私はかれこれ20年近く、家計のやりくりの取材をしてきました。その中には、貯蓄が1,000万円以上ある人も、少なくありませんでした。その人たちが、とりわけ収入が多いというわけではありません。年収300万円台(手取り)というケースもたくさんありました。

また、お金を使わないケチケチ生活をして、ギスギス暮らしているわけでもありません。要するに、お金のやりくりが上手なのです。ということは、そのやりくりの仕方をまねすれば、誰でも1,000万円貯めることが可能というわけです。是非今日からまねしてみてください。

20代、30代は男女とも「自炊が増えた」が回答多数

家計のやりくりの取材を通して、私は「外食エンゲル係数の高さは、お金が貯まらないたびに比例する」ことを実感してきました。そこで、「外食三昧は貧乏の始まり」と考え、お金を貯めたいなら、"おうちごはん派"に転向することがマストだ……と思っていたら、最近の調査データの中に、おうちごはん派が増えているという報告を見つけました。

外食市場に関する調査・研究機関「ホットペッパーグルメ外食総研」では、首都圏、関西圏、東海圏に住む20歳~69歳の男女を対象に、1年前に比べて自炊・外食・中食の回数の変化やその要因などについて調査を実施しました(調査時期は2017年6月)。

その結果、男女とも、「自炊が増えた」という回答は20・30代で多く、40・50代では減り、60代でまた盛り返しています。特に、20代女性は「自炊が増えた」という回答が29.4%と最も多くなっている一方、「外食・中食、または両方が増えた」という回答でも、性別、年代を問わず最多になっています。これは、20代女性は、おうちごはん派と外食・中食派に二分されているということを示すのでしょうか?

  • 出典:ホットペッパー グルメ外食総研「過去1年間の自炊・外食・中食の増加状況と理由を調査/1年前と比べた自炊・中食・外食の回数の変化」

  • 出典:ホットペッパー グルメ外食総研「過去1年間の自炊・外食・中食の増加状況と理由を調査/1年前と比べた自炊・中食・外食の回数の変化」

  • 出典:ホットペッパー グルメ外食総研「過去1年間の自炊・外食・中食の増加状況と理由を調査/1年前と比べた自炊・中食・外食の回数の変化」

「自炊が増えた」理由は節約のため

「自炊が増えた」理由については、「家計が厳しく、食費を減らしたい」という経済的な 理由が半数弱で最も多い結果に。「節約を思い立ったら、まずは食費から」となるようです。

「自炊が増えた」と答えた人が一番多かった20代女性は6割弱が、20代男性も約半数が自炊する理由に「節約」をあげています。出費を減らす目的の"自炊女子"や"自炊男子"が増えていると言っていいでしょう。

節約のために次いで、自炊が増えた理由としてあげられているのが、「家で作る方がおいしい」、「健康やダイエットのため」。家で作るごはんがおいしくて健康にもよく、そのうえ節約にもなることが認知されれば、おうちごはん派が更に増えることが期待されます。

  • 出典:ホットペッパー グルメ外食総研「過去1年間の自炊・外食・中食の増加状況と理由を調査/自炊が増えた要因」

「外食が増えた」理由TOP3は?

「外食が増えた」理由は、1位が「仕事で忙しく、なるべく簡単に済ませたい」、2位が「人付き合いが増えた」で、3位が「お金に余裕が出てきた」となっています。

性別、年代別にみると、男性の20・40・50代で「仕事で忙しく、なるべく簡単に済ませたい」 が多く、女性の40 代以上では「家族や友人とワイワイ食べるのがレジャーになっている」が多く、女性30・40代では「家事や子育てで忙しく、なるべく簡単に済ませたい」という理由も多くなっています。

家族や友人と楽しく外食するのはよしとしても、「忙しいから簡単に済ませたい」というのはちょっと寂しい感じがします。おうちごはん派が増えている背景には、働き方や夫婦間での家事分担との関係もあると言えそうです。

村越克子

村越克子

フリーランスライター。学習院大学文学部心理学科卒業。編集会社を経て、フリーに。主婦を読者対象とした生活情報誌を中心に執筆。家計のやりくりに奮闘する全国の主婦を取材し、節約に関する記事を数多く手がける。執筆協力に『綱渡り生活から抜けられない人のための絶対! 貯める方法』永岡書店など。