2019年9月16日、東京都・立川市にある「アリーナ立川立飛」にて、オンラインストラテジーゲーム『リーグ・オブ・レジェンド(LoL)』の国内プロリーグ決勝大会「LJL 2019 Summer Sprit Finals」が開催されました。Summer Spritでリーグ戦成績1位を収めた「DetonatiN FocusMe(DFM)」と、9月1日のセミファイナルを勝ち抜いた「V3 eスポーツ」による対戦。優勝賞金1,000万円とLoL世界選手権「2019 World Championship(WCS2019)」への出場権をかけた大事な一戦です。
LJLはこれまで、渋谷のヨシモト∞ホールで試合を行ってきましたが、決勝大会は3,000人収容可能な大型施設での開催。アリーナ立川立飛は2017年に完成したばかりで、バスケットボールのプロリーグ「B.LEAGUE」の「アルバルク東京」が本拠地としています。2019年のLJLを締めくくる一戦にふさわしい場所といえるでしょう。
王者の強さを示したDFM
アリーナ立川立飛は、eスポーツイベントとしては破格の大きさですが、会場はほぼ満席状態。本会場の隣にある小型の体育館ではLJLに参加した8チームのブースが設置されており、試合開始前や終了後、インターバルには、チームグッズや『LoL』グッズを物色する人であふれていました。特に『LoL』グッズは、これまで公式の販売が行われていなかったので、並行輸入などを使って購入するしかありませんでした。そのため、ファンにとってはうれしいグッズ購入チャンスになったといえるでしょう。
また、チームのブースでは、試合をしているDFMとV3 eスポーツ以外の6チームの選手が常駐しており、物販と同時にファンミーティングの様相を見せていました。『LoL』のストリーマーとしてもお馴染みのケイン・コスギさんも来場しており、ファンとの写真撮影に応対してくれていました。
試合は、BO5(3勝勝ち抜け)方式で行われました。試合前のファンによる結果予測では、DFMとV3 eスポーツの勝利予測が「9:1」と圧倒的にDFM優勢。しかし、初戦をとったのはV3 eスポーツでした。セミファイナルを勝ち上がってきた勢いを見せつけます。
このままDFMを倒してしまうかとも思われましたが、2戦目以降立て直したDFMが危なげなく3連勝し、下馬評通りDFMが2年連続の優勝を果たしました。
2018年の世界選手権では、日本チーム初勝利をあげたDFM。その経験を活かし、LJLでは、Spring SpritとSummer Spritの両方で圧倒的な強さを見せつけました。
郊外アリーナはeスポーツイベント活性化のカギ
今回の「LJL 2019 Summer Sprit Finals」を見て感じたのは、DFMの圧倒的な強さもそうですが、やはりアリーナ立川立飛を観客で埋めつくしたコンテンツのパワーでしょう。
アリーナ立川立飛に行くには、JR「立川駅」から150mほど離れた多摩モノレール「立川北駅」に乗り換え、そこから2駅の「立飛駅」まで行く必要があります。都心からの移動を考えると、東京ビッグサイトや幕張メッセとそこまで大きな違いはなさそうですが、ヨシモト∞ホールと比べると、決してアクセスがいいとはいえないでしょう。
3,000人クラスの会場で実施するのは、LJLとしては2017年の「LJL Summer Sprit Finals」以来。レギュラーシーズンでは、さすがにこれだけの会場を埋めることはまだ難しいかもしれませんが、最終決戦となるFinalsであれば、十分に観客が入ることを証明できました。
来年もアリーナ立川立飛でFinalsを開催するかはわかりませんが、現状では最適な会場の1つだと感じました。定期的に試合を開催すれば、もしかすると立川がLJLの街として聖地化するかもしれません。浦和がサッカーの街になったように。
現状eスポーツイベントの多くは幕張メッセや都心部の会議場などを利用していますが、もっと今回のような郊外の大型施設を利用していくのがいいかもしれません。イベント運営側からすれば、充実した設備を備えているうえに、大人数を収容できるのはメリットでしょうし、施設にとっても稼働が増え、周辺地域もeスポーツの街として盛り上がる可能性があります。
LJL 2019 Spring Spritが終了した時点ではSummer Sprit Finalsの会場は未定という話を聞いていたので、急遽アリーナ立川立飛に決定したのかもしれませんが、この決定は思った以上に、eスポーツに実績を残せたのではないでしょうか。また、郊外のアリーナとしても、新たな活用方法が見つかったと感じてもらえれば、アリーナでのeスポーツイベントが今後増えていくかもしれません。