近年注目が高まる「ダイバーシティ&インクルージョン」。この言葉を耳にする機会は増えてきているが、実際にどのような意味で、企業では取り組みがされているのだろうか。
本稿では、ファッション通販サイト「ZOZOTOWN」の運営などを行うZOZOでダイバーシティ推進の担当を務めている林田常平氏に、「ダイバーシティ&インクルージョン」について伺っていく。
ごきげんよう! ZOZOのおつねです。
みなさんは「ダイバーシティ&インクルージョン(D&I)」という言葉を聞いたことがありますか? 近年、世界的に注目度が高まっていることから、普段の生活の中でも見聞きする機会が増えている言葉だと思います。今、この記事を読んでくださっている方々のなかにも、一度はこの言葉を見た・聞いたことがある、もしくは興味があってここにたどり着いたという方も多いんじゃないかなって思っています。
この連載では、そんなホットワードになっている「ダイバーシティ&インクルージョン」を大きなテーマに、みなさんにとってこの言葉が親しみのあるものになるようユーモアを織り交ぜながら発信していければと思いますので、ぜひお付き合いくださいませ。
申し遅れましたが、私はZOZOTOWNやWEARを運営する株式会社ZOZOで働いている林田常平(はやしだつねひら)と申します。下の名前が武士のように渋いので、少し柔らかい印象になるよう願いを込めて、社内では「おつね」と名乗っています。
現在はダイバーシティ推進の担当として、社内の規約や福利厚生・制度を検討したり、ダイバーシティ&インクルージョンを啓発するために社内研修やイベントを実施したり……と業務内容は多岐に渡りますが、一貫して、すべての社員が「楽しく働く」ことのできる職場環境の整備を主なミッションとして日々奮闘しております。
なぜ私が、こんなにもダイバーシティ&インクルージョンの推進に力を入れているのかというと、ぶっちゃけてしまいますともちろん仕事だから! という面もありますが、それ以上に私自身がセクシャルマイノリティの当事者であることが大きく関係しています。
大学生時代から自身のジェンダーをおおっぴらにしていた私の元には、私とおなじようなセクシャルマイノリティの方々はもちろんのこと、身近にセクシャルマイノリティの方がいらっしゃる方や、障がいをお持ちの方、そういったマイノリティというジャンルには属していないけどなんだか生きにくさを感じている方など、幅広い方々が相談や悩み事を打ち明けに来てくれていました。
そうした経験のなかで、「みんな色々な悩みを抱えているのだな」と当たり前のことに気づかされると同時に、社会人として働いている方々からのご相談が多かったことから「どのような属性の人であっても、フラットで、楽しく働ける環境」を実現することの難しさを学生ながらに痛感しました。それが実現できる会社作りのお手伝いをしたいという思いから、「世界中をカッコよく、世界中に笑顔を。」を企業理念に掲げるZOZOに入社し、現在に至ります。
ダイバーシティ&インクルージョンってなんなの?
このままだと自分語りで1本書き終わってしまうので、自己紹介はほどほどに本題に入ります。そもそも、この連載で大きなテーマに掲げる「ダイバーシティ&インクルージョン」という言葉の意味を皆さんは知っていますか?
ひとつひとつの言葉の意味を説明すると、前者の「ダイバーシティ(Diversity)」は「多様性(直訳)」を意味しており、会社や学校などの組織において「様々なバックグラウンドを持っている人々が同じ組織に存在している状態」を指しています。
また、後者の「インクルージョン(Inclusion)」は、「包括・包含(直訳)」を意味しており、同じく会社や学校などの組織において「様々なバックグラウンドを持った人々がお互いを認め合い、受け入れていく状態」を指しています。
「上のような説明は聞いたことがあるけれど、いまいちピンとこない……」という方に向けてもう少し嚙み砕いて説明しましょう。年齢や肌の色、人種、出身地、障がいの有無、性別、どんな考え方をするか……などなど、その様々な属性な人々が同じ会社や学校などに「いる状態」が「ダイバーシティ」で、その様々な属性の人々が「お互いを理解して、受け入れている状態」が「インクルージョン」です。
この別々の言葉がひとつになって「組織において様々な人が存在していることを理解・受容し、その多様性や違いによって視野が広がること、新しいアイデアが生まれることを強みとして活かしていこう!」という意味を持つ言葉に昇華されたものが「ダイバーシティ&インクルージョン」として使われています。
この連載では次回以降も引き続き「ダイバーシティ&インクルージョン」を主軸に、様々なテーマや事例の紹介をしていければと考えています。もしかすると、この記事を読んでくださっているみなさんのなかには「なんだか難しくて理解ができなさそう……」「私には関係のないことだから……」と、知ること自体をネガティブに捉える方もいるかもしれません。「よく聞く言葉だし学んでみようかな」という感覚でも構わないので、日々の通勤通学やお茶の時間のおともに、気軽な気持ちでこの連載を読んでみてもらえると嬉しいです。
というのも、ダイバーシティ&インクルージョンは組織やコミュニティに属している限り、必ずどこかで意識しなければならないシチュエーションが出てくるものだからです。実際に、そうした場面に巡り合った時に「あ、おつねのコラムでこの話出てたな。あの時に知ってて、良かったかも!」と思ってもらえるような、そんなコンテンツにしていきたいなと考えているので、ぜひ次回以降もお付き合いください!