私はかれこれ20年近く、家計のやりくりの取材をしてきました。その中には、貯蓄が1,000万円以上ある人も、少なくありませんでした。その人たちが、とりわけ収入が多いというわけではありません。年収300万円台(手取り)というケースもたくさんありました。

また、お金を使わないケチケチ生活をして、ギスギス暮らしているわけでもありません。要するに、お金のやりくりが上手なのです。ということは、そのやりくりの仕方をまねすれば、誰でも1,000万円貯めることが可能というわけです。是非今日からまねしてみてください。

貯め力のある人にとって、“見える化”は常識

家計のやりくりの取材をしていて、よく耳にするが“見える化”という言葉。家計について頭で考えたり、心づもりしたりするだけではなく、実際に目で見てわかるようにすることが、お金を貯めるうえで役に立つということです。 家計の“見える化”は、なにも最近始まったことではなく、昔から家計簿というものがありました。

予算を書き出し、使ったお金を記入して、収支を計算する。収入より支出が多ければ「赤字」になり、支出が収入内に収まっていれば「黒字」。数字で見ることで、家計が「赤字」か「黒字」が明確になります。

「なんとなく使い過ぎたかも」よりも、収支を正確に把握することができ、家計管理に役立つことは言うまでもありません。家計の“見える化”は、ほかにもいろいろ応用できます。

  • “見える化”で1,000万円貯める

冷蔵庫の中身を写メして“見える化”

買い物で余計なモノを買わないようにするには、買い物メモを用意するのがマスト。「ないと困るから取りあえず買っておこう」と思って買ったら、家に在庫があった……というダブリ買いは、メモを持って買い物に行くことで防げます。また、メモに書いてあるモノだけを買えばいいので、買い物に迷うこともなく、買い物時間も短縮できます。

メモに書き出すのもいいですが、冷蔵庫の中を写メするのが手っ取り早くて便利です。冷蔵室、冷凍室、野菜室など、それぞれを撮影します。「冷蔵庫の中は毎日見ているから、頭の中に入っているはず」ではなく、写真に撮って見える化することが大事。

写真を見ながら買うことで、在庫が一目瞭然になり、ムダなダブり買いと、必要なモノの買い忘れが防げます。

1日1回、財布の中を整理して、手持ちのお金を“見える化”

帰宅後、財布からレシートを出すと同時に、お財布の中にお金がいくら入っているかを確認します。

「お財布にお金がまだ残っていたはず」だったのが足りなくて、あわてて下ろして、ATMの時間外手数料を払うことがなくなります。

使ったお金をカレンダーに書いて“見える化”

「家計簿をつけるのは面倒」という人は、カレンダーにその日使った金額を書き込むだけでOK。手帳のページで、見開きのカレンダーになっているところがあれば、それを利用しましょう。

1日1回、財布からレシートを出したついでに、今日使った金額を記入します。何に使ったかは気にせず、合計金額を書くだけでOK。

貯める目標を書き出して“見える化”

本気でお金を貯めるには、「何のために」「いつまでに」「いくら」貯めるかを書き出すことが効果的です。

例えば、「マイホームの頭金用に、5年後までに、500万円貯める」と紙に書きます。貯めるモチベーションが上がるだけではなく、5年間で500万円貯めるためには、月々とボーナスで、いくらずつ貯める必要があるのかなど具体的な計画が立てられます。

「貯まればいいな~」と漠然と考えているよりも、お金を貯めることがグッと現実的になるはずです。

村越克子

村越克子

フリーランスライター。学習院大学文学部心理学科卒業。編集会社を経て、フリーに。主婦を読者対象とした生活情報誌を中心に執筆。家計のやりくりに奮闘する全国の主婦を取材し、節約に関する記事を数多く手がける。執筆協力に『綱渡り生活から抜けられない人のための絶対! 貯める方法』永岡書店など。