私はかれこれ20年近く、家計のやりくりの取材をしてきました。その中には、貯蓄が1,000万円以上ある人も、少なくありませんでした。その人たちが、とりわけ収入が多いというわけではありません。年収300万円台(手取り)というケースもたくさんありました。

また、お金を使わないケチケチ生活をして、ギスギス暮らしているわけでもありません。要するに、お金のやりくりが上手なのです。ということは、そのやりくりの仕方をまねすれば、誰でも1,000万円貯めることが可能というわけです。是非今日からまねしてみてください。

新年度を機会にお金を管理をしみよう

この4月から新社会人になった方は、今月からお金事情が大きく変わるのではないでしょうか? もちろん、これまでもアルバイトで収入を得ていた人は大勢いるとは思いますが、正社員ともなれば、給料の金額はバイト代とはかなり違うはずです。入ってくるお金の額が大きくなった分、それを管理するか、しないかで貯金できる金額が違ってきます。

新社会人以外の人も、これまでお金の管理に無頓着だった人は、新年度のスタートを機にお金の管理にトライしてみてもいいかもしれません。

  • 1週間=1万円予算で赤字知らず(画像はイメージ)

1カ月に使えるお金を知る

「お金の管理」といっても、難しいことではありません。シンプルに考えてOK。そもそも給料全額を管理しようと思うから、難しく感じられるのです。管理すべきお金は給料のうちのごく一部。

まず、手取り月収から貯蓄分を先取りします。先取り貯蓄は、定期積立預金など毎月決まった金額が、給料日に自動的&強制的に貯蓄にまわるようにするのがおススメです。そうすれば、給与振込口座には、貯蓄分が既に差し引かれた金額が振り込まれることになります。

次に、毎月の決まった出費を計算します。住居費(家賃)、電気、ガス、水道、スマホ代などの通信費、保険料(生命保険、医療保険など)、習い事代……など。

給料から貯蓄分を引いた金額から、更にこの毎月の決まった出費を差し引きます。

給料 ― 貯蓄 ― 毎月の決まった出費 = 1カ月に使えるお金

実は、実際に管理する必要のあるお金のというのは、この「1カ月に使えるお金」だけなのです。

1カ月の生活費=4万5,000円に固定する

例えば、手取り月収=25万円、貯蓄=3万円、毎月の決まった出費=12万円なら、

25万円 ― 3万円 ― 12万円 = 10万円……1カ月に使えるお金

ということになり、管理する必要があるのは10万円というわけです。

さて、1カ月に使えるお金=10万円の管理の仕方ですが、ここをシンプルにするには、週予算を決めるのがコツです。

週予算=毎日の生活費=日々の食費、日用品費、雑費と考えます。週予算をいくらに設定したらいいかわからない場合は、取りあえず週=1万円と決めます。月曜日の朝、財布に1万円札を入れて、それで1週間やりくりするというわけです。

1万円×4週+5,000円(予備費)=4万5,000円

とにかく週1万円、1カ月4万5,000円で日々の生活をまかなえばOK。食事会、週末のレジャー代、食料品・生活雑貨以外の買い物は、週予算からは出しません。これらの出費は「お楽しみ費」として、残りの5万5,000円から捻出します。 「生活費」と「お楽しみ費」を混同しないために、財布を分けるのがオススメです。

週1万円予算さえ守れば、毎月、貯金できる

1週間=1万円予算のいいところは、以下の5点です。

(1)家計簿をつける手間がない
(2)「生活費」用の財布の残金が今週あと使えるお金なので、目でみてわかりやすい
(3)「お楽しみ費」を確保しているので、その金額内なら友人との食事や買い物も楽しめる
(4)予備費として5,000円確保しているから、気持ちに余裕がある
(5)1週間=1万円予算さえ守れば、先取りで貯蓄し分が確実に残る

週予算の金額設定はいろいろ考えられますが、まずは取りあえず1週間=1万円で始めてみるのがオススメです。

村越克子

村越克子

フリーランスライター。学習院大学文学部心理学科卒業。編集会社を経て、フリーに。主婦を読者対象とした生活情報誌を中心に執筆。家計のやりくりに奮闘する全国の主婦を取材し、節約に関する記事を数多く手がける。執筆協力に『綱渡り生活から抜けられない人のための絶対! 貯める方法』永岡書店など。