10月8日、9日の2日間、東京有明にある東京ガーデンシアターにて「RAGE VALORANT 2022 Autumn」が開催されました。各日6,500名の観客が訪れ、2日間で13,000人の集客を記録。チケットは早々に売り切れ、両日共に満員御礼です。有料のオフラインeスポーツイベントが定着してきた感があります。
初日は、招待された人気ストリーマーによる大会イベントで、2日目はファン投票で選ばれたプロゲーマーによるオールスター戦です。
ストリーマー大会は、前半の来場者参加イベントとストリーマー対抗戦の2部構成。来場者参加イベントは、ストリーマー15名と来場参加者の合同チームによる対抗戦が行われました。憧れのストリーマーと同じチームもしくは対戦相手としてプレイできるのはファン冥利に尽きると言えるでしょう。
ストリーマー対抗戦は、5名ずつ3チームに分かれ、三つ巴戦を行います。3試合行った結果、恭一郎氏、obo氏、RobiN氏、SurugaMonkey氏、ta1yo氏のリアルフィジカルが勝利しました。
2日目は、ファン投票により選ばれた15名のプロ選手に加え、韓国の強豪チームであるDRXの5選手が参戦しました。合計20名の選手が4つのチームに分かれ、リーグ戦で対戦します。
対戦の前にDRXとZETA DIVISIONのトークセッションがありました。DRXからはサプライズとして、『VALORANT』女性大会であるGAME CHANGERSの日本リージョンに参戦することが発表されました。それにともない、新メンバーDori選手の加入とチームメンバーの募集を発表しました。
オールスター戦は4チームのリーグ戦で6試合行われました。結果はMeteor選手、rion選手、Rb選手、neth選手、TENNN選手の5名による「鬼に金棒」が3戦全勝で優勝を決めました。
今回、両日とも取材して感じたのは、プロチーム、プロ選手の人気がさらに高まってきていること。ロビーには各プロチームの物販ブースが用意されていましたが、2日目はかなりの賑わいを見せていました。
特にZETA DIVISIONのブースは開演して早々に整理券の配布が終了し、夜になる前に販売が終了。ほかのブースも盛況で、早い段階から売り切れる商品が見受けられました。もちろん、1日目も売り切れが出るほどの人気でしたが、それでも2日目がプロ選手のオールスター戦ということもあり、盛況ぶりを発揮していました。
「RAGE VALORANT」は有料イベントで、前回も満員となりましたが、今回は前回よりもチケット代が高くなっており、それでも満員となったのは人気のあらわれだと言えるでしょう。
前回大会ではアリーナ席が6,500円、バルコニー1・2指定席が4,500円、バルコニー3指定席が3,500円でしたが、今回はS指定席(アリーナ+バルコニー前列)が9,500円、A指定席(バルコニー)が7,500円、B指定席(バルコニー3奥)が5,500円と1.5倍以上のチケット代となっていました。にもかかわらず両日とも満員御礼となったのは、『VALORANT』の人気、プロ選手とストリーマーの人気の高さが伺えます。
まあ、9時間ぶっ通しで行っているイベントなので、時間単価で考えれば、決して高価ではないと感じます。再入場することも可能なので、近くのショッピングモールに食事に出たり、休憩したりできるのも、長時間イベントにおいて参加しやすい要素と言えるでしょう。
今回からの試みとして、ABEMA TVにて、ペイパービューの配信が行われました。各日のみの視聴は2,004円相当のABEMAコイン、2days通し券は3,000円相当のABEMAコインが必要です。
YouTubeやTwitchで無料のストリーミング配信をしているので、本来であれば、ペイパービューを選ぶ理由はないのですが、対戦中のどちらかのチーム視点の配信を視聴でき、さらに選手やストリーマーのボイスチャットもすべて聞くことができるという利点がありました。チーム全員のワイプ画像も用意しており、試合中の表情も見て取れるようになっています。
これは、かなり画期的な試みと言えるでしょう。選手やストリーマーが普段、試合でどんな会話をしているのか、どんな作戦や指示をしているのかがわかります。しかも、あとから相手側のチームの視点でも見直せるので、両チームの考えを会話から聞くことができるわけです。
会場でも、場面場面でどちらかのチームのボイスチャットを公開していましたが、選手同士のやり取りに、大盛り上がりでした。リアルタイムでの配信となると、失言や暴言のリスクも気になりますが、それでもより選手やストリーマーに近づけるので、今後のeスポーツ配信のスタンダードになり得る可能性は十分ありそうです。それどころか、フィジカルスポーツなど対戦競技においても採用されるのではないでしょうか。
これまで、ペイパービューで配信する場合、無料配信との差別化はリアルタイムのストリーミング配信と後日のアーカイブ配信がほとんどでした。そのため、リアルタイムでの同時接続視聴者数の数が限定されるマイナス面もありました。今回のようにペイパービューで観る利点、価値が用意されていれば、ペイパービューを選ぶ意味もあり、同時接続視聴者数を減らさなくすることができるでしょう。
「RAGE VALORANT」も今回で2回目。半年ペースでの定期開催も期待できるのではないでしょうか。ただし、「RAGE VALORANT」はあくまでもストリーマーとプロのオールスター戦であり、リーグ戦ではありません。先に発表された「2023 VCT PACIFIC LEAGUE」には、日本からZETA DIVISIONとDetonatioN Gamingの2チームしか参加せず、試合は韓国で行われます。日本で『VALORANT』の人気を継続させるには日本チームが多く参戦し、日本で開催される日本リーグの存在が必須でしょう。
世界大会であるVCT(VALORANT Championship Tour)の日本予選とVCT PACIFIC LEAGUEだけでは、先の2チーム以外の人気がたもてるかが少し心配です。それこそ、「RAGE VALORANT」のオールスターチームがZETA DIVISIONとDetonatioN Gamingに集中してしまうのであればその意味もなくなる気がします。
ともあれ、現状は人気の高いイベントとなっているので、次回の開催も期待しています。