「無痛分娩だと愛情が湧かない」「離乳食は手作りがいちばん」――昔から育児当事者を苦しめてきた子育てにまつわる迷信や神話、さらにネット社会で広がる真偽不明の育児情報。
そんな育児の「これってほんと? 」について、ツイッターで人気の小児科医・ふらいと先生をはじめとする専門家たちが答える1冊が登場しました。この連載では、『新生児科医・小児科医ふらいと先生の 子育て「これってほんと?」答えます』(西東社)より、一部抜粋してご紹介します。
男性の育休、とってもあまり意味がない?
A. いいえ。
赤ちゃんのお世話をできるのは今だけだし、男性育休にはメリットがたくさん!
育休をとりたい、と考える男性が増えており、20代男性の約8割が取得を希望(*1)しています。そのいっぽう、キャリアへの影響を心配する声も根強くあります。
日本の育休制度はユニセフによって期間や保証額、税金の免除などが評価され、世界一に認定されている(*2)すばらしい制度です。取得しないのはもったいない! 収入が減る、出世にひびくというイメージがいまだにありますが、各種保証があるので可処分所得の8~9割は担保されますし、育休前のポジションで復帰することが法律で定められています。
取得した人が不利益を被らないよう整えられているのが、育休制度です。「妻のためにとる」と思っている人もいるかもしれませんが、育休取得は何より自分のためになります。 妻から夫への愛情は結婚後だんだんに減り、出産直後に下げどまり、その愛情は子どもにほぼすべてが注がれるようになる、という調査結果もあります。こここそが、夫への愛情の分岐点。
子の乳幼児期に妻が「自分ひとりで子育てした」と感じていると愛情はさらに下がり、「夫とふたりで子育てした」と感じていると愛情はV字回復するのです。
妻の気持ちを考えると、これは当然でしょう。体力的、精神的につらい時期に、そばにいて分かち合ってくれなかった相手にはパートナーシップを感じにくいものです。人生100 年時代、仕事と家庭のバランスをとることは必須で、そのためには男性の育休取得が欠かせないのではないでしょうか。
(1)積水ハウス 男性育休白書2021
(2)ユニセフ 子育て支援策 新報告書
答えた人:認定NPO法人フローレンス 前田晃平
株式会社リクルートホールディングスの新規事業開発室を経て、現在、同法人の代表室長。政府の「こども政策の推進に係る有識者会議」の委員を務める。妻と娘と3人暮らし。noteでは子育てや家族の日常、社会問題を発信。著書に『パパの家庭進出がニッポンを変えるのだ!』(光文社)。Twitter:@coheemaeda
※プロフィールは発刊時のものです。
『新生児科医・小児科医ふらいと先生の 子育て「これってほんと?」答えます』
(西東社刊/1,430円)
もう悩まない、ふりまわされない! Twitterで正確な医療知識を発信しつづける"ふらいと先生"待望の書。子育ての常識は日進月歩。昔は当たり前だったことが今はまったく違う、ということはたくさんあります。また、ネット社会になり育児不安をあおるようなうわさやうそかほんとかわからない情報がSNSなどをつうじて広く拡散されるようにもなりました。いっぽうで、お母さんだけに負担を押しつけるような育児の迷信・神話は変わらず存在し、いまだ「呪い」のように育児当事者を苦しめています。そのひとつひとつについて「これってほんと?」と問い直し、専門家が最新の知見に基づいて科学的に答えていく一冊です。
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