中華の定番ながら意外に難易度の高い酢豚。仕上げに加える水溶き片栗粉がダマになったり、せっかく揚げた豚肉がカリッとしなかったり。さらには、あんの味付け自体がどうも思うように行かない、という声もよく聞く。
今回のレシピでは、甘酢ダレをあらかじめつくっておいて味を決め、揚げた具材をサッと合わせて仕上げることで、失敗知らずとなっている。豚肉は、サクサクッと軽めの食感に仕上がり、しかも安価な豚コマ肉を使用する。レシピ考案は東京・青山の中華料理店「Essence」のオーナーシェフ・薮崎友宏さんだ。
薮崎シェフの大人気チャーハン連載更新中!
【連載】チャーハンを極めよう! - 身近な素材でつくる絶品レシピ
残り物の食材で、パパッとカンタンにつくることができるチャーハン。主婦にとっても1人暮らしの人々にとっても、なんともうれしい料理なのだが、"上手くつくる"となると、少々難しいのがこのメニュー。専門店のように仕上げるには、それなりのテクニックが必要なのだ。そこで、調理指導とレシピ考案をお願いしたのが東京・青山の中華料理店「Essence」のオーナーシェフ・薮崎友宏さん。
まず第1回目と第2回目では、基本中の基本である玉子チャーハンについて紹介。玉子を"先混ぜ"にするか、"後混ぜ"にするかの2通りを教えていただいた。
「豚コマでサックサクの簡単酢豚」
材料(2人前)
豚コマ肉 100g / ピーマン 1個 / 赤ピーマン 1個/ 玉ネギ 1/4個 / 塩 小さじ1/3 / 胡椒 少々 / 溶き卵 大さじ2 / 片栗粉(もみ込み用) 大さじ1 / 片栗粉(まぶし用) 適量 / 水溶き片栗粉 大さじ1 / ゴマ油 小さじ2
A(酢 160cc / 水 40cc / ケチャップ 大さじ2 / きび砂糖(なければ砂糖) 大さじ6 / 練り梅 小さじ1(なければ梅干しを叩いたもの 1/2個分))
つくり方
1.豚コマ肉は塩胡椒で下味をつけ、溶き卵を加えてもみ込む。次に片栗粉を入れてもみ込んだあと、皿やバットに片栗粉を入れて、1枚1枚しっかりと豚肉にまぶしていく。2.Aの材料を合わせ、甘酢ダレをつくる。ピーマンと赤ピーマン、玉ネギは、適当な大きさにカットしておく。
3.豚コマ肉は、一枚ずつ広げた状態で180℃の油で揚げる。3分ほどして表面がカリっとしたら強火にし、野菜を入れてごくごく短時間でサッと揚げる。
4.2の甘酢ダレを火にかけ、沸いたら水溶き片栗粉を加える。強火で加熱しながら、3を加えて絡める。仕上げに香りづけのゴマ油をかけ、器に盛り付ける。
従来のつくり方なら、揚げた豚肉や野菜を入れた後に水溶き片栗粉を加えてとろみをつけるが、ダマになったり、煮込みすぎて具材がベチャッとしてしまう原因になりがち。そこで今回は甘酢ダレにとろみをつけてから、最後に具材をサッと合わせることで、サクサクした肉の食感を残している。肉をサクッと食感に揚げるコツは、片栗粉の2度づけ。手順1では片栗粉をもみ込んだ後、さらにまぶしつけている。
酢豚にはパイナップルが使われることがあるが、これは酸味やフルーティさを出すため。今回はその代わりに梅を使った。
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教えていただいた料理人
「Essence」オーナーシェフ兼ソムリエ
薮崎友宏さん
横浜中華街の老舗「菜香新館」にて修業を開始。26歳で立川店の料理長に抜擢される。その後、広東省で家庭料理を学び、北京の大学で薬膳の研修を受ける。中国政府認定の国際薬膳調理師の資格も有する。2007年3月に東京・青山「Essence」料理長、2008年に同店オーナーシェフに。同店では薬膳も取り入れ、広東料理をベースにした料理を提供。チャーハンは4種類を用意し、近隣へのデリバリーも行っている。
「Essence」
住所: 東京都港区南青山3-8-2 サンブリッジ青山1F
TEL: 03-6805-3905
撮影: 中村浩二