家電は長く使ってこそ評価できる…半年使ったぞ
グッドデザイン大賞も受賞したダイソンの羽根のない扇風機「エアマルチプライアー(Air Multiplier)」の体験レポートもいよいよ佳境。私と犬の半年に渡る実体験を皆さんにご紹介したい。
私の部屋は犬の抜け毛天国である。そのため、いろいろと悩んだ末にダイソンのペットグルーミングツールを購入して、連載の第一回と二回で紹介した。実は、ペットグルーミングツールよりも先に「エアマルチプライアー」を使いはじめていたのだが、連載では話の順番が入れ替わっている。理由は、できるだけ長く使用して、その結果を皆さんに伝えたかったからだ。発表された直後にレビュー記事を掲載したほうがアクセス数は良いのだが、内容はスペックの詳細とデザインの評価、そして数時間触れたぐらいの使用感しか書けない。家電はやはりある程度長期に渡って使用してみないと本当のところはわからないので、今回はあえて執筆する順番を後にしていた。
しかし、長期テストといっても私が購入した「エアマルチプライアー AM03 フロアーファン(ホワイト)」は発売されてようやく半年。1年以上使用したほうが耐久性も含めていい感じのレポートになるのだが、新製品が出ちゃうと意味がないのでとりあえずここで一区切りとしたい。それにしてもこの半年の間にいろいろなことが起きた。作り話にしか聞こえないかもしれないが、寝室のエアコンが壊れるなんていうハプニングもあった。「エアマルチプライアー」が届くちょっと前のことだ。すぐに修理はしたのだが、壊れた日の夜は地獄のようだった。まずはその話から始めよう。
熱帯夜に普通の扇風機は役に立つのか…ダメ
それは突然やってきた。ベッドに入って数時間ほど経過した時だ。暑いなあと思ってエアコンを見上げたらランプがチカチカ点滅していて、よく見ると吹き出し口が閉じていた。見た事もない表示だと思いつつ電源を入れ直す。再び吹き出し口が開いて風が出始めたのだが、しばらくしてまた閉じてしまった。また電源を入れ直す…動き出す…また閉じる。半分寝ぼけた状態だったので、明日修理を頼もうなどと考えつつ、その日は例の壊れかかった古い扇風機で凌ぐことにした。すでに9月に入っていることだし、窓を開けておけば大丈夫だろうと考えたが甘かった。
暑い! とにかく暑い! しゃれにならないぐらい暑くてしかもすごく蒸している。私の部屋は普段でもかなり気温が高いのだが、9月ってこんなに暑かったっけ? しかも天然の毛皮を着た連中もいる。窓なんて開けていてもなんの効果もなく、仕方なく古い扇風機の風に当たりながら汗をダラダラ流してウトウトとしていたのだが、眠りが深くなるにつれてついに吐き気がしてきた。そのきっかけが扇風機の風だ。この夜は湿度も高かったこともあり、扇風機の風は涼しく感じるどころか逆に気持ちが悪いのだ。特に断続的な「パタパタ」の風が顔に当たるたびに吐き気が増していく。
以前にも掲載した羽根のある通常の扇風機(左)と羽根のないダイソンの扇風機(右)の風の違い。羽根で空気を送るとどうしてもバタバタとした感じになる。ダイソンはスリットから押し出すように空気を送るので連続した風になる |
最近はエアコンの冷気を循環させるのが扇風機の主な役割だったので、湿った熱い空気に直接当たることなんてなかった。これがジェームズ(ダイソンの会長)が言っていた気持ちの悪い空気か…ようやく理解できた。昔は扇風機だけでも結構涼しかったような気がするのだが、ニュースでも言っているように私たちを取り巻く環境が大きく変わってしまったせいなのかもしれない。そうでなければ自分がヘタレになったということだが、それにしても何もかもタイミングが悪いよなあ。
もっと早く買っておけばよかった…エアマルチプライアー
翌日、別の部屋の荷物を片付けて犬と一緒にそこに移動し、エアコンが直るまでの間なんとか過ごせたが、あの気持ちの悪さはいまでも生々しく記憶に残っている。そして間もなく到着したのが「エアマルチプライアー」だ。仕組やセットアップに関しては前回レポートしているのでそちらを参照してもらうとして、あの地獄の夜を再現するためにわざとエアコンの電源を切って試してみた。ワンちゃんたちもちょっと我慢してくれい。さてその結果は…
『あ~気持ちイイ~』
そう、ちょうど台風の時の強い風の中にいる感じだ。風を送る装置が異なるだけで、こんなにも違うのだろうか。ジェームズありがとう! できればエアコンが壊れた夜に使いたかったなあ。
その後「エアマルチプライアー」は残暑に大活躍。エアコンと併用しながら快適に過ごすことができた。そして、我が家に完全に馴染んだ頃、ふと空気を送り出す丸い枠(プロジェクタ)に目をやると何やら白いモノが付着している。ホコリだ。購入前に危惧していた犬の抜け毛による目詰まりが頭の中をよぎる。私の心は快適モードから一変して心配モードに…。羽根がない「エアマルチプライアー」と言えどもホコリの付着は避けて通れない問題なのである。では次回、ホコリの付着についてレポートしたい。