誰もが「争いは嫌だ」と口を揃えて言います。ええ、その通りです。平和が一番です。人が戦ったり、激しく争う姿はとても怖いです。見ていて気持ちの良い物ではありません。でも、年末は紅白歌合戦や格闘技イベントなど、戦いをテーマにした番組が多かったですし、映画界でも、『AVP2』が公開されたばかり……。どういうわけか、こういった戦いや争いは、見ている分にはとても楽しいのです。少しだけ残念な気もしますが、僕も含めてみんな本当は争い事が大好きなのかもしれません。そんな事を考えながら、少しステレオの音量を上げてみました。すると、隣の部屋の人が、激しく壁を叩きます。怖いです。というわけで今回は、争い事や戦いをテーマにしたドラマDVDを集めてみました。なぜか女性が戦う作品が多いです。壁の音を忘れてドラマDVDに集中します。

壮絶な女のイジメバトル

イジメに立ち向かう女子高生の姿を描いた『ライフ ~壮絶なイジメと闘う少女の物語~』を観ました。原作マンガも壮絶ですが、ドラマ版も看板に偽りなしのハードさです。ひたすら壮絶なイジメとそれに立ち向かう少女の姿が描かれます。北乃きい演じる椎葉歩が、あり得ないほど陰湿なイジメにさらされます。

かつて、激しいイジメが描かれる作品と言えば、野島伸司脚本のドラマが定番でしたが、このドラマで描かれるイジメは野島作品のそれをはるかに越えています。箸で刺す。恥ずかしい緊縛写真をデジカメで撮り脅す。先生を味方につけさらに追い込む。もう書くだけでも半端なく嫌なイジメの連続です。イジメの被害者が屋上から飛び降り自殺を試みても、イジメはエンドレスです。物語の舞台が、偏差値高めの進学校という事もあり、悪知恵を駆使した精神的イジメ中心かと思いきや、トイレの個室に監禁するといったトラディショナルなイジメも健在です。おまけに、先生間にもイジメがあり、救いがありません。

歩はどんなイジメにも負けません
(C)2007フジテレビ

この絶望的な状況に、歩と一部の生徒&先生が戦いを挑んでいくのですが、一切卑怯な手を使わず正攻法で立ち向かうので、見ていて清々しいです。途中で、「学校の中のイジメなど小さな事で、一歩外に出ると世界はこんなにも広い」と歩たちが感じる場面があり、「このまま愚かなイジメなど気にせず学校を去るのか?」と思いましたが、最後まで戦い抜いてくれました。『金八』では魅力的な生徒を演じていた福田沙紀が、歩たちの戦うイジメグループの中心的存在の安西愛海を凄い茶髪で演じています。外見・言動とも、エリカ様以上に諸悪の根源という感じでした。

ライフ DVD-BOX
発売フジテレビ映像企画部・販売ポニーキャニオン
発売中 23,940円

胸にこだわり過ぎな気もします

貧乳の伊東美咲演じる"壁おんな"青柳恵美と、巨乳の深田恭子演じる"山おんな"毬谷まりえが、デパートのバッグ売り場でライバルとして火花を散らす『山おんな壁おんな』を観ました。ちなみに、ブレイク前の写真集で確認したのですが、伊東美咲は別に貧乳ではありませんでした。深田恭子も特殊メイクで胸をさらに大きくして熱演してます。

ライバルですが、仲良しのふたり
(C)2007フジテレビ

このドラマでは、バッグの販売成績をふたりが激しく競うわけですが、壁おんなこと青柳主任の販売テクが凄いです。半径5メートル以内の客には、必ずバックを買わせてしまいます。「その商品、私も買ったんですよ」が殺し文句です。みんなこの言葉にやられて、財布の紐が緩みます。僕も何度かこの言葉に騙された事を思い出しました。これから、買い物の時は要注意です。仕事能力の対決よりも、顔や胸といった容姿で女性が相手を意識して戦っているような気がしました。どうせなら胸や顔だけでなく、美脚やお尻にもこだわって欲しかったです。

山おんな壁おんな DVD-BOX
発売フジテレビ映像企画部・販売ポニーキャニオン
発売中 23,940円

こんな合宿所なら住民票を移したい

『女子アナ一直線!』を観ました。タイトル通りに黒帯で柔道有段者のヒロイン美希(佐藤千亜妃)が、なぜか女子アナを目指します。卒業すると女子アナへの道が約束されているという伝説の全寮制アナウンサー養成所「ジャパンアナウンスアカデミー」で、女子アナを目指す計10人の美女が合宿生活を送ります。

柔道有段者のヒロインのほかに、セレブお嬢様、ロリータ、オタク、ミスコン荒らし、巨乳、優等生など、様々な女性が共同生活しつつ女子アナを目指すのですが、みな個性的なので、当然、醜い争いが起きてしまいます。「みんな仲良くして!」と叫びたくなりましたが、1話目から仲良くまとまり始めて夢に向かい始めたので、少し安心しました。余談ですが、この寮の賄担当はなぜか若い男性です。10人分の料理を作るのは大変そうですが、こんな美女に囲まれる仕事はめったにないので、ちょっと羨ましかったです。

「権力を手に入れちゃる!」と加藤ローサが叫びます

全24巻にも及ぶ大河ホステス立身出世コミック『女帝』のドラマ版です。加藤ローサ演じる立花彩香が、女の武器をフル活用して銀座の女帝を目指します。貧困と母親の死により、東大にも合格可能な学力を持ちながら高校を退学したヒロイン彩香が、とにかく強大な権力を手にするために無茶しまくります。自分の処女までも、夜の世界で成り上がる武器にする彩香には、誰もかないません。援助で小銭を稼ぐ女子高生とは、覚悟もレベルも違いすぎます。勿論、ホステス同士の激しいバトルもたっぷり堪能できます。

権力を手に入れるために、こんなおっさんに処女を捧げます
(C)2007 倉科遼・和気一作/日本文芸社・朝日放送・テレビ朝日・MMJ

2000年の映画版『女帝』ではヒロインの彩香を演じていた小沢真珠が、彩香の大阪時代のライバルホステスの麗子役で出演しているという事実が、少しだけ寂しかったです。時の流れを感じます。小沢以外にも、『夜王』や『黒い太陽』と言った夜の世界を舞台にした他のテレビドラマにも出ていた俳優や女優が、『女帝』にも多数出演しています。「Vシネ俳優」という言葉がありますが、「夜ドラ俳優」、「お水女優」という言葉がいずれ定着するかもしれません。

女帝 DVD-BOX
発売テレビ朝日販売ポニーキャニオン 発売中 19,950円

ナイロン100℃と毛皮族の2大女優が共演

深夜テレビのCFの合間に、何の告知もなくゲリラ的に放送されていた、わずか1分半のドラマ。それが『ドリアンガールズ』です。主演は知る人ぞ知る舞台女優、町田マリーと、松永玲子。このドラマ、放送時間帯も未定で番組表にも載らないため、全てのエピソードを観ていた人はほとんどいないのではないかと思われます。ショーパブのダンサーであるマリーと、無職のレイコの、ゆるい会話や諍いが、毎回1分半の枠内で、ダラダラと描かれます。ちなみに、タイトルの『ドリアンガールズ』とは、ふたりが結成するダンスユニットの事です。

1分半劇場「ドリアンガールズ」 Vol.2 発売TBS・販売TCエンタテインメント 発売中 2,625円

若者の悩みは尽きません

激しい女の対決モノが続いたので、少しだけ気分を変えてみたくて海外青春ドラマを観ました。『THE OC セカンド・シーズン』です。タイトルの『OC』とは、ドラマの舞台であるOrange County(カリフォルニア州オレンジ郡)の略だそうです。凄くさわやかな地名です。でも、カリフォルニアの振り注ぐ太陽の下で展開されるドラマは、あの『ビバリーヒルズ青春白書』並にドロドロしていました。ファースト・シーズンで女の子を妊娠させるなど、無茶ばかりしてたセスとライアンが改心。「再起を目指せ!」とOCを去ります。残されてしまったマリッサとサマーは、寂しさからアルコールに溺れ、行きずりの恋に走ります。ここに新キャラクターが4人加わり、セスとライアンまで帰ってきてしまい、無軌道な恋の物語を盛り上げます。

第1シーズン以上に、女性陣が危うい感じなので、今後の展開が楽しみです。「彼氏・彼女がいない」、「失業した」という事柄が、人生最大の危機のごとく描かれていて、いい大人としてはあきれるはずなのに、なぜか夢中で観てしまいます。あのジョージ・ルーカス監督などもゲスト出演していますが、どんな心境なんでしょうか?

The OC セカンド・シーズン コレクターズ・ボックス(1、2)
ワーナー・ホーム・ビデオ
発売中 各9,800円

今回は色々な対決モノを堪能しました。観る分には好きなのですが、やはり自分が誰かと争うのは嫌です。2008年は誰とも争うことなく、過ごしたいです。でも、隣の部屋の人が壁を叩く音が鳴り止みません。仕方ないので、気にせずドラマDVDを観続けます。