暑いし梅雨も終わりません。元気に外出とかしないで、部屋で汗まみれでまどろんでます。とりあえず、7月から各局でスタートしている新ドラマをチェックしました。面白そうです。でも、とりあえず忙しいしので、いつかDVDでまとめて観ます。今は手元にあるドラマDVDを観たいんです。こうして思考をただ文章にすると、少しばかり矛盾も感じるのですが、まどろみつつ流されてしまいます。これではまずいと思い、シャキッとさせてくれそうなドラマDVDを中心にセレクトしました。
実話系怪談シリーズの最新作が登場
とりあえずは夏の定番である怪談モノ。やや安易ですが、怖いとシャキッとします。数年前のJホラーブームの時、実話系怪談というカテゴリーが流行しました。その中でも「一番怖い」と言われ続けていたのが現代版百物語と言われる『新耳袋』。実際の怪異体験者に取材を行い、それを書籍化。書き手による一切の解釈を行わないというスタイルが人気を呼びました。この書籍を映像化した『怪談新耳袋』の最新作が登場です。
2003年にスタートして以来、BS-iにて断続的に放送が続いているこのシリーズの1時間スペシャル版『絶叫編 』(全2巻)です。まず、この作品は設定が面白い。両作品で主人公を演じているのがケータイ刑事・銭形雷や、『帰ってきた時効警察』の真加出くんとしても有名な小出早織。両作品の主人公は別人ですが、生き別れの双子という設定。顔は同じで可愛いけど、片方は性格が最悪、もう片方は心優しい地味な女の子といったようににキャラも分かれています。この、双子のキャラの違いも、2作品を見比べると、かなり楽しめます。
まず性格の悪い娘の方が出会う怪異を描いたのが『牛おんな』。スプラッタホラーの定番法則に従い、夏にバカ騒ぎするアホな学生たちが、次々と殺人鬼に残忍な方法で殺害されていくというもの。これだけではただのホラーですが、この殺人鬼の設定が実話怪談風です。知る人ぞ知る「くだん」が犯人なのです。『新耳袋』の中でも何度か登場するくだん。これは不吉な事や悲惨な事の前兆といわれる伝説的な存在なのですが、このお話ではくだんが前兆どころか、悲惨な存在そのまんま状態で、エグい殺人を起こしまくります。
もう1本の『黒い男たち』は本当に怖いです。UFO目撃事件や、その後消えてしまった関係者の陰に必ず登場する「黒い男たち」が、主人公を追い詰めます。暗い場所で「何か」が出てくると怖いのは当たり前なのですが、この作品の「黒い男たち」は昼間にガンガン遠慮なく登場して人間を追い詰めます。それが逆に怖いです。
どちらの作品も本来の『新耳袋』からはかなり乖離して、都市伝説のレベルまで行ってしまってます。実話怪談色が薄れたのはちょっとだけ残念です。また、これまでに放送された5シーズン全99話の怪談をすべて収録したBOXセットも同時発売されています。「なんで百物語なのに99話収録なの?」と疑問に感じる人もいるでしょうが、こういった百物語モノは、本当に100話入れると、怪異が起こるといわれているのです。清水崇や鶴田法男といった日本ホラー界を代表する監督たちの演出が堪能できます。すべて短編作品ですが、キャストも豪華です。
怪談新耳袋 絶叫編「右 牛おんな」 |
怪談新耳袋 絶叫編「左 黒い男たち」 |
怪談新耳袋 百物語DVD BOX(DVD6枚組)<初回限定生産> |
巨匠たちが集結しとんでもない事を
最新のホラードラマに続いては、懐かしいホラー作品を紹介。カルト的ホラー作品として名高い『恐怖劇場アンバランス』が、4巻同時にリリースされます。『ウルトラマン』などで有名な円谷英二の監修ですが、この作品に子供向けのソフトさはまったくなし! 完全大人向けのホラー&サスペンスの世界が展開されます。えげつない殺人や極悪人、サイコパスなキャラ、そして怪奇現象満載の人間ドラマです。円谷プロの売りである「特撮」も、必要な部分でのみ効果的に使われています。怪異の理由を説明せずに、謎は謎として残す話が多く、この不条理さが逆に怖いです。
スタッフやキャストも今では考えられないくらい豪華なので、日本映画界・演劇界・テレビ界など各界大御所の昔の仕事を見る、という視点でも楽しめます。若き日の蜷川幸雄や唐十郎が、初々しくも、ギリギリのサイコ演技を披露。監督には鈴木清順や藤田敏八の名も。『3年B組金八先生』の脚本で有名な小山内美江子が脚本で参加してると思えば、音楽は冨田勲。そして原作に至っては松本清張や西村京太郎など超大御所が手がけているのです。こんなに豪華過ぎるメンバーが集結して、ひたすら怖くてハイテンションなドラマを作っていたという事実が凄いです。
DVD 恐怖劇場アンバランス(VOL.1~VOL.4) |
最高の40周年作品ですね
昔の作品を観た後は、最新の円谷プロの作品です。ウルトラマン生誕40周年記念作品と聞くと、自然と背筋が伸びます。『ウルトラマンメビウス』の最終回を含む3話が収録されたDVDを観ました。『メビウス』では、とにかく多数のゲストキャラが登場して、子供たちだけでなく、往年のファンをも楽しませてくれました。最終回では、とにかく強いエンペラー星人が、地球を危機に陥れます。ウルトラ兄弟はもちろんの事、メビウスのライバルや仲間たちも登場した総力戦のスケールは、以前公開された映画版以上。本当にまったく出し惜しみしてません。でも、ここまでやってしまうと、次作以降のテレビシリーズはどうなってしまうんだろうかと、余計な心配をしてしまいます。なんか、過去のウルトラマンという貯金を、今回で全て使ってしまったみたいな……。でも、ゾフィーが最前線で活躍する姿や、ウルトラの父がバリバリの現役で戦ってる映像を、今の時代に見れるってのは、やっぱりなんか得した気分になれますね。
ウルトラマンメビウス Volume 13(完) |
油断してると骨までしゃぶられます
得した気分は大事だけど、それを「奪う」事で満たそうとする人も多い現代日本。そうです最近話題のハゲタカファンドなどと呼ばれる外資系ファンドによる日本企業買収を描いた『ハゲタカ』です。演技派俳優、大森南朋があり得ないほど冷酷な外資系ファンドマネージャーを演じます。ハゲタカを阻止しようと、彼のかつての上司の銀行マンも立ち上がります。最近の日本経済の動向を題材にしてはいますが、ノリは完全にふたりの主役の対決ものです。ボックスセットですが、全6話なので、意外とサクッと観ることができました。
まどろみ流されてボーっとしていたら、大変な事になる。観終わった後、なぜかそんな気分になり、こんな自分をちゃんと変えなければと思いました。誰かに買われるような心配はないのですが、その点はあまり深く考えない方向で!
ハゲタカ DVD-BOX |
国領雄二郎(コミュニティ・アド)
文筆業・編集者。雑誌、単行本、小説、絵本原作、広告コピーなど、様々な媒体でお仕事しています。田舎でのんびり暮らしたいです。