近年注目が高まる「ダイバーシティ&インクルージョン」。この言葉を耳にする機会は増えてきているが、実際にどのような意味で、企業では取り組みがされているのだろうか。

本稿では、ファッション通販サイト「ZOZOTOWN」の運営などを行うZOZOでダイバーシティ推進の担当を務めている林田常平さんに、「ダイバーシティ&インクルージョン」について伺っていく。

夏本番の今日このごろ、みなさんご機嫌いかがでしょうか?

私はといいますと、日々暑さ回避のためエアコンを使い続けたい欲と昨今の電力状況を考慮して節電をしなくてはいけないなという気持ちとの葛藤で、せわしなく過ごしております。

改めまして、ZOZOでDe&I推進を担当しております「おつね」です。よろしくお願いいたします。

これまでの連載を読んでくださっている方々はご存知かと思いますが、私の趣味のひとつに「コスメ」があります。夏本番ということで、最近では「崩れにくいコスメ」や「オススメの日焼け止め」などを聞かれることが多いです。そんな中で最近感じているのが、こういった質問を女性だけでなく男性からもいただくことが増えてきているなということです。

ですので、今回はいつも以上にカジュアルなテーマとして、ジェンダーフリー化が進んでいる「コスメ」や「メイク」について取り上げていきたいと思います。

メイク=女性だけの楽しみはもう古い

皆さんはコスメやメイクアップと聞くとどのようなイメージを持ちますか?

これまで「身だしなみ」や「礼儀」などと結び付けられることが多く、そこには枕詞として「女性の」という言葉がセットになることが少なくなかったように思います。しかし、近年では「コスメ・メイク男子」や「ジェンダーレス」という言葉の普及と共にジェンダーフリー化がぐんぐんと推進され、例えばひとつのコスメの広告に男女1名ずつモデルさんが起用されたり、男性向けを謳うコスメが発売されたりと、メイクを楽しむ男性も増えてきています。

そんな中、よく男性から「興味はあるし抵抗はないけど、周りの人にメイクをしている自分がどのようなイメージを持たれるのかが少し不安なんだよね……」という声を聞きます。私個人としては「周りなんか気にせずに、自分がしたいことを楽しめばいいんだよ! メイクすることに性別なんて関係ないし、そもそも古代や中世の時代まで遡ったら男女共に魔除けや富の象徴などの意味合いでメイクをしていたこともあるし、いや、もちろんしないという選択肢もあるんだけども……」とコスメ好きゆえの早口で声をかけたくなりますが、おそらく求めている回答はこういったものではないんだろうな……と推測してきちんとしたエビデンスをお伝えするようにしています(笑)。

2019年に資生堂さんが公開したアンケート結果(※)によると、「仕事相手(上司・後輩・同僚・取引先)の男性がぱっと見てメイクをしていると気づく行為をしている場合、どういう印象を持ちますか?」という問いに対して、「好印象」と答えた男性は66.2%、女性は60.4%という結果がでています。

この数値だけみると「あれ、意外と低いな……」と思う方もいらっしゃると思いますが、ご安心ください。残りの回答に関しても「なんとも思わない」という回答が男性16.9%、女性28.4%となり、抵抗を感じない人から好印象な人の総数が男女ともに8割以上という計算となります。

(※出典:「男性のスキンケアと肌や眉を整える等の行為に関する意識調査」資生堂 20~50代の男性439人が対象)

  • 私のコスメコレクション。恐ろしいことに、こちらはほんの一部です、、、!

買い方も自分らしく、多様化する購入体験

また、よくいただく相談として、「どこでコスメを買えばいいのかわからない」というものがあります。

この質問は男性からされることが多いですが、女性からも「おつねは普段どこで化粧品を買っているの?」という形でよりフランクに聞いていただけることも多いです。この質問に関しては、その人ごとに心地よい購入体験ができる場所が異なってくるんじゃないかなと思っています。

私自身お化粧初心者だったころは、まずYouTubeでメイク動画を見てひたすらドラッグストアやバラエティショップなどで同じもの、もしくは似たものを買い漁って自宅で練習をしていました。これらのショップは、接客を受けることなく他の商品を買うついでに購入することができます。また価格帯も比較的お財布に優しいものも多いため、多少失敗しても良いや! と豪快な心持ちで購入できるところが嬉しいポイントです。ひとつ難しい点があるとすれば、テスターなどの充実度がお店によって異なることと、色味などは確認できても、あくまでテスターですので、フルメイクで仕上がった状態が確認できないというポイントがあります。

次に候補として考えられるのがデパートや百貨店、商業施設などのコスメカウンターで美容部員さんに相談しながら購入するという方法です。

こちらは、上記と比較したときにお化粧のプロフェッショナルにアドバイスしていただけるところがメリットだと思います。そのアイテムがどういった用途で使われているものなのか、どういった順番で使うとより効果的なのかなど、自分よりも詳しいプロの方に相談しながらより自分に合うモノを探すことができるのはすごく心強いと思います。ただ上記と比較すると価格帯が高くなりやすい点と、あまり普段利用しない人からするとそもそもの入店のハードルが高いケースがあるかもしれません。

最後に、最近よりいっそう浸透してきている「ネットショップで購入する」という方法があります。

オンラインでの購入は、在庫さえあれば、自分が欲しいと思っているアイテムと全く同じものが手に入りますし、隙間時間を使いながら、いつでもどこでも、ひとりでじっくり見たり考えたりしながら買いたいいう方にとっても便利な方法だと思います。上記2つの方法と比較すると、使い方などについての直接のレクチャーがない点と手元に届くまで実物を試すことができない点が懸念ポイントかなと思います。

オンラインでも賢くコスメを楽しむ方法

私自身は、コスメをリアルのお店で買うことも大好きです。3つ理由があり、ひとつ目はシンプルにすぐに商品が欲しいから、ふたつ目は接客をしていただくことが好きだから、3つ目はリアルでないと色味等が分かりにくく、新しい商品を試しにくいからです。ただ近年、個人的に3つ目の懸念はかなり弱まってきていて、ネットショップの使用頻度が増加してきています。

使用頻度増の理由となる、懸念を払拭する代表的な例として、弊社が提供している「ZOZOGLASS」という無料の計測ツールがあります。ZOZOGLASSをかけた状態でガイドの通りに顔を動かすとスマホで自分の肌の色を計測でき、ファンデーションやコンシーラーなどの「色選び」に関する不安や悩みを解消するサービスです。しかも、「イエベ」「ブルべ」などのパーソナルカラーも診断可能なのです。

  • ZOZOが提供しているフェイスカラー計測ツール「ZOZOGLASS」

また、今年の春から「ARメイク」のサービスもスタートしました。さまざまな企業のサービスでARメイク導入が進んでいるためご存知の方も多いかもしれませんが、こちらはスマホのカメラを使った簡単な操作で、自分の顔にリップやアイシャドウを使ったバーチャルメイクをすることができるサービスです。直接肌に試すわけではない分、メイクを落として塗りなおしてという工程が省略されるので、リアル店舗よりも気軽にたくさんの色味を試せるのが楽しく、一人のユーザーとしてヘビロテしています。

  • スマホで簡単にバーチャルメイクが試せる「ARメイク」

自分らしい選択で自分の機嫌をとる

前述したように、「コスメ」や「メイク」を取り巻く世間の評価や印象、また購入体験までもが日々アップデートされています。

私はメイクをするもしないも自由であるべきだと考えています。自己表現として、なりたい自分に近づくための手段としてメイクをする方もいれば、しないことが自分らしさであるという選択肢もあるべきだと思っています。(実際に私の母は、使うのは日焼け止めとリップクリームだけというスタイルを確立しています(笑))。

メイクをする・しないに関わらず、周りの目を気にしすぎていないかということや、自分の中の常識で相手を見てしまっていないか、一度考えてみてはいかがでしょうか。分かりやすい例として、「メイクをしない女性はズボラである」や「男性でがっつりメイクをするのは女々しい」などの心無い言葉がなくなる世界になってほしいと思っています。

私にとってコスメやメイクは「自分の機嫌をとる」ために必要不可欠なもの。この記事が、周りのことが気になってなかなかチャレンジできない……という方も含めて、自分らしく楽しんでいただくきっかけになればうれしいです。

それではまた次回、最終回でお会いしましょう!