乾物は常温保存可能で栄養豊富

食品をまとめて買っても、冷蔵庫や冷凍庫の容量には限りがあります。乾物は、食品を乾燥させることで微生物の働きを抑え、腐敗やカビを防ぐ保存食。日本には、大豆や切り干し大根、麩など、さまざまな乾物がありますが、残念ながら最近は地味な存在。

レトルト食品やインスタント食品などは確かに便利ですが、有事の際は真っ先に買い占められてしまいます。それなら、滅多に品薄にならない乾物に、今こそ注目してみましょう。保存性だけでなく、栄養価も高く、調理も意外と簡単ですよ。保存も常温で保存OK!

  • 大豆の底力に再注目

大豆は使い勝手が良い

大豆とはマメ科ダイズ属の植物のこと。成熟して褐色になった豆を乾燥・脱穀したものがいわゆる大豆で、未熟で緑色の豆が枝豆。さらに、大豆を発芽させたものが大豆もやしです。

  • 花が咲いた後にできる「さや」の中に種(大豆)が入っている

食卓の定番この3つが同じ植物ということは、頭ではわかっていても不思議。大豆は世界中で栽培されていますが、日本国内で流通する大豆のほとんどは外国産のため、田んぼを大豆畑に変えて国内生産量を増やす動きがあります。主な産地は北海道で関東や九州などでも盛んです。

大豆は、煮たり蒸したりすると煮豆・蒸し豆となり、これを発酵させると味噌や醤油、納豆となります。また、搾ると豆乳やおから、大豆油になり、豆乳は固めると豆腐に変身し、豆腐は凍結・乾燥させると凍り豆腐、揚げれば油揚げに。さらに、炒れば節分の豆まきでおなじみの炒り豆となり、粉にするときな粉です。

このように、加工次第で見た目も味も異なる食品になるのがおもしろいところですよね。

乾燥大豆を備蓄・料理してみよう

大豆は煮たものや蒸したものが、パックや缶詰などの状態で市販されていますが、コスパの観点からは乾物のものがお勧め。小さな豆粒を見て「なんだこんなものか」と思っていても、ひと晩水に浸すと重さが2.5倍ほどになりツヤツヤ。

  • 筆者は北海道産、熊本産などを愛用しています

  • 洗った大豆を鍋で煮ます(圧力鍋があるならそちらで)

  • ゆであがったら、そのまま食べても美味

戻しただけでは食べられず、それから蒸したり煮たりします。凝る人や料理名人は圧力鍋でふっくら蒸して仕上げるようですが、筆者の料理モットーは「ゼロ手間」。真空保温調理機の内鍋に洗った大豆を入れ、容量の約3倍の水で戻し、水を換えてそのまま数十分煮ます。アツアツのまま、内鍋を外鍋にセットしまた数時間で水煮の完成。

多めに作って、1食分は豆のサラダにし、残りは密閉性の高い袋に入れて冷凍するなどして、調理の手間を減らすように心がけています。サラダといっても、食べやすい大きさに切った野菜と合わせ、ドレッシングをかけるだけの簡単なものです。

また、適量を取り分けて納豆液(市販の納豆にお湯をかけて納豆菌をうつした液)をかけてヨーグルトメーカーにセットすれば自家製納豆にもなります。

  • サラダにすればタンパク質が補えます

  • 手作り納豆は豆の旨みが決め手

ちなみに、戻さずに、フライパンでから炒りすれば炒り豆に。とっても素朴な味ですが、つまむ手が止まらなくなるおいしさです。「畑の肉」と呼ばれる通りに、体を作るもとになるタンパク質が豊富なのも有名。

それ以外に、脂質やビタミンB1、カルシウム、カリウム、鉄、マグネシウムなどの栄養素もバランスよく含んでいます。リモートワークの合間にお菓子をつまんでしまう……という方は炒り豆はいかが? しっかり栄養を補ってくれる上、カリッとした歯応えがあるので満足感もアリ。おやつ代わりにもいかがでしょうか。