鉄道ファンが列車に乗ると、他の列車とのすれ違い、追い越しが気になる。時刻表をめくれば類推できるけれど、列車ダイヤなら一目瞭然。おおよその時刻までわかる。事前に調べておけば、列車の旅はもっと面白くなるかも!? というわけで、今回は最新の時刻表から東海道新幹線の列車ダイヤを作ってみた。
在来線は速度が遅いから、すれ違う列車の行先表示をチェックできる場合もある。しかし新幹線のすれ違いは一瞬だし、車両の形もほぼ同じ。東海道新幹線の車両は色も統一されているから、見たままではどんな列車かわからない。列車ダイヤで調べておくと、どんな列車とすれ違うか、何本の「こだま」「ひかり」を追い越すかわかる。そこで、時刻表2014年4月号をもとに、東海道新幹線の列車ダイヤを作ってみた。
運行本数の多い路線の入力はたいへんだ。しかし、東海道新幹線の場合は列車の運行パターンは少ない。Oudiaでは列車単位のコピー&ペーストができるし、ペーストした列車の始発時刻を変更すると、それ以下の時刻はすべて同じ所要時間を加算して書き換えられるから、すべての列車と駅の時刻を入力しなくて済む。そうはいっても、空き時間を見つけて1週間くらいかかった。
1日の列車ダイヤを表示してみたところ、ご覧のように真っ黒で、何が何だかわからない。さすがは日本の大動脈、東海道新幹線だ。しかし、ここからいくつか読み取れる事実がある。新幹線の運行は全線にわたって6:00~24:00である。上辺の東京付近の密度が高い。午前中と夕方の列車が多く、お昼頃の運行頻度はやや少なめだ。
東京付近は新幹線で通勤、通学する人も多い。旅行者はお昼ごはんや夕食までに目的地に着きたいんだなあ。お昼頃は目的地の用件があるから、移動する人は少ないな。……などと予想すると楽しい。折れ線グラフみたいな図を見て想像力を膨らませるなんて(笑)。
ところで、こんな状態ではひとつの列車を追跡できないから、ダイヤ表示の拡大縮小機能を使って見やすくしてみよう。列車の種別ごとに色分けする機能も使って、ひとつの列車を際立たせてみた。ターゲットは東京駅9時0分発の「のぞみ213号」新大阪行だ。
交差する線がすれ違う列車を示している。東京駅から新横浜駅に進むまでの間に、9本の列車とすれ違っている。それも約2分ごとに。かなり過密だ。実際はもっと多いかもしれない。時刻表にはお客さんが乗車できる列車しか掲載されない。東京~品川間には分岐点があり、大井埠頭の新幹線車両基地から東京駅に向かう回送列車もある。実際に乗ってみて、数が多かったら回送列車が走っていた証拠。数が少なかったら臨時列車が運転されていないといえそうだ。
「のぞみ213号」は先行列車をどこで追い越すだろうか? 拡大したまま、赤い線をたどってみよう。まず、小田原駅で追い越しが発生していた。次は静岡駅だ。列車と駅の交点をクリックすると、時刻表表示で確認できる。小田原駅では「こだま641号」、静岡駅では「こだま639号」を追い越している。
「こだま639号」は静岡駅で6分間停車し、「のぞみ311号」にも追い越される。ただし、「のぞみ311号」は臨時列車だ。運転しない日もある。そんな日に「こだま639号」に乗ると、「たった1本の列車に抜かれるために、ずいぶん待たされるなあ……」となるかもしれない。
その後、「のぞみ213号」は豊橋駅で「こだま637号」を追い越し、11時33分に大阪着。3本の「こだま」を追い越した。「こだま637号」は東京駅7時56分発。つまり、「のぞみ213号」は約1時間前に発車した列車を追い越している。
「のぞみ213号」とすれ違う列車は、東京駅から品川駅まで出4本、品川駅から新横浜駅までで5本、新横浜駅から名古屋駅まで33本、名古屋駅から京都駅までで13本、京都駅から新大阪駅までで4本。合計59本だった。ただし前述の通り、回送列車は含まれず、臨時列車を含んでいるから、乗車日によってこの数は変わってくるだろう。
すれ違う列車まで追求するとたいへんだけど、先行する「こだま」をどこで追い越すか知るだけで、最速列車「のぞみ」に乗った優越感は増すような気がする……かも!?