世の中に数多あるプロダクトを眺めていて、お国柄というか、ローカル性を感じることがある。
デザイナーの遊び心に溢れているものはイタリアだったり、カラフルでポップなテキスタイルはミッドセンチュリーのアメリカだったり、実験的で驚きを潜ませたデザインはオランダだったり、かっちりとしていて丈夫そうだと思ったらドイツだったり、シンプルで機能的なものは北欧だったり、プリミティブなものはアフリカだったり、という風に。
そういったプロダクトの中には、そのモノが持つ機能やデザインという役割を超え、使い手に各々の国の歴史やカルチャーを感じさせ、ひいては、その場所へいざなうパワーを秘めたものも少なくない。
今日紹介する、イギリス・ラッセルホブス社の電気ケトル「7100JP」は、そのような佇まいを纏っている。ただ、そこにあるだけで、英国の伝統や気品といったようなものが漂ってくるような気がするのだ。そして、いつの日か、英国の実際の暮らしを垣間見たくなってしまう……。
そう感じさせる一番の要因は「注ぎ口」にある。細長い優美な曲線は思わず指でたどってみたくなるほど……。また、本体の下部に取り付けられているので、全体のフォルムに安定感をもたらしている。実際に使用する際にも、お湯を最後まで注ぎ切ることができるので便利だ。注ぎ口に比べてしっかりとしたハンドルは、力があまりない女性でも持ちやすく注ぎやすい工夫がなされている。フォルムとしての美しさを追求しながらも、毎日使うものだからこその機能性をしっかりと兼ね備えている。
コンセントがある場所なら、キッチンやリビング、寝室など、どこでも使え、コードレスタイプなので持ち運びが自由なのもうれしい。しかも、沸騰した直後でも、ケトルの底部は熱くならないので、何も敷かずにそのままテーブルに置くことができる。また、沸騰してから1時間後でも70度くらいまでしか下がらないほど保温力に優れているので、庭に持ち出して使用することも。日常の中にティータイムが溶け込んでいる、英国ならではのプロダクトだ。
ラッセルホブスは、1952年、ビル・ラッセルとピーター・ホブスにより設立されたブランド。1955年に発売した、沸騰すると自動的に電源が切れる機能をはじめて搭載したという画期的な電気ケトル「K1」、それに続く「K2」により大成功をおさめた同社は、電気ケトルの代名詞的ブランドとして、イギリスのみならず、ヨーロッパ、アメリカなど、世界各国で高い評価を得ていく。近年は、電気ケトルの素材にガラスを採り入れるなど、斬新でユニークな製品開発にも定評がある。また、電気ケトル以外にも、トースター、コーヒーメーカーなどもラインナップに加え、総合調理家電ブランドとしての地位を歩んでいる。
Kahemi Cafe
今回の撮影場所は、渋谷・公園通り沿いにある「Kahemi Cafe」。渋谷の喧騒からちょっとハイダウェイしたいときに立ち寄りたいカフェだ。B1Fでありながら、光がやわらかく射し込むカフェでは、クラブユニット「Jazzin' park」がセレクトするBGMに身を委ねながら、自然栽培の野菜を使った本格料理や生パスタ、ビール、ワイン、焼酎など200種類以上のドリンクを楽しめる。その他にも、イラストレーターのChiyo Ohno(オオノチヨ)が手がけるカフェのビジュアルや、センスのいい小物などにも注目
住所:東京都渋谷区宇田川町2-1 渋谷ホームズB1
営業時間:12:00~23:00(ラストオーダー22:30)
定休日:月曜定休日(祝日の場合は翌火曜日)