私はかれこれ20年近く、家計のやりくりの取材をしてきました。その中には、貯蓄が1000万円以上ある人も、少なくありませんでした。その人たちが、とりわけ収入が多いというわけではありません。年収300万円台(手取り)というケースもたくさんありました。また、お金を使わないケチケチ生活をして、ギスギス暮らしているわけでもありません。要するに、お金のやりくりが上手なのです。ということは、そのやりくりの仕方を真似すれば、誰でも1000万円貯めることが可能というわけです。ぜひ今日から真似してみてください。
毎年、必ず出ていくお金に備える
月ごとのやりくりの基本は、
- 月収―貯蓄―毎月の決まった出費=今月使えるお金
が基本です。
月収から貯蓄を先取りして、毎月の決まった出費(=家賃、水道光熱費、通信費、保険料、習い事代など)を差し引き、「今月使えるお金」を把握します。この「今月使えるお金」の範囲内でやりくりして、赤字にならなければ、貯蓄を先取りしているので毎月、確実にたまるはず……なのですが、実は、せっかく順調に貯まっている貯蓄を崩す元凶があります。それが、月々の出費とは別にかかる「特別出費」です。
たとえば、アパートの更新料、自動車保険、自動車税、車検代、帰省費用、GWや夏休みなどのレジャー費、知人や親せきの結婚披露宴などの冠婚葬祭費、彼氏や彼女の誕生日プレゼント代などのイベント費、お正月に帰省したときのお年玉代……など。これらの出費のために、「欲しい物やしたいこと=目標」のために貯めていた貯蓄を切り崩すことになっては、いつまで経っても目標達成できません。
そこで、本来の貯蓄に手をつけることなく、特別出費がまかなえるように、やりくりプランを立てます。月々の出費とは別に、毎年、決まって出ていくお金を、去年の実績を参考にして、まずは書き出してみましょう。家計簿をつけていない場合でも、通帳をチェックして、おろした金額からだいたいの出費を割り出します。アパートの更新料や車検代など毎年ではないものは、1年分の負担額を算出します。
たとえば総額で25万円の場合なら、毎月1万円ずつ貯めて、残りはボーナスでまかなうなどのやりくりプランを立てます。
- 1万円/月×12カ月+13万円(ボーナス)=25万円
特別出費のための貯蓄は、毎月の先取り貯蓄とは別の口座で貯めて、混同しないようにするのがオススメ。これを、備えておけば、本来の貯蓄を切り崩すことなく、目標に向かって着実に貯めることができるというわけです。
1年間でいくら貯まったかを知って、貯まる喜びを実感する
1000万円貯めた人の中には、はじめのうちは、貯蓄とは無縁だった人が少なくありません。あればあるだけ使っていた人たちです。そういう「貯まらない人」が「貯まる人」に変身するきっかけになるのが、貯蓄目標を持つことと、貯まる喜びを実感した瞬間。
貯蓄とは無縁の日々を送っていたころは、通帳の記帳をしなかったのが、貯まり始めると、記帳を欠かさないようになります。「通帳の残高が殖えていくのが楽しい!」というセリフを、私は何度も耳にしました。そうなんです、お金が貯まることは楽しいことなのです。
毎月の貯蓄額だけではなく、1年間にいくら貯まったかを確認しましょう。1年前の同じ月と比べて、いくら殖えているかをチェック。年間貯蓄額をきちんと把握することで貯まる喜びを実感できるはずです。
(※写真画像は本文とは関係ありません)
<著者プロフィール>
村越克子
フリーランスライター。学習院大学文学部心理学科卒業。編集会社を経て、フリーに。主婦を読者対象とした生活情報誌を中心に執筆。家計のやりくりに奮闘する全国の主婦を取材し、節約に関する記事を数多く手がける。執筆協力に『綱渡り生活から抜けられない人のための絶対! 貯める方法』永岡書店など。