2022年12月23日、24日、横浜アリーナにて、ライアットゲームズのオフラインeスポーツイベント「Riot Games ONE」が開催されました。

「Riot Games ONE」は、横浜アリーナのオフラインイベントの開催前に、2022年11月から12月中旬まで約2カ月間、さまざまなオンラインイベントが企画されたオンライン&オフラインの総合イベントです。

たとえば、オフラインイベントでは、4チームのリーダーがメンバーを募集して対戦する『VALORANT』の企画「Crazy Raccoon Cup Special」をはじめ、プロゲーミングチーム「ZETA DIVISION」に所属するストリーマー・k4senさんが主催する『League of Legends(リーグ・オブ・レジェンド、以下、LoL)』のスペシャルマッチ「The k4sen」、ストリーマーのJasper氏、SHAKA氏、だるまいずごっど氏、MOTHER3氏、Clutch-Fi氏の5人がチームを組み、『VALORANT』でプロ選抜チームに挑む「THE DEFIERS」などが行われます。

一方、11月からのオンラインイベントでは、「Crazy Raccoon Cup Special」の予選配信、「The k4sen」の前哨戦である「The k4sen 前哨戦」や「The k4sen 真・前哨戦」、さらに「THE DEFIERS」のチーム練習、ブートキャンプの様子といったさまざまな企画が展開されました。そのため、横浜アリーナで開催されるオフラインイベントは、約2カ月におよぶ「Riot Games ONE」のフィナーレを飾るものとも言えるでしょう。

さらに、オフラインイベント直前には、「Riot Games ONE」をより楽しむための「Riot Games ONE Pre-Show」や、なかやまきんに君さん(以下、敬称略)とケイン・コスギさんがプロゲーミングチーム「ZETA DIVISION」のJUNiORコーチのもと、「AIM筋トレ」を実施して『VALORANT』の上達を目指す「DUO PRESSURE」といった特別企画も配信されました。

  • オフラインイベントが開催された横浜アリーナ。開場前から長蛇の列を作っていました。なお、オフラインイベント初日の「Day1」は、ストリーマーを中心とした「Crazy Raccoon Cup Special」「The k4sen」「THE DEFIERS」などのプログラムが、「Day2」はプロチーム、プロ選手を中心としたプログラムが組まれています

「Day1」オープニングでは、シンガーのReolさんが登場し、「Riot Games ONE」用に描き下ろした『SCORPION』をはじめ、さまざまな曲を披露。ライブで観客を盛り上げます。

  • オープニングライブ「Riot Games ONE Special Opening Show by Reol」で、テーマソングを披露するReolさん

ライブ終了後は、「Crazy Raccoon Cup Special」のグランドファイナル。リーダーとなる2名のストリーマーが3名のストリーマーとチームを組んで『VALORANT』で対決する企画です。4チームが出場し、オンラインイベントでトーナメントを開催。上位2チームが横浜アリーナで行われるグランドファイナルに進出しました。

決勝の組み合わせは、全勝で予選を突破したVaniLa氏とClutch-Fi氏率いる「つよつよの人たち」対、2位通過となったWokka氏とMOTHER3氏率いる「同接最下位」。予選の勢いそのままに「つよつよの人たち」が2勝1敗で勝利しました。1敗した試合も、相手チームによる泣きのステージ変更、攻守選択権の取得をしたうえでのことなので、ある意味完封といえる勝利でした。

  • Crazy Raccoon Cup Specialで対決する、「つよつよの人たち」と「同接最下位」

次に、k4sen氏率いる「Team The k4sen」と、SHAKA氏率いる「Team The SHAKA」による『LoL』対決です。特別コーチとして、「Team The k4sen」には来季から海外チームへの移籍が決まったEvi選手、「Sengoku Gaming」でコーチをしているゆとりもやし氏、「Team The SHAKA」には「Sengoku Gaming」のZerost氏、「Detonation FocusMe」でコーチをしているCeros氏がついています。『LoL』の国内リーグ「LJL(League of Legends Japan League)」の古参ファンにとっては馴染みの顔ぶれでもあり、楽しみな対決だったのではないでしょうか。結果は、「Team The k4sen」が勝利しました。

  • k4sen氏とSHAKA氏による『LoL』対決

  • 対戦終了後の表彰式では海外チームへ移籍するEvi選手にサプライズで花束の贈呈もありました

そして、「Day1」最後のプログラムとなったのは、「THE DEFIERS」です。『VALORANT』で高いスキルを持っているストリーマー5名がオンライン開催期間に「ZETA DIVISION」のXQQコーチのもとで特訓を重ね、オフラインイベントで即席のプロ選抜チームに挑戦しました。

結果はプロ選手が勝利。コーチをつけて猛特訓したとはいえ、わずか2カ月の練習では、さすがにプロ選手を打ち負かすところまではいけなかったようです。

  • ストリーマーのJasper氏、SHAKA氏、だるまいずごっど氏、MOTHER3氏、Clutch-Fi氏の5人がチームを組み、プロ選抜チームに対戦を挑んだ「THE DEFIERS」

なお、「THE DEFIERS」開始前には、なかやまきんに君とケイン・コスギさんがステージに登場。視聴者や来場者、選手にパワーを届けるべく、そのパーフェクトボディを披露し、会場を大いに盛り上げていました。ライブあり、『VALORANT』や『LoL』のハイレベル対決あり、筋肉ありと、バラエティに富んだ1日だったといえるでしょう。

そのほか会場では、ホワイエでコスプレイヤーの撮影会が常時行われていただけでなく、物販ブースや「Riot Games ONE」オリジナルフードを食べられる屋台などがあり、オフラインならではの活況を見せていました。

  • オンラインプログラムの「DUO PRESSURE」に登場したケイン・コスギさんとなかやまきんに君がステージに登場。お馴染みの「パワー」と「パーフェクトボディ」を披露しました

「Day2」は、プロチームによるエキシビションマッチが6試合実施されました。オープニングライブには「AK-69」と「Sound's Deli」が登場。『VALORANT』の日本出身のエージェント「ヨル」が実装されたときのスペシャル動画の1曲、そしてヨルの日常を描いた動画の1曲、計2曲を披露しました。

エキシビションマッチでは、「2023 VALORANT Champios Tour(VCT)」のPacific Leagueに参加する日本チーム「ZETA DIVISION」と「Detonation FocusMe」が、招聘された世界の強豪チームと戦います。

招聘されたのは韓国を拠点に活動する「DRX」、イギリスを拠点に活動する「Fnatic」、シンガポールを拠点とする「Paper Rex」の3チーム。それぞれが「ZETA DIVISION」と「Detonation FocusMe」とBo1で対戦します。今回の大会は、多くのチームにとって来シーズンのロースター発表後初の試合でもあります。そのため、新メンバーのお披露目的な意味合いもありました。

「ZETA DIVISION」は、「Paper Rex」に勝利しましたが「DRX」と「Fnatic」に敗北。そして「DetonatioN FocusMe」は3連敗と、エキシビションマッチとはいえ、かなりの実力差を見せつけられた気がします。2023年に向けてどのように巻き返していくか、注目したいところです。

  • 「Day2」のオープニングライブに登場した「AK-69」

  • 同じくオープニングライブに登場した「Sound's Deli」

  • 「Day2」は日本の2チームと海外から招聘した3チームが対戦

  • エンディングの表彰式で5チームが一堂に会しました

イベントのエンディングには、サプライズとしてRiot Gamesの『VALORANT』エグゼクティブプロデューサーであるアンナ・ドンロン氏の動画メッセージが流れました。

日本のファンへの感謝、日本チームの躍進の賛辞を述べながら、最後に特別な動画のプレゼントを用意していると話します。その動画は、2022年の『VALORANT』競技シーンの日本の活躍をまとめたものでしたが、最後の最後に、2023年開催の「VALORANT Champios Tour 2023」の世界大会である「MASTERS」を東京で開催することが発表されました。

あまりにもうれしすぎるサプライズに、MCのOooda氏は感極まって涙ぐむほど。2023年も『VALORANT』は盛り上がることでしょう。

  • 動画の最後に映し出された「MASTERS TOKYO」の文字。2023年6月に日本で「MASTERS」が開催されます

今回の大会で気になったのは、来場者数と同時接続視聴者数が思ったほど伸びなかった点です。「Riot Games ONE」は13,000人のキャパシティでしたが、両日とも満員にはほぼ遠い入りでした。

特に初日は空席が目立っていた印象です。2階のスタンド席に観客はほぼおらず、1階のスタンド席はところどころ封鎖されているブロックがありました。

公式からは来場者数の発表はありませんでしたが、伊織もえさんとのフォトセッション抽選の番号がもっとも大きい数字で6421番だったので、多く見積もっても7,000人程度だと推測されます。24日はそれよりも多くの来場者がいましたが、前日の来場者数の推測から比較しても1万人に届かなかったのではないでしょうか。

  • 会場では、やや空席が目立ちました

YouTubeの配信を会場から何度か確認しましたが、19,000人が最高値でした。ほかにも、Twitchでの配信やウォッチパーティとしてミラー配信もしているので、同時視聴者数の総数はもっと多くなるでしょう。YouTubeのみの同時視聴者数自体も少ないと言えるほどの数ではありません。

しかし、同様のコンセプトで開催している「RAGE VALORANT 2022 Spring」では同時接続視聴者数が24万人を超えており、それと比較すると心許ないと言えます。

12月23日が休日ではなかったため、足を運びにくい状況だったことは確かです。ただ、それ以外に、イベントとしての価値を見いだせなかったファンがいたとも考えられます。

たとえば、初日であれば、前述した通りバラエティに富んだイベントと言えますが、『VALORANT』の純粋なファンにとってみれば、4試合しかないイベントでした。

それに対してチケット代がやや強気の設定だった気がしています。もちろん、Reolさんのライブや『LoL』の試合は、それ自体すばらしく、魅力のあるプログラムでしたが、興味を持てない人もいたのかもしれません。

フェスのように1つの会場で、さまざまなプログラムが同時進行し、観たいものを観る方式のほうが、バラエティ感や多様性が魅力につながったのではないでしょうか。

また、東京ガーデンシアターで開催された「RAGE VALORANT 2022 Spring」「RAGE VALORANT 2022 Autumn」はともに満席でしたが、2日間で13,000人の来場なので、1日あたりは6,500人でした。それを考えると、今回はそもそもの来場者数を多めに見積もり過ぎた可能性もあります。

さいたまスーパーアリーナで行われた「2022 VALORANT Champios Tour Challengers Japan Stage2」では、2日間で26,000人、1日あたり13,000人の来場者を集めた実績がありますが、これはエキシビションマッチと公式大会の違いがあるので、同じ土俵で比較できないとも考えられます。

イベント自体は盛り上がりましたし、有料eスポーツイベントの来場者数としては、決して少ないわけではなく、むしろかなり多いと言えるでしょう。しかし、それだけに、見た目として空席が目立ってしまったことが残念に思いました。