モノと丁寧に付き合い、"ミニマリスト"を目指すパンダ「おはぎ」さんがシンプルな暮らしをコミックとエッセイで紹介します(毎週木曜日更新予定)。

学生時代からの持ち物

みなさんは「一番古い持ち物」を把握していますか? 私は高校入学のときに学校指定で買ってもらった電卓です。あまりまだ物の値段をよく知らない頃ではありましたが、「電卓が8,000円もするんだ!!」というのがものすごく衝撃的だったのと、先生に言われた「一生もの」という言葉が何となく頭に残っていて、引っ越しのたびにずっと持っていたものでもありました。学生時代、勉強は不得意でしたが検定を取ることに関しては頑張っていたので、私の学生時代が詰まっているような感覚がありました。

一生使えるけれど…

3年間使い倒して、その後も12年間、手元に何となくあった電卓ですが、もちろんずっと問題なく動いていました。使い慣れたものなので計算も、とてもしやすいです。ですが家で電卓を使うことはほとんどありません。ちょっとした計算はスマホの機能でしますし、家計簿の管理もスマホのアプリを使っています。

仕事も今は学生時代に学んだものとは全く関係ない分野です。事務員さんだったら電卓はよく使いますが、以前に事務員をしていて自分に向いていなかったので、今度の人生では、よほどのことがない限り選択しなさそうな職業です。電卓は問題なくずっと動いていますが、私の今の生活環境では電卓の必要性はとても薄いです。

本当の一生ものとは

電卓自体は全く必要性を感じない生活を送っていますし、電卓に縁のない仕事をしています。ですが、その電卓を使って学んだことは決して無駄にはなっていません。転職するときは履歴書に書けるものがありますし、仕事場でも経理の方の話してることが何とな~く分かったり、パソコンの入力作業でテンキーをよく使うので、電卓を学んだときと同じ要領でブランドタッチで入力ができます。

こういった生活の中のちょっとしたことにも生きていますが、一番役に立っていることは、この電卓関連で幾つか取得した検定に取り組んだ姿勢と合格した経験です。商業科高校に入学したからには、どうしても簿記だけは取得しておかないと「学生時代、何をしていたの?」と思われてしまうなと考え、検定取得には必死に取り組んでいました。

先生も熱心に教えてくれる学校だったので、受験日の2週間前は特別に課外授業が行われていました。ギリギリまでやっていた模擬試験で1回も合格点が取れなかった1級ですが、試験本番で初めて合格点が取れたことは今でも誇らしい思い出です。検定を通して努力には結果が付いてくること、目標を達成する喜びを教えてもらいました。

手放しても残るもの

先生はこの電卓を「一生もの」と言っていましたが「一生動いてずっと使えるけれど、使う用事のないもの」でしかない電卓は私の生活に今は必要はありませんし、そんなものを一生持っておく魅力も感じません。確かにこの電卓には私の高校時代の思い出が詰まっていますが、それを手放したところで、それまで得た経験や思い出がなくなるわけではありません。

「一生もの」とは、物自体ではなく、物を通して経験したこと、体験した思い出が本当の「一生もの」ではないでしょうか。眺めて思い出に浸るだけのものを今は所有していたくないなと思い、思い切って断捨離をしました。今後どうしても電卓が必要となったら、また買えばいいと思っています。私には新しい電卓も、以前使っていた電卓と同じように使いこなす自信がありますので。


おはぎ
物と丁寧につきあい、ミニマリストを目指すアラサーのパンダ。
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