「もち麦めん」とは、いまエースコックが力を入れている自社ブランドの一つ「すこやか和膳」に採用されている特殊な麺で、2020年9月14日に「すこやか和膳 もち麦めん 鰹と昆布だし」及び「(同) 鶏だしと柚子胡椒」を市場に投下。
はくばくの「もち麦(もち性の大麦)」を使用した“うどんでも日本そばでも中華麺でもない”新作は、レタス1個分の食物繊維が摂れる健康にも配慮した商品で、その特殊な食感もさることながら、特に「鰹と昆布だし」のスープは味わい深く、変化の少ない標準どんぶり型の和風カップめんカテゴリーに新風を吹き込みました。
【機能系カップ麺「もち麦めん」】
1983年(昭和58年)6月、ラーメンカテゴリーに「わかめラーメン」で“おいしいヘルシー”のジャンルをいち早く切り開き、それを定着させた実績のあるエースコックだからこそ実現した、ほかに類を見ないタイプの機能系カップ麺です。
同時発売品の「鶏だしと柚子胡椒」には粉末スープを別添しているのに対し、「鰹と昆布だし」には鰹だしを濃いめに効かせた濃口しょうゆ仕立ての液体スープを使用しているのが特徴で、かえしの強いそばつゆに通じる味付けから、正直「鶏だしと柚子胡椒」よりも本格的な味わい。
「もち麦めん」の開発期間は約2年、うどんのようなコシと日本そばのように滑らかな喉越しを併せ持ち、うどんとも日本そばとも中華麺とも違う、唯一無二の食感を実現。あまり慣れ親しみのない食感になりますが、慣れるとクセになる魅力の持ち主です。
先入れの「かやく」は、たまご、刻み揚げ、ねぎ、かまぼこで、麺の湯戻し時間は熱湯5分。もちろんアレンジせずに食べても美味しいのですが、そろそろ年末恒例の「年越しそば」も目前となった師走の下旬。
筆者の運営しているブログでは、年末になると“そばアレルギーでも食べられるオススメの和風カップ麺を教えてください”といった問い合わせも多く、今年は個人的にエースコックの「もち麦めん」を推しているため、年末年始にもオススメの“ちょい足しアレンジレシピを3つ”ご紹介します。
【疲れた胃に嬉しい「大根おろし」でアレンジ】
最初に紹介するアレンジは、年末年始の疲れた胃に嬉しい「大根おろし」と「柚子(黄ゆず)」の組み合わせ。大根にはジアスターゼ(でんぷん質分解酵素)やプロテアーゼ(たんぱく質分解酵素)、リパーゼ(消化酵素)などの酵素が含まれ、さらにアンチエイジング効果や殺菌効果に期待できるイソチオシアネート(辛味成分)など、それらの効果がもっとも期待できる調理方法が大根おろしです。
残念ながらイソチオシアネートを含め、50度以上に加熱してしまった場合の栄養価は半減(場合によっては消滅)してしまうのですが、大根に含まれるビタミンEやビタミンKは加熱することで吸収されやすくなり、エースコックの「もち麦めん」がアピールしている食物繊維の摂取量もアップ。
「すこやか和膳 もち麦めん 鰹と昆布だし」の液体スープには、しっかりと濃口しょうゆのコクが効かせてあるので、よほど大量の大根おろしを入れない限り、味が極端に薄くなってしまうことはありません。むしろ大根おろし特有の清涼感と柚子皮のホロ苦いアクセントが心地よく、ちょっと食欲不振気味な年末年始にオススメの組み合わせ。
このアレンジには“辛味の強い大根おろしを使ったほうが美味しい”ので、大根の下部を輪切りにし、断面から繊維に逆らうようにすりおろすのがポイントです。
【「とろろ」と「卵黄」で栄養価アップ】
次に紹介するアレンジは、そばつゆとも相性のいい「とろろ」と「卵黄」で、こちらも調理後のカップ麺にトッピングするだけの簡単なレシピ。長芋にも大根と同じようにジアスターゼが含まれているのですが、例に漏れず酵素は熱に弱いため、その効果は半減します。
しかし、とろろには体内の水分と塩分のバランスを整えるカリウムや胃粘膜を保護してくれる滑り成分が含まれ、その滑りが喉越しのいい「もち麦めん」と相性抜群。さらに必須アミノ酸を含む卵黄を加えると、全体的にマイルドな味になりますが、前述のように今回の液体スープは鰹の出汁(だし)と濃口しょうゆを強めに効かせた太い味に仕上がっているため、味が薄くなることはなく、見た目も月見うどんっぽい趣のある仕上がり。
そして、お召し上がりの際は全体を大きく混ぜてしまうのではなく、とろろや卵黄に麺を潜らせながら「もち麦めん」とのマリアージュを楽しむのがポイント。ただし、麺の表面は摩擦抵抗ゼロの滑らかさを実現してしまうため、ちょっと意識して噛むように注意してください。
【「揚げ玉」と「刻み海苔」でハイカラにアレンジ】
最後に紹介するアレンジは、市販の「揚げ玉」と「刻み海苔」をトッピングする、少しジャンクなレシピ。日本そばのトッピングとしても定番の組み合わせなので、物珍しさはないのですが、それだけにそばつゆライクな液体スープとの相性は申し分ありません。
いわゆる関東でいうところの「たぬき」または関西でいうところの「ハイカラ」で、麺に蕎麦粉は含まれていませんが、漠然と日本そばっぽい雰囲気の漂う仕上がり。刻み海苔による磯の香りもさることながら、揚げ玉から滲み出る独特のコクが味わい深く、どちらも“たっぷりと加える”のがポイント。
今回は揚げ玉と刻み海苔だけトッピングしましたが、フレッシュな輪切りの青葱、わかめ、なめこなどをトッピングすると、さらに満足感がアップします。
【まとめ】
もともとクオリティの高い「もち麦めん」と液体スープ(鰹と昆布だし)なので、大幅に味の方向性を変える必要がなく、しかしながら王道の組み合わせを試してみたところ、満足感が大幅にアップ。
上記の3選いずれも間違いのない組み合わせなのですが、日清食品の「どん兵衛」に、東洋水産の「赤いきつね」や「緑のたぬき」など、王道の和風カップ麺にも応用できるアレンジなので、年末年始のために買い込んだものの、ふつうの食べ方に飽きてしまった―――などのシチュエーションにもご活用ください。