私はかれこれ20年近く、家計のやりくりの取材をしてきました。その中には、貯蓄が1000万円以上ある人も、少なくありませんでした。その人たちが、とりわけ収入が多いというわけではありません。年収300万円台(手取り)というケースもたくさんありました。また、お金を使わないケチケチ生活をして、ギスギス暮らしているわけでもありません。要するに、お金のやりくりが上手なのです。ということは、そのやりくりの仕方を真似すれば、誰でも1000万円貯めることが可能というわけです。ぜひ今日から真似してみてください。
手持ちの通帳の"棚卸し"をする
現在の自分の総貯蓄額を知っていますか? 今、家に何冊の通帳がありますか? 一度、全部出し、通帳の"棚卸し"をして、預金残高を書き出してみましょう。
まず、日常的によく利用している通帳。大半の人は、給料が振り込まれる預金口座のある通帳が、それに該当すると思います。普通預金の残高をメモします。給料から天引きで、自動積立貯金をしている場合は、その残高を書き出します。
子どものころ、親がつくってくれた預金通帳はありませんか? お年玉や入学時などのお祝い金をコツコツと貯めていた通帳があれば、捜し出して残高をチェックします。
1990年代の金融ビッグバンにより、金融機関の再編成が進み、その結果、10行以上あった都市銀行を中心とする大手銀行が統合されました。現在は、三井住友銀行、三菱東京UFJ銀行、みずほ銀行の3行が、いわゆる"メガバンク"と呼ばれ、子どものころにつくった預金通帳の銀行も、たいていはこの3行に統合されています。もちろん、地方銀行や信用金庫などで、現在もそのまま存在している金融機関もあります。いずれにしても、古い通帳を出してきて、残高をチェックします。
このほかにも、学生時代のアルバイト代が振り込まれていた通帳、転職経験のある人は、以前の会社で給料が振り込まれていた通帳など、家のタンスの引き出しで眠っている通帳を捜し出しましょう。
証券会社に口座を持っている場合は、債券、株式、投資信託などの取引残高の評価額を書き出します。生命保険は、いわゆる"貯蓄型"の場合のみ、現在までの保険料の払い込み合計額をメモ。
こうやって、自分が保有している貯蓄を総決算して、その合計額を算出してみましょう。
自分の総貯蓄額を知ることは、貯蓄モチベーションを上げる
総貯蓄額を算出して、100万円以上あった人は、すでに貯まる人です。50万円だった人も、まだまだこれから。ほぼ0円だった人も、あきらめることはありません。0円でも、借金がないのは立派なものです。私が、家計のやりくりで出会った1000万円以上の貯蓄がある人も、貯蓄0円からスタートした人はたくさんいます。
まずは、現状を知ることが大事。総貯蓄額が思っていたよりも多ければ、やる気が出るはず。今ある貯蓄をもっと殖やしたいと思えば、この先の貯蓄はトントン拍子です。少なくても、がっかりすることはありません。今がスタート地点なのです。
1000万円貯蓄を成功させた人は、口をそろえて「殖えていく預金残高を見るのが楽しい」と言います。貯める楽しさに目覚めれば、いつか必ず、1000万円貯蓄を達成できるはずです。
<著者プロフィール>
村越克子
フリーランスライター。学習院大学文学部心理学科卒業。編集会社を経て、フリーに。主婦を読者対象とした生活情報誌を中心に執筆。家計のやりくりに奮闘する全国の主婦を取材し、節約に関する記事を数多く手がける。執筆協力に『綱渡り生活から抜けられない人のための絶対! 貯める方法』永岡書店など。