就活での面接官からの質問は、「言葉通り素直に受け取り、直球で答える」と失敗します。なぜなら、その質問の「裏」に面接官が聞きたい本音の質問が隠れているからです。

前回は『面接対策で用意した質問を「他の学生に言われた時」に慌てず対応するコツ』を解説しました。今回は「挫折や失敗の経験を教えてください」です。

面接官はあなたの苦労や挫折した話は興味がない

面接官がなぜ、あなたの苦労や挫折した話を聞きたいのか。興味本位や同情したいわけではありません。理由は2つあります。

一つは、あなたの「経験の幅」を知りたいのです。エリートは打たれ弱いことが多いことは聞いたことがあるでしょう。どんなに優秀な人でも失敗の経験の浅い人は変化の時代に弱いことを企業側は過去の失敗から学んでいるのです。

大成功する人は若い時にチャレンジに伴う大失敗を経験しているものです。有名な経営者やスポーツ選手が大きな失敗や挫折の経験があることはあなたも知っていますよね。学生時代に経験できる大成功には限界があります。ゆえに、逆にどれだけ大きなチャレンジを行い失敗や挫折をしたのかを知ることで、あなたの経験の幅を面接官はつかもうとするのです。

二つ目は、その苦境をどのように乗りこえたのか? ここが面接官の知りたいメインディッシュです。なぜなら、人の思考・行動パターンはある程度決まっているから。遅刻する人はいつも遅刻する。といったように、あなたの周りの人を思い浮かべれば納得できるでしょう。

あなたが学生時代に困難に陥った時、どのようなパターンで乗り越えるかを聞くことで、就職した後のリカバリー力を想定し、合否判断につなげます。ここは嘘をついても面接官は見抜く訓練を積んでいますので、恰好つけたり、話を盛ったりすることはやめましょう。実は隠しておきたい挫折や失敗こそ、面接では有利になるのです。

第一志望の動機を強化する部分を伝える

コロナ禍だったこともあり、あまり多くの経験ができなかった。他の就活生と内容が被り差別化が難しい場合は、「大学入学以前のこと」でもいいですし、「資格やコンテスト、苦手を克服する等、今チャレンジ中のことでも大丈夫です。

ポイントは、

(1)大変だったこと、苦労したことを延々と話さない
(2)どのように乗りこえたのかを形容詞ではなく、名詞と数字を入れ具体的に表現する
(3)そこから学んだことを伝える

になります。

今回も失敗例とお手本で解説します。

失敗例:
私が大失敗したのは、大学入試で失敗したことです。高校時代、特にやりたいことが見つからず、将来の方向性がみえなかったこともあり、受験勉強に本腰が中々入らず、結果、第一志望の大学に合格できませんでした。友人は全員第一希望の大学に入学できたので、一人だけ取り残された感じがして激しく絶望しました。(1)大学入学以降は、気持ちを切り替え、サークルやアルバイトに力を入れる予定でしたがコロナ禍で思うような活動できず、学業に専念した結果、首席で卒業予定になりました。

首席で卒業する事実を通して、挫折を乗り越えたと言いたいのでしょうが、これでは失敗から何も学んでいないと判断されてしまいかねません。逆に「本気だせば、私ってこんなにスゴイ」という自慢に受け取られるリスクもあります。

落ち込んだ時、どう気持ちを切り替えたのか。どんなことを取り組んだのかについて触れられていないからです。挫折した本音の部分は心の中に隠しておきたいことは当たり前です。しかも苦労話に触れると、心理的に感情移入したくなる心理が働きます。結果、延々と話してしまいがちになるので注意が必要です。

お手本:
私が大失敗したのは、大学入試で失敗したことです。高校時代、特にやりたいことが見つからず、将来の方向性がみえなかったこともあり、受験勉強に本腰が中々入らず、結果、第一志望の大学に合格できませんでした。友人は全員第一希望の大学に入学できたので、一人だけ取り残された感じがして激しく絶望しました。
(2)コロナ禍でサークルやアルバイトも制限がかかったため、開き直って学業のマーケティングに専念しました。リモート環境で学ぶ中、マーケティングの先端事例の企業のリーダーのオンラインセミナーで質問した時、転機が訪れました。その質問が本質をついている! と気に入っていただき、SNSを通して交流が始まりました。
(3)「誠実に質問したり、今の自分で出来ることでも喜んでもらえたりすれば、ネットを通して普段会えない方々と繋がり、ご縁が持てる」ことに気づきました。結果、多くの識者と繋がり、有名人の〇〇さんのオンラインサロンの立ち上げをはじめ、生で最先端の事例を学び、経験させてもらえました。その経験が学業に活き、首席で卒業できることになりました。

(2)失敗からどう気持ちを切り替えたのか、本音部分を長々と言わずに端的に伝え、どのような活動をしたのかを事実ベースに具体的に伝えています。なので、面接官もイメージが湧きやすいので鮮明に伝わります。③で何を学び、どう活かし、どんな結果に繋がったのかがわかります。「この人なら、仕事の中で困難に陥っても、周りの力を上手く借りて、自律的に動けるだろう」とポジティブに判断してくれるでしょう。

いかがでしょうか。大事なのでもう一回言いますが、人はトラブルを乗り越える時、ほぼ同じ思考・行動パターンを繰り返すことを面接官は知っています。

同じ事実を語る場合でも、リカバリーした局面の事実や行動を具体的に語れれば、入社した後、どのように困難を乗り超えてくれそうなのかを、面接官の脳裏にポジティブに焼き付けることができます。

この質問も必ず就活の面接で聞かれるので、事前に用意しておきましょう。