社会問題となった「あおり運転」の事件以来、ドライブレコーダーの注目度が高まっています。多くの製品が登場して価格が下落傾向にあるため、すでに自宅のクルマに導入したという人も多いでしょう。
基本的に「クルマに装着したあとは何も触らなくてよい」ドライブレコーダーですが、万が一の状況を確実に残すためには、ちょっとした知識を持っておくのがベター。この連載では、知っておいてソンはないドライブレコーダーにまつわる豆知識をまとめてみました。
決定的瞬間の動画は上書きされないようにしよう
危うく事故になりかけた、危険な走行をする車に遭遇した、珍しい状況に出くわした――など、運転しているとドライブレコーダーで残しておきたい場面に遭遇することがあると思います。
ドライブレコーダーは、運転中の様子を常に録画しており、それらの状況はすべて動画ファイルとしてmicroSDカードに記録されます。ただし、microSDカードの容量がいっぱいになると、新しい映像を古い映像に上書きして撮影をし続ける仕組みになっています。このため、以前撮れていたはずの大切な場面の映像が知らない間に上書きされて消えていた…ということにもなりかねません。
標準的なフルHD(1920×1080ドット、30p)画質に設定した場合、およそ1分で100Mバイトの容量を消費します。つまり、1時間で約6,000Mバイト=約6Gバイト、5時間で約30Gバイトにもなり、32GBの大容量カードを使っていても半日持たず埋まってしまうことになります。
大切な場面の映像を上書きから守るために、ドライブレコーダーの多くは加速度センサーによる衝撃検出機能を備えています。事故でほかのクルマとぶつかったり、急ブレーキで急減速したりすると、加速度センサーによる衝撃検出機能が起動。その瞬間から前後数十秒間の映像を、上書きされない別のフォルダーに保存するので、メモリーカードの容量が不足しても上書きされなくなります。
注意したいのが、衝撃や車体の揺れがそれほど大きくなかった場合です。衝撃検知機能が働かないと別のフォルダーへ保存されないので、上書きで消えてしまうことになります。
そういう場合に備え、多くのドライブレコーダーには緊急記録ボタンが用意されており、これを押すと衝撃検出機能が働いた場合と同様に、その場面の動画が別フォルダーに保存されます。
しかし、万が一の状況に遭遇した瞬間は運転に集中している場合がほとんどで、小さな録画ボタンに的確に手を延ばして操作するのは至難の業といえます。ボタンを押すことに気を取られすぎると、運転がおろそかになって事故を招く危険性も出てきます。
もし、いざという場合に動画を確実に保存したいなら、ドライブレコーダー本体を手でたたくか、ドライブレコーダーに近いフロントガラスをガツンとたたくのがおすすめ。たたいた衝撃でドライブレコーダーの衝撃検出機能が作動し、その前後の様子を記録した動画を上書きされないフォルダーに保存できるわけです。視線を前方から視点を移動させずに対処できるので、運転への影響も最小限で済みます。
注意したいのが、ドライブレコーダー本体をたたくとレンズの向きが変わりやすいこと。また、たたいた衝撃でドライブレコーダーが外れる恐れもあるので、注意しましょう。どれぐらいの力でたたけば衝撃検出機能が働くか、駐車場など安全な場所に停車した状態であらかじめ試しておくのがおすすめです。