クレジットカードは現金を持たなくても買い物ができて、利用金額に応じてポイントやマイレージが貯まる便利なカードです。でも、使い方を誤れば、家計を圧迫したり、不正利用などで痛手を被ることも。今回は誰にでもできるクレジットカードの有効活用術を紹介します。
【法則1】使うカードは1枚に絞る
百貨店やドラッグストアのポイントカード、レンタルビデオ店の会員カードがクレジットカード化していることもあって、何枚もカードを保有している人は多いようです。
しかし、保有枚数が多くなるといろんな問題が生じます。財布を盗まれた時の手続きの煩雑さやポイントの貯まりにくさもそうですが、もっとも大きいのは散財しやすくなる点です。スーパーなどが発行するクレジットカードを何枚も持ち歩き、お店ごとに使い分けている人、いますよね? なぜそんな面倒なことをするかというと、ポイントを効率よく貯めたいからです。このような使い方をしていると、私たちの脳は「必要な品物をできるだけ安く買う」という本来の目的を忘れて、「ポイントを効率よく貯める」思考に切り替わります。すると、ポイントを貯めるために買い物をするようになり、「買いすぎる=浪費」が多くなるわけです。
それに「ポイント2倍」というとすごくお得に感じますが、実はそれほどではありません。カードのポイント還元率(利用した金額からいくらの金券がもらえるかを表したもの)はそれほど高くないからです。
クレジットカードのポイント還元率は1%が標準です。高くても2%未満、低いものの中には0.5%以下のカードもあります。
ポイント還元率1%のカードが2倍になったとしても、1000円買って10円のポイントが20円になるだけ。0.5%還元のカードであれば、5円→10円です。その程度のメリットであるならば、買い物の誘惑を排除するのが家計にやさしい選択といえるでしょう。
お財布の中には日常的によく利用するお店のカードか、ポイント還元率の高いカードを1枚入れておけば十分。特に誘惑に弱いタイプの人であれば、買い物をするぞと決めたときだけ財布にカードを入れるようにしましょう。
【法則2】公共料金などはカードで払う
いつもニコニコ現金払いでも無理なくポイントを貯める方法があります。日常生活をする上で必ず払わなければいけない費用をクレジットカード払いにするのです。
電気、ガス、新聞、電話(固定・携帯)、インターネットプロバイダー利用料、NHK受信料、ケーブルテレビ受信料、国民年金保険料は大半がカード払いできます。生命保険やがん保険、医療保険、自動車保険の保険料もカード払い可が増えています。居住地によっては水道料金や国民健康保険、固定資産税や軽自動車税などの公金も支払えるところもあります。一度手続きをしてしまえば、後は自動的に引き落としてくれ、ポイントも勝手に貯まっていきます。
このような使い方をする場合は、ポイント還元率の高いカード1枚に集約するのがベストです。似た言葉に「ポイント付与率」がありますが、ここを見てはいけません。
ポイント付与率は利用金額に対してどれだけのポイントが得られるかを表したものです。たとえば100円で1ポイントもらえるカードの付与率は1%です。しかし、1000円の商品券に交換する際に必要なポイントが、1000ポイントなのか500ポイントなのかによって、オトク度は違います。1000ポイントの場合は、利用金額10万円に対して1000円の商品券が戻ることになり、ポイント還元率は1%になります。一方、500ポイントなら利用金額5万円で1000円戻ることになり、還元率は2%です。付与率だけでは有利、不利を判断できないので、見る必要はありません。
【法則3】リボ払いは使わない
リボ払いは使った金額にかかわらず、あらかじめ決めておいた金額を支払う返済方式です。使った金額が高ければ返済期間が長く、少なければ短くなるというしくみです。月々の返済額が一定なため、当初は余裕をもって暮らすことができます。しかし、利息(リボルビング手数料)が実質年率15%と高く、かつ、使った金額と返済額とのギャップによりお金を使った感覚が麻痺してしまい、返済能力以上に買い物をしてしまう人も少なくありません。返済額によっては、何年も払っているのに、元金はまったく減っていなかったというということも珍しくないのです。
なので、リボ払いは絶対に使わないこと! 「年会費無料でポイント還元率が高くなる」というセールストークでリボ払い専用カードを勧められても、ほいほいと契約してはいけません。カードの支払いは1回または2回払いを心がけてください。
執筆者プロフィール : 柳澤 美由紀(やなぎさわ みゆき)
財布にやさしく、家計に役立つ知恵を発信するファイナンシャル・プランナー(CFP(R)/1級ファイナンシャル・プランニング技能士/株式会社家計アイデア工房 代表取締役)。毎日感謝をモットーに、お客様のわくわく生活を全力でサポートしている。得意技は社会資源と各種シミュレーションを駆使したアドバイス。著書には『人生の引継ぎを考える方にアドバイスしたい70のこと(きんざい)』、『書き込み式 老後のお金の『どうしよう?』が解決できる本(講談社)』などがある。
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