みなさんお元気ですか? なでしこりかです! 最近一段と寒くなってまいりましたね。

寒い冬でも、寒さを吹き飛ばしてしまうくらいの、ラブラブデートに彼女と一緒に行きたい……! そんな貴方のために、今回も素敵な和のデートコースを、現役女子大生のなでしこりかがご紹介させていただきます。今回おすすめする和デートコースは、気軽に楽しむアンティーク着物と、新創オープンしたばかりの根津美術館で「茶の湯」の世界を堪能します。それでは早速参りましょう♪

待ち合わせ場所は東京メトロ明治神宮前駅か表参道駅。表参道や裏原宿にはオシャレなカフェがいっぱいあるので、カフェで待ち合わせもいいですね。さて、最初のお目当てのお店、現代KIMONO&アンティーク着物ショップの「Tokyo135°原宿本店」へ。

着物デートはいつもと違った雰囲気が楽しめますよ

Tokyo135°原宿本店は、表参道から路地にはいったいわゆる裏原宿のファッションや雑貨のショップが立ち並ぶ中にあります。「着物のお店? えっ、ちょ、ちょっとまって、何十万、何百万の世界でしょ? いくらクリスマス前だからって、そんなに高いものプレゼントできないよぉ!?」と一瞬ドキッとしたあなた、大丈夫です。ご安心ください!

Tokyo135°は、なんと一着数千円から取り扱っているとってもリーズナブルなお店なのです。どうしてそんなにリーズナブルなのか(嬉しいけど……♪)といいますと、実はこのお店で取り扱っている着物の多くは、リサイクルやアンティーク、つまり古着なのです。

古着には今では欲しくても手に入れにくいデザインの着物がたくさんあって、それらを手頃なお値段で手に入れることができるのです! 着物は直接肌に触れるところはほとんどないのですが、Tokyo135°では、着物・帯はすべて、丸洗いし、抗菌・消臭加工を済ませているので、安心して気持ちよく袖を通せますよ。

色とりどりの素敵な着物を見ていると、やっぱり着物っていいなぁ……としみじみ感じます。普段は洋服の彼女も、着物を着たらいつもと雰囲気が変わるはず。着物でいつもと一味違うデートをしてみるのもおススメです☆

「浴衣なら持ってるけど、着物はやっぱり難しそう………」という着物ビギナーの彼女に、ぜひオススメいただきたいものとして、Tokyo135°オリジナルの「きものデビューセット」があります。着物、帯、襦袢、草履、足袋という内容で18,900円とリーズナブル。男性用の「メンズデビューセット」(39,000円)もありますので、彼女と一緒に初詣で着物デビューというのも素敵ですね♪ 着物をすでに持っている彼女には、遊び心溢れるかわいい帯留やかんざしなどの小物もたくさんありますので、さりげなくプレゼントするのもいいかも。

色とりどりの着物が、所狭しと並ぶ店内。しかもほとんどが一点ものの魅力的な着物ばかりで目移りしちゃいます

女性用のきものデビューセット(右)と男性用のメンズデビューセット(左)。とってもお洒落でモダンな色遣いの着物です♪

とってもかわいい小物を発見!これ実は、帯留なのです。遊び心いっぱいですね♪ (帯留 ¥630~)

これはお花のかんざしです。昆虫が止まっているデザインのものもあってユニーク!(かんざし ¥1,890~)

今回もデートにお付き合いいただいた、iPod情報マガジン " iPod Style! "の戸津弘貴さんにとんびコート(¥39,900)を羽織っていただきました。とっても似合っていますね♪

スカルをあしらった男性向けの根付け(¥1,575)も

クリスマスの雰囲気いっぱいの表参道を抜け、ブランドショップを横目にさらに青山の住宅街に入って行くと、新たに生まれ変わった根津美術館のエントランスが見えてきます。中に一歩足を踏み入れると、伝統と現代が絶妙なバランスで融合し、都会の喧噪を忘れさせてくれる、静寂と和みの空間が広がっていました。

根津美術館は、2006年5月に一旦休館し、3年半をかけて、今年の10月に新たに生まれ変わって開館したばかりです。和の雰囲気いっぱいの心地いい空間に、モダンなテイストを漂わせた同館を設計したのは、いまもっとも注目されている日本人建築家のひとり、隈研吾氏。同館では今回の“新創開館”にあたって、建物を立て替えるだけではなく、次の世代まで素晴らしい美術作品を残せるように、さまざまな展示・保存環境の工夫が行われているそうです。根津美術館が所蔵するコレクションは、茶人であった初代根津嘉一郎氏が蒐集した日本をはじめとした東洋古美術を中心としており、その中には7点の国宝や多数の重要文化財も含まれます。

根津美術館の外観。都会に突如現れた竹林が目印です

同館では開館から約一年にわたって「新創記念特別展」が開催されており、今回はその第2部『根津青山の茶の湯―初代根津嘉一郎の人と茶と道具』(12月23日まで)を鑑賞しました。茶器や茶道具85点が展示されていて、着物デートにぴったりの展覧会ですね。

竹林のアプローチを通ってエントランスへと進みます

吹き抜けのホールではガンダーラや中国の石彫が出迎えてくれます

根津青山(初代根津嘉一郎氏の号)が行った茶会を再現するように、掛物や花器、茶碗などが揃えて展示されていて、たくさんの茶会を一度に楽しんだ気分になれました。重要文化財の「夕陽山水図(せきようさんすいず)」や「鼠志野茶碗(ねずみしのちゃわん)」などの名品も素敵ですが、「一体これはなんなんだろう?」と思ったネズミがかたどられたユニークな作品「鼠短檠(ねずみたんけい)」が気になりました。

また、同時開催で展示されていた国宝「鶉図(うずらず)」は一番の注目作品。掛け軸にむくむくととても可愛らしく描かれた鶉が描かれていて、中央にポツンとひとつ枸杞(くこ)の実が描かれているのがとても印象的でした。大作ではありませんが、素晴らしい存在感ですね。

左端が「鼠短檠」(江戸時代 18世紀)です。照明の役割をするものだと聞いてびっくり!

展示のレイアウトも素敵です。中央の掛物は重要文化財「夕陽山水図」(馬鱗筆 理宗賛 中国・南宋時代 13世紀)です

なでしこ、国宝「鶉図」(伝 李安忠筆 中国・南宋時代 12~13世紀)に見入る、の図です

こちらは特別展とは別の茶道具展示室の企画展示「雪見の茶」です。冬の風物詩、雪景色を楽しむ茶会の取り合わせを展示しています。左端の茶碗は「黒楽茶碗」(銘 雪峰 道入作 江戸時代 17世紀)です

新創記念特別展は第8部まであって2010年9月26日まで続きます。来春には尾形光琳の国宝「燕子花図(かきつばたず)」をはじめとした琳派コレクションの展覧会なども行われますので、彼女と一緒に足を運んで、毎回変わる素晴らしいテーマと作品をぜひ堪能してください♪ それと、その時には、美術館の成り立ちや展覧会のテーマについて、さりげなく話せたらちょっとかっこいいですよね☆

根津美術館の目玉は所蔵コレクションだけではありません。南青山という都会にありながら、本当に都内?と思うほどの静けさの中にある庭園が散策できます。深山幽谷の趣のある庭園には、鬱蒼とした木々の間に、弘仁亭・無事庵、閑中庵・牛部屋、披錦斎・一樹庵、斑鳩庵・清渓亭という4つの茶室やさまざまな石造物が配されています。茶室では時折、茶会が催されます(※)が、外から眺めるだけでも十分楽しめる趣のある茶室ですので、散策をしながら4つの茶室を巡るというのも楽しいと思います。

※一般のお客様は茶室はご利用いただけません。

木や草花が最高の美しさを発揮できるよう、1つひとつの良いところが引き立つように、そっと庭師がお手伝いをしてあげている、そんな印象を受ける素敵なお庭でした。

早く!早く! 迷路のように広がる細道がわくわく感をさらに引き立てます

見てみて!赤く色づいた紅葉がとっても綺麗♪ 都内にはまだ秋がありました(11月19日撮影)

深山幽谷、という言葉がぴったり。ここは港区、それも表参道のすぐ近くですよ!(11月19日撮影)

もうひとつ。ぜひ庭園内に新設されたカフェ「NEZUCAFE」へどうぞ。庭園に向かって大きく開かれガラス越しに豊かな緑が望めます。それはもう緑の中にいるようです。このカフェも隈氏の設計というのも納得です。たくさん歩いて疲れたら、おいしいオリジナルブレンドのコーヒーをいただきながら、楽しくおしゃべり☆ バウムクーヘンやケーキがあるのもうれしいです。ランチも楽しめるという事なので、ランチ目当てで来てもいいかもしれません。ぜひ、和服を着ていつもと少し違う空間で、彼女と新鮮なデートを楽しんできてくださいね♪

「NEZUCAFE」の窓からは素晴らしい庭園が望めます。四季の景色をご馳走に珈琲はいかが?

ミュージアムショップで見つけた陶器のマウスパッド。かわいい柄ですね

[解説]茶人、根津青山

今回の展覧会名にも冠されている「青山(せいざん)」は初代根津嘉一郎氏(1860~1940年)の号です。東武鉄道や南海電気鉄道など多くの鉄道事業に関わり「鉄道王」として知られる実業家・政治家だった嘉一郎氏ですが、青山として茶の湯(茶道)の世界へデビューしたのは、晩年に近くなってからでした。

南青山にある根津邸の庭園の造作が完成したのを機に1913年(大正2年)に「庭園講評会」を催し、庭園を講評してもらいつつ、蒐集品を披露しました。はじめて茶会を催したのは1918年(大正7年)で、邸内にある無事庵と弘仁堂で連日茶会を催した「根津氏初陣茶会」と呼ばれました。以来、1939年(昭和14年)まで数々の茶会を開きましたが、とりわけ歳暮茶会を好んで行った事から、実業家茶人の間では「歳暮茶博士」と称されたそうです。青山が亡くなったのは最後の歳暮茶会の数日後でした。

数々の茶会が行われた中のエピソードとして、熱海で行った茶会では、まずは温泉に浸かってからと、お風呂の用意をする気配りをしたのですが、実際には誰も入らなかったとか。また、初代嘉一郎の茶会では、濃茶のあと、薄茶ではなく番茶に変わっていたり、いつのまにかお酒が出てくる事もあったそうです。根津青山という人物は楽しむ事を忘れなかった粋人だったようです。

(取材・文 : 矢島里佳/企画・構成:チバヒデトシ)