私はかれこれ20年近く、家計のやりくりの取材をしてきました。その中には、貯蓄が1,000万円以上ある人も、少なくありませんでした。その人たちが、とりわけ収入が多いというわけではありません。年収300万円台(手取り)というケースもたくさんありました。
また、お金を使わないケチケチ生活をして、ギスギス暮らしているわけでもありません。要するに、お金のやりくりが上手なのです。ということは、そのやりくりの仕方をまねすれば、誰でも1,000万円貯めることが可能というわけです。是非今日からまねしてみてください。
作りおきおかずに手間がかかっては本末転倒
ここ1~2年、"作りおきおかず"がブームです。書店に行くと、料理本コーナーにその類の本が並んでいます。
人気のきっかけは、共働き夫婦や働くママが増えてきて、帰宅してから夕飯作りにかける時間と手間を短縮したいというニーズが高まってきたことにあります。そのニーズをキャッチした主婦層をターゲットとする雑誌、ムック本、料理本などが次々に取り上げるようになり、ブームへとつながっていったのだと思います。
"作りおきおかず"というのは、要するに常備菜のこと。お母さんがよく作っていた切り干し大根、ひじき煮、きんぴら、ぶどう豆……などで、箸休め的な「あと1品欲しいときにあるといいよね」というときのお助けだったり、お弁当のすき間を埋めるおかずだったりするものです。
かつては、どの家庭の冷蔵庫にも、何とな~く常備されているものでしたが、決して華やかな存在ではなく、夕飯のおかずとしても、お弁当のおかずとしても、完全に脇役でした。もともとは、夕飯作りのついでに、ちょこちょこっと作って、サブおかずになったり、お弁当のおかずになったり、翌日の夕飯にさりげな~く登場したり。
それが、雑誌などのメディアで取り上げられるようになってから、どんどん進化して、レシピもどんどん手が込んできました。そうなると、もはや、ついでにちょこちょこっと作れる域を超え、作りおきおかずを作るために、わざわざ時間を確保するように。
となると、仕事をもつ主婦やワーキングママの当初のニーズとズレてきます。週末の貴重な休みを潰して、作りおきおかずを作ることになります。はじめのうちこそは、「平日の夕飯作りをラクするための"先取り家事"」……と張り切っていたものの、そのうち「せっかくの週末が作りおきおかずのせいで休めない」「毎週末、作っていられない」ということにもなりかねます。作りおきおかずに手間と時間をかけすぎるのは本末転倒というわけです。
ツナ缶×コーン缶は何かと使える
そこでオススメしたいのが"作らない!?"作りおき。でも、あると何かと使えて、おうちごはんの助けになるものです。
まずは、ツナ缶とコーン缶を合わせるだけの作りおき。「ツナ&コーン」という市販の缶詰があるくらいですから、使い勝手の良さは立証済み。ツナ缶70g2缶とコーン缶600g1缶を混ぜ合わせておくだけです。
パンに乗せてケチャップとマヨネーズをかけて焼けば、ピザトースト風になり、朝食に最適。夕飯のサラダにトッピングしたり、お肉のソテーのつけ合わせにしたりしてもよし。ゆでたマカロニと会えれば、マカロニサラダに。ツナ缶もコーン缶も、そのまま食べられるので加熱する必要がありません。味もついているので、そのままでもOK。濃いめの味つけがお好みなら、塩やマヨネーズをプラスしましょう。
そのとき安いきのこ類で"きのこミックス"を
しいたけ、しめじ、えのき、エリンギなどそのとき安いきのこで作る"きのこミックス"も、何かと使えます。みそ汁やスープの具、炒めてきのこソテー、ホイルの包み焼き、とり肉と一緒に炒めてもおいしいです。保存袋に入れて冷凍保存もできるので日持ちします。
大豆の水煮で作りおきおかずを1品
大豆の水煮1袋(100円くらいで売ってます)、細切りにしたにんじん5㎝分、油揚げ1/2枚分、輪切りにしたちくわ1本分、だし醤油大さじ2、醤油大さじ1を鍋に入れフタをして、にんじんに火が通るまでに加熱します。材料を切る手間が少しかかりますが、これくらいは"作らない"範疇に。材料はそのままでも食べられるものばかりなので、加熱時間の短くて済みます。夕飯のサブおかずやお弁当のおかずに重宝します。
以上は筆者のオススメですが、缶詰や手軽に手に入る食材で手をかけないでちゃっちゃっと作れる作りおきおかず、1品あるだけでも夕飯やお弁当などの手間がかなり違ってくるはずです。みなさんも上手に工夫して是非試してみてください。
村越克子
フリーランスライター。学習院大学文学部心理学科卒業。編集会社を経て、フリーに。主婦を読者対象とした生活情報誌を中心に執筆。家計のやりくりに奮闘する全国の主婦を取材し、節約に関する記事を数多く手がける。執筆協力に『綱渡り生活から抜けられない人のための絶対! 貯める方法』永岡書店など。