JR東海の371系電車が富士急行に譲渡されると決定した。371系は小田急線に乗り入れる特急「あさぎり」に使われた電車だ。富士急行では現在、「あさぎり」で活躍した小田急RSE車(旧20000形)が8000系として走っている。371系も「フジサン特急」に加わり、旧「あさぎり」ペアが新「フジサン特急」ペアとして復活する。

富士山を背景に「フジサン特急」を撮影できる

富士急行といえば、「富士登山電車」「トーマスランド号」も走っているし、JR東日本からの直通列車もある。各駅停車も1000形は富士急行リバイバルカラー、マッターホルン号、京王5000系復元塗装があり、他に元JR205系の6000形がある。車両のバリエーションが豊富で飽きない。「撮り鉄」もやりがいがあるというものだ。

富士急行の電車を撮るなら、ダイヤを作って撮影スポットに持参しよう。次にどちらの方向からどんな電車が来るかわかる。走り去った列車が、折り返して戻ってくる時刻も予想しやすい。早速「Oudia」でダイヤを描画してみよう。今回は休日と平日を比較してみた。

富士急行の休日ダイヤ(2014年12月現在)

富士急行の平日ダイヤ(2014年12月現在)

赤い線が「フジサン特急」、青の細線が快速「富士登山電車」、緑色は「トーマスランド号」、黒の細線は各駅停車、黒の太線はJR中央本線から直通する電車だ。休日と平日の違いは赤い線の数でわかる。「フジサン特急」の運行本数は休日のほうが多い。そして、休日だけJR直通の「ホリデー快速富士山」がある。これは青の太線で表示した。

富士急行線は全線単線だ。下り列車と上り列車がほぼ等間隔で運行し、すれ違いのときの長時間停車が少ない。すれ違い設備のある駅が多いから、とてもスムーズな運行だ。特急や快速を運転しているけれども、各駅停車の追い越しはない。特急や快速は所要時間を短縮するという目的よりも、観光地への道のりを楽しむ目的で走っているといえそうだ。

JRからの直通列車は、黒い太線の各駅停車がE233系、青い太線の「ホリデー快速富士山」は189系とのこと。各駅停車の直通列車は平日も休日も設定されている。夜に富士急行線に乗り入れ、河口湖駅に帯泊、あるいは富士山駅付近の車庫へ回送して夜明かしして、翌朝に河口湖駅始発で東京方面に帰る。富士急行線沿線から東京方面へ通勤・通学のための列車といえそうだ。休日の「ホリデー快速富士山」は午前中に富士急行線に乗り入れ、河口湖駅または車庫で待機。夕方に東京方面へ戻っていく。こちらは都心からの観光客向けの列車である。

冒頭の写真は有名な撮影スポットで、場所は三つ峠~寿間。列車ダイヤをプリントして、この区間に定規を当てれば、次にやってくる列車を予測できる。各駅停車も車種やカラーが異なるけれど、どの列車にどんな車両が使われるか、ダイヤでは不明。ただし、通過していった列車の線を追っていけば、折り返して戻ってくる時間の見当がつく。

ダイヤを作ってみると、1つの場所に何時間いれば、すべての列車が撮影できるかもわかる。夏季は日照時間が長いから、複数の撮影ポイントを巡って撮れるだろう。371系電車が運行開始した場合、このダイヤのままなら、下吉田駅と三つ峠駅で「フジサン特急」同士がすれ違う。ここも良い風景になりそうだ。

富士急行は自社の車種、塗装の種類が多く、JR東日本から乗り入れる列車もある。運行する車種が多いから、大月駅から河口湖駅まで乗り通した場合、すべての対向列車が違う色かもしれない。撮り鉄だけではなく、乗り鉄にもダイヤは便利なツールだ。