電話、カメラ、そして"音楽"。この10年で、携帯する人が飛躍的に増えたアイテムだ。携帯する音楽といえば、ソニーの「ウォークマン」にルーツが求められるが、現代では、アップルの「iPod」が市場を独占しているといっても過言ではないだろう。
プッシュボタンを押すと、本体部分とヘッドフォン部分に分離。パソコンとの接続を行う際には、本体部分にあるUSBミニジャックと、パソコン本体のUSBポートを接続する。また、ジョイスティックの面の裏側には、ナビゲートボタン/ホールドボタン(H)、リピートボタン/レコーディングボタン(R)、メニューボタン/モードボタン(M)が付いている |
そのような状況の下、北欧から1台のミュージックプレイヤーがやってきた。「iPod」が、指をスライドさせる平面的な操作が特徴なのに対し、北欧発のミュージックプレイヤーは、ジョイスティックを用いた立体的な操作が特徴。親指を上下左右に、クイックイッと、小刻みに動かす感覚が、クセになってしまいそうだ……。
そのミュージックプレイヤーの名は、「asono mica」。メーカーは、ノルウェーのasono社。そして、デザインは、21世紀のノルウェーデザインの旗手、Norway Says(ノルウェーセイズ)が手がけている。
21世紀の新たな名作の予感さえ漂う、「asono mica」。そこで、今回は、20世紀の北欧の名作とともに撮影してみた。「asono mica」の紹介とともに、新旧の名作のコラボレーションも楽しんでみてほしい。
独特のフォルムに一目惚れ
箱を開けた瞬間、「iPod」に代表されるスクウェアなフォルムに見慣れた目に、そのオーガニックなフォルムが新鮮に飛び込んできた。そして、触れた瞬間、ラバーのような独特の触感に、完全にやられてしまった。モノが本来果たすべき機能(この場合はミュージックプレイヤーとしての音質や連続再生時間など)について知る前に、モノに恋をしてしまうというのは、そうそうあることではない。パソコンで充電する時間が待ち切れず、首にかけて街へ出かけたくなってしまう。まるでネックレスのように、ファッション性が高いアイテムだ。本体とヘッドフォンが一体化している点も、使い勝手がいい。さらに、ディスプレイの部分のカラーを7色から選べるというのもうれしい。その日の気分やファッションと合わせて、さりげなく自己主張を楽しみたい。
機能面については、音楽を聴く以外に、ラジオを聴けたり、録音できたりするのが新しい。その他にも、お気に入りの曲と自分の声がミックスされて一緒に歌うことができる「カラオケ機能」、外国語の学習などに効果的な、ディスプレイにテキストを表示させる「E-Learning機能」など、マルチなミュージックプレイヤーだ。
もちろん、肝心の音質も、ノーマル、クラシック、ロック、ポップ、ライブ、ジャズ、ダンス、パーティ、テクノ、レゲエ、ソフトの11種類から選べ、サウンド・エフェクト機能が充実しているなど、申し分ない。
「asono mica」と、フィンランドの巨匠アルヴァ・アアルトのダイニングセット |
デンマークを代表するデザイナーであるアルネ・ヤコブセンの「セブンチェア」(1955年発表)と。半世紀の時を越えてのコラボレーション |
また、MP3、WMA、ASFというさまざまな圧縮方式に対応しているという点や、USBを通して、データのアップロード、ダウンロードが行えるというのも便利だ。もちろん、OSはWindows、Macの双方に対応している。
ファッションや音楽、ライフスタイルにおいて、"こだわり"を持つ人に、ぜひ手にとってほしいミュージックプレイヤーだ。
NorwaySays(ノルウェーセイズ)
ノルウェー・オスロを拠点とするデザインユニット。2000年、イタリア・ミラノで開催されるミラノサローネの出展のために結成し、2002年からは、トルビョルン・アンデルッセン、アンドレアス・エンゲスヴィック、エスペン・ヴォルの3名体制に移行。家具を中心に、様々なプロダクトデザインを手がけている。代表作に、ソファ「UGO」、テーブルウェア「NOR」など