「ルルドスタイル EMSマスク」(2021年11月発売/以下、EMSマスク)は、さまざまなEMS商品を発売してきたアテックスが新たに手がけたマスク型のEMS(Electrical Muscle Stimulation)製品。見た目も使い心地もふだん使っているマスクと変わらず、「ながら」でのフェイスケアを追求している。
EMSマスク発売までの道のりや開発秘話を、企画・開発の中心メンバーに尋ねた。
マスクとして心地よく、自然につけられる設計
EMSマスクの機能はEMSによる顔の刺激だが、マスクとしての着け心地も重要なポイントだ。
「素材には本当にこだわりました。着けていてストレスにならない素材であることに加え、マスクが悪目立ちしないように、一般的な布マスクと大きく変わらない質感と、着けると小顔に見えるシャープな印象を両立できる素材選びを重視しました」と、アテックス企画マーケティング部の吉川安紀氏。
「試作品は本当にいくつもパターンを作りました」と、商品開発本部 商品開発第2部・新子翔也氏も続ける。
「レーザーで布をカットして、試作を繰り返しました。レーザーは熱で裁断するので生地の端が硬くなり、耳にかけると痛くなってしまった試作品もあります。また、強度に関して、第三者機関にて実施する手洗いによる100回の洗濯テストをクリアする必要があり、デザインを維持しつつ強度を高めるための形状や縫製方法に苦労させられました」(新子氏)
マスク生地には、ポリエステル95%、ポリウレタン5%の素材が採用されている。吉川氏によると、この割合は「着けた時に立体形状がつぶれないかなどを検討した結果」とのこと。
EMSマスクはその名の通り、EMS機能を内部に搭載するため、布を2枚重ねて縫い合わせている。吉川氏は「伸縮性のある生地を採用していますが、2枚重ねにすると伸縮率が悪くなってしまいます。実は、耳の部分も最初は2枚重ね合わせて縫っていたのですが、装着時に伸びやすくするため、この部分だけ1枚仕立てに変えました。加えて、縫製ラインが目立たず、肌に当たらないようにデザインしています」と明かした。
配線している左右の電極についても、配線の長さ調整に苦労したそう。新子氏によると、左右の配線の長さが異なると電流の流れ方も偏ってしまうため、バランスをとるのが難しかったという。また、「生地が薄すぎると電極の配線が透けて見えてしまうので、マスク自体の色の濃さを調整して透けにくくする」(新子氏)工夫によって、自然につけられるマスクの外観を追求した。
耳かけ操作部の基板を特注、急きょ追加したカラバリも
EMSマスクの操作部は、耳にかけられる三日月型。マスクとの接続部はマグネット式で、容易に着脱できる。
「操作部を耳かけ式にすることは最初から決めていて、補聴器の形をイメージしたデザインにしました。既存の基板が収まらないので、三日月型の基板を特注で作ってもらいました。バッテリーも、特殊な形のケースに組み込めて、容量を確保できる物を選ぶのは難しかったです。当初、マスクと操作部の接続をボタン式にすることも考えたのですが、操作部を耳に着けてからボタンを取り付けるのは難しく、装着のしやすさからマグネット式を採用しています」(新子氏)
構想から含めると2021年春からスタートした、EMSマスクの企画・開発。吉川氏は「ゴールがまったく見えない製品でした」とプロジェクトを振り返るとともに、おススメの使い方を語ってくれた。
「複数の製品開発を同時にスタートしたのですが、その中でもEMSマスクは紆余曲折を経て作り上げたものです。実は、カラバリの黒は広告用の撮影のとき、モデルさんやヘアメイクさんから『黒はないのですか?』と聞かれたことをきっかけに急きょ追加したものです。トレンドをつかんでいる人がEMSマスクのターゲット層だったので、これは追加しなければ、と。
EMSマスクには、『着けてふだんの生活をする』というコンセプトがあります。おススメの使い方として、EMSマスクを着用しながら顔トレーニングを行うと、短時間で効率的なエクササイズが可能になります。公式サイトには、歯科医で口もと美容スペシャリストの石井さとこ先生によるトレーニング動画も公開していますので、ぜひ実践してみてください」(吉川氏)