ポイントランキング1位のShiyota選手など、どの選手が通過しても不思議ではない、ハイレベルな戦いが期待できます。
Bブロックにはdelta選手、ともくん選手、ぴぽにあ選手と、ぷよぷよファイナルズ優勝経験者が集まっているだけでなく、fron選手、SAKI選手、リッキー選手と好調さを維持しているプレイヤーもいて、こちらも激戦必至です。どちらのグループに入っても楽に決勝戦に進出できないことは間違いありません。
AブロックはShiyota選手、live選手、Tom選手の3名が3勝2敗で並びますが、勝利数による総得点がもっとも高かったTom選手が決勝へとコマを進めました。Bブロックは唯一4勝をあげたともくん選手が決勝進出です。ともくん選手はぴぽにあ選手に10-2と一方的に負けてしまったものの、巻き返しました。
決勝戦は、対戦の相性から若干Tom選手が優勢かと思われましたが、得意の対応力を発揮したともくん選手が試合を有利に運びます。大会史上最大連鎖である17連鎖も飛び出し、セットカウント2-0でともくん選手が勝利しました。ともくん選手は、全国都道府県対抗eスポーツ選手権でも優勝しており、ファイナルズも昨年に引き続き優勝を獲得したので連覇達成。通算3度目の優勝です。
激戦を制したともくん選手にインタビュー
大会終了後、優勝したともくん選手からコメントをいただきました。
――優勝、2連覇おめでとうございます。今大会を振り返ってみて、感想をお願いします。
ともくん選手(以下、ともくん):大会が始まる前に行ったグループ分け抽選で、グループBを引いたんですけど、先に引いたdeltaさんと同じグループが確定し、そのあとも、ぴぽにあさんとかファイナルズ優勝経験のある人ばかり。SAKIさんfronさん、リッキーもめちゃくちゃ強いので、かなり厳しい戦いになると思っていました。実際、ぴぽにあさんからは2本しか取れなくて、fronさんも強くてきつかったですね。
――大会前に対戦相手の対策は行いましたか。
ともくん:グループでは半分の人と対戦するので対策はちょっと考えましたが、どちらかというと自分の練度を上げていきたいと思っていました。決勝戦のTomさんは攻撃的なぷよなので、守りのぷよを心がけていました。いつでも相手の攻撃を返せる手を仕込んでおいて、それがうまく刺さりましたね。
――17連鎖をしたときはどんな気持ちでしたか。
ともくん:連鎖を発火したときに、「これは勝てるな」という気持ちがありましたが、あそこまで伸びるとは思っていませんでした。10連鎖くらいのときに、17まではあることがわかり、さすがにこれは返せそうにないだろうと思いましたね。
――今シーズンは途中からプロチーム「東京ヴェルディeスポーツ」に所属することになりましたが、チームに入ったことで変わったことはありましたか。
ともくん:東京ヴェルディeスポーツはサッカーゲームの有名選手が入っているチームですが、その人たちに『ぷよぷよ』を紹介できたり、東京ヴェルディのサッカーの試合会場で体験ブースを作ってもらってたりと、『ぷよぷよ』を知らない層にアピールできていると思います。
――ありがとうございました。
鹿児島で公式eスポーツ大会が開催されることの意義
今回のファイナルズは、SEASON1の宮崎のフェニックス・シーガイア・リゾート以来のオフライン有観客イベント。開催場所も鹿児島で、シーガイアと同じ九州です。鹿児島県は『ぷよぷよ』のプロデューサーである細山田水紀氏の出身地でもあります。まだ『ぷよぷよeスポーツ』の参加発表はされていませんが、おそらく種目になるであろう国体の文化プログラムである「全国都道府県対抗eスポーツ選手権」の2023年の開催地も鹿児島県。そのため「ぷよぷよチャンピオンシップ」を開催するに相応しい場所と言えるでしょう。
会場となった「センテラス天文館」は、アーケードの商店街の中心にあり、多くの人が往来しています。ぷよぷよファイナルズが目的でない人も足を運びやすく、多くの観客が訪れていました。
eスポーツイベントというと、どうしても首都圏が中心となり、地方開催は地元のコミュニティやチーム中心となることが多く、公式大会、それも年間チャンピオンを決める大会を行うのは稀だと言えます。
また、仮にそういった大会があったとしても、九州の場合、福岡が選ばれがち。そんななかで、宮崎や鹿児島を選んだのは、大きなチャレンジだったのではないでしょうか。eスポーツイベントを初めて間近で観る人も多く、より一層、eスポーツの拡散に寄与したと言えます。
多くの選手が鹿児島の名物を食していたと話していたのも、地方開催の醍醐味だと言えます。鹿児島ラーメンやうなぎ、黒豚など、さまざまな鹿児島料理に舌鼓を打っていた様子。大会中のインタビューで選手が鹿児島グルメの話をしていたり、MCを勤める橘ゆりかさんが桜島へ訪れた話をしていたり、鹿児島の魅力を伝えていました。
余談ですが、筆者の母方の実家も鹿児島県。幼少期はよく訪れていましたが、最近はとんとご無沙汰です。西鹿児島駅が鹿児島中央駅になっているうえ、再開発が進んでいるのに驚かされました。
筆者も、選手が食べに行ったラーメン屋や黒豚を使ったトンカツ屋、実は生産量がもっとも高い鰻などを堪能してきました。
熊本県はeスポーツのコミュニティが盛んな地域ですし、長崎と言えば『鉄拳』シリーズの有名プレイヤーを多く輩出している土地です。FPSやMOBAなどで活躍するSENGOKU Gamingも九州のチーム。すでにeスポーツが根付いている地方であるうえ、今回の大会によって九州eスポーツの盛り上がりに拍車がかかるのではないでしょうか。