人生3台目のS124となるメルセデス・ベンツ「E320 ステーションワゴン」と暮らし始めて約半年。初めての冬を迎えるにあたり、スタッドレスタイヤをオークションサイトで調達してみることにした。ロングドライブでは燃費について嬉しい発見もあった。

  • メルセデス・ベンツ「S124」

    新しいスタッドレスタイヤを装着してオフロードを疾走する「S124」(本稿の写真は撮影:原アキラ)

タイヤを「ヤフオク!」で購入してみた

2020年8月から稼働を始めたS124の3号機「E320 ステーションワゴン」。サマータイヤとして装着していたのは、ミシュランの最新低燃費タイヤである「エナジーセイバー4」(2020年1月発売)だった。124の1号機(E220 ステーションワゴン)では、年間を通してオールシーズンタイヤをつけっぱなしにしていたのだが、やはり、E320はオンロードで最高性能を発揮できるモデルということで、今回はミシュランを選択したのだった。

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    これまで使用していたサマータイヤのミシュラン「エナジーセイバー4」

そして12月。筆者は都内在住なので、冬が来てもオールシーズンを履いていれば(トランクにはチェーンを常備)なんとかなるであろう、という環境にあるわけで、その季節になれば、既存のタイヤに交換しようと考えていた。しかしその矢先、関越道に降ったドカ雪により、1,000台以上のクルマが2日間にわたって立ち往生というニュースを見てしまったのだ。12月22日には河口湖まで所用で行くことになっていたし、年明けの2月には苗場まで行く用事もある。さすがにこのままではイカンと、あわててスタッドレスタイヤを探すこととなった。

自宅のある国立市の「タイヤ館」に行って相応のものをお願いすれば、国内では抜群の装着率と性能を誇るブリヂストンの最新スタッドレス「VRX2」を取り付けてもらえて、安心・安全な冬のドライブが楽しめるのは間違いないのだが、チョット待った。「ヤフオク!」で検索してみると、他銘柄の新品も結構、出品されているではないか。3号機の195/65R15というタイヤサイズは、「プリウス」などの国産HVにも数多く採用されているのと同じなので、選択肢が豊富にあるとともに、販売もいろんな形で行われているというわけだ。

結局、筆者が選んだのはグッドイヤーの最新モデル(2017年発表)「アイスナビ7」というタイヤだった。新品ながら、4本まとめて2万6,800円とかなり格安プライスのものを発見したのだ。商品説明覧に、製造からすでに2年が経過している「2018年製」と明記されていたのが少しだけ気になったけれども、「ポチリ」と即決。出品者は業者さんだったようで、素早い発送のおかげで3日後には商品が到着した。

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    「S124」の3号機に装着したグッドイヤー製スタッドレスタイヤ「アイスナビ7」

持ち込みタイヤを付け替えてくれる日野市内の業者をネットで予約し、124のラゲッジにタイヤ4本を載せて出発。作業は40分ほどで終了だ。3号機の冬対策はスムーズに実現できてしまった。

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    ヤフオク!でゲットしたスタッドレスタイヤ4本をラゲッジに積む「S124」。スペースにはまだ余裕がある

「アイスナビ7」の性能は

こうして3号機の冬のアシとなったアイスナビ7。タイヤサイドには「3118」と「MADE IN JAPAN」の刻印が入っている。つまり、2018年の31週目(7月末から8月初旬)に製造された国産品だ。当然だが、「スノーフレークマーク」(とんがった山の中に雪の結晶が描かれている、欧州でのスノータイヤの証)や「SNOW」(日本での冬用タイヤの印)、「M+S」(マッドアンドスノー)の文字も刻まれている。

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    タイヤサイドには製造年月日を示す「3118」、「MADE IN JAPAN」、「スノーフレークマーク」、「M+S」など、多くの情報が刻まれている

トレッド面には、「セブンエフェクティブデザイン」と呼ばれる「7」をイメージしたパターンデザインを採用。各ブロックにはギザギザの細かい横方向のサイプが6本入り、太い横溝と4本の縦溝で各ブロックを仕切るという構造だ。グッドイヤーの商品説明を見ると、従来品(アイスナビ6)より柔軟性が高い極小シリカのゴムを採用したことにより、氷上の細かい凹凸にも密着するアイスナビ7は、アイスバーンでのブレーキ性能が7%アップしているとともに、ドライ路面での操縦安定性も向上しているという。

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    しっかりとした形状のトレッド面を見せる「アイスナビ7」

慣らし運転を兼ねて一般道を50キロほど走ってみると、まず、状態のいい路面ではロードノイズがとても低く、乗り心地がいいタイヤであることに気が付く。一方、段差を通過した際には少し大きめの音とショックが伝わってきて、トレッド面のゴムに厚みがあることを教えてくれる。ということは、まさにスタッドレスらしい感覚を伝えてきているということだ。

年末の富士五湖方面への所用では、国立IC~中央道~富士五湖道路で山中湖ICへ向かった。そこから一般道で河口湖を訪れてその日は1泊。翌日は河口湖~西湖~精進湖~本栖湖を経てR139で富士宮へ向かい、新富士ICから新東名に乗って、御殿場JCTから東名で海老名JCT、圏央道を経て八王子JCTから中央道に入り、八王子ICで高速を降りるというルートをとった。走行距離は合計404キロだ。

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    山中湖畔で一休みする「S124」

中央道での高速の印象はとてもよかった。ちょっと古いスタッドレスをはいて80~100km/hで高速を走ると、「シャーッ」とか「ウォーン」とかいうパターンノイズが聞こえるのが当たり前だったのだが、最新のスタッドレスにはそれがなく、サマータイヤ並みの静かさがキープされているのがうれしい。「ナカミチ」から流れる音楽が、ボリュームをそれほど上げなくても聞こえてくるのがその証拠だ。直進性も全く問題ない。

富士五湖周辺には全く雪がなかったので、スノータイヤらしいインプレッションがお届けできないのは残念なところ。快晴の下、大きく見える富士山は夏山のような赤黒い肌を見せる岩山のままだ。その代わり(?)に、西湖や精進湖の湖畔に降りてオフロード走行をやってみたりした。

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    西湖では水面近くまで車で降りられる。「S124」のリアドアは、上げるとちょうどいいベンチになる

帰りの新富士ICからは、新東名の120km/h区間を御殿場JCTまで走ったのだが、ここでひとつ残念なことが。タイヤのバランスが取れていないようで、制限速度が100km/hの中央道では平穏だった3号機なのだが、110km/hあたりまでスピードを上げるとプルプルという細かい振動がステアリングや車体に出始め、120km/hまでいくと、そのせいで接地感までが希薄になってきたのだ。これは気持ちが悪いし、何より怖い。すぐにタイヤバランスの再調整をやってもらうことにした。

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    千円札の絵柄でお馴染みの本栖湖の展望台にて

逆に良かったのは燃費だ。2日間でトータル404キロを走ったうち、高速道路は国立IC~山中湖IC間の87.4キロと、新富士IC~八王子IC間の130キロを合わせた217.4km。残り186.6キロは富士五湖周辺のアップダウンが多い一般道がメインで、八王子ICを降りですぐのガススタンドで給油したハイオクは40.35Lだった。つまり、満タン法での燃費は10.01km/Lとなり、3号機としては2番目の好燃費を記録してくれたのだ。

冬場のほうが燃費が良くなるのは常として、今回は気温が低かったのでエアコンは常にONだったにもかかわらず、この数字は立派だと思う。アイスナビ7は燃費面でもかなり優れたタイヤなのかもしれない。